著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
堀江式のワザで国語授業を変えよう!
兵庫教育大学大学院教授堀江 祐爾
2015/3/23 掲載
 今回は堀江祐爾先生に、新刊『国語科授業サポートBOOKS 言葉の力を育てる!堀江式 国語授業のワザ』について伺いました。

堀江 祐爾ほりえ ゆうじ

兵庫教育大学大学院教授、元中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会国語専門部会委員、平成20年版中学校学習指導要領(国語)作成協力者、「国語教育の実践と研究をつなぐ会」世話役代表。
主な著書に『「国語力」向上の授業改革1 国語科授業再生のための5つのポイント』、『小学校新国語科 言語活動の展開がよくわかるシリーズ1 書く力がぐんぐん伸びる!「言葉のワザ」活用ワーク』『小学校国語科授業アシスト 実物資料でよくわかる!教材別ノートモデル40』などがある。

―本書は、大好評だったWeb連載をおまとめいただき、書籍化にあたり書き下ろしまで加えていただいた「完全版」です! はじめに、堀江式の「ワザ」とはなにか、教えてください。

■豊かな授業実践に裏打ちされた「ワザ」であり、「言葉の力」をしっかりと育てるためのもの

 本書に示した「ワザ」は、年間数百時間に及ぶ授業実践ビデオ撮影を10年以上にわたっておこなってきた成果を踏まえたものです。さらに自宅を開放して月に二度開催している研究会「国語教育の実践と研究をつなぐ会」も10年以上続けており、本書に取り上げた授業実践例のほとんどは研究会のメンバーのみなさんのものです。つまり、豊かな授業実践に裏打ちされた「ワザ」なのです。
 一つ一つはごく基本的なワザですが研究会の中でメンバーのみなさんとともに学んできたことがもとになっています。これらのワザは、書名にも掲げた「言葉の力」をしっかりと育てるためのものです。

■「序章」と「1章 堀江式 国語授業のワザで授業を変えよう!」をゆっくりと丁寧にお読み下さい

 本書の冒頭に「大いなる活用を願って」という中西一弘先生(大阪教育大学名誉教授)の「刊行によせて」が載せられています。そこに次のような、本書の「読み方」のポイントが示されています。

 まずは、「序章」と「1章 堀江式 国語授業のワザで授業を変えよう!」をゆっくりと丁寧にお読みください。そこには、これから提案する多数の“ワザ”が、どのようなねらいと計画のもとに示されているか、その視点が述べられています。各“ワザ”には、“ワザ”の本体、いやその証明物、つまり具体例が添えられています。それにしたがって実践すると、それこそ多種多様な実践ができます。

―最初にワザを取り入れるために、おすすめの単元・領域・指導項目などはありますか?

■『子どもから引き出し活用する「音読のワザ」』から始めてはいかがでしょう?

 まずは、『子どもから引き出し活用する「音読のワザ」』(本書68ページ〜)あたりから始められてはいかがでしょうか。子どものノート例を示しましたように、教師が与える「音読のワザ」ではなく、子どもからワザを引き出すところがポイントです。

■漢字ドリルに関する「ワザ」も最初に取り組むワザとしておすすめです!

『本当の漢字の力をつける「漢字ドリル」活用法』(48ページ〜)と、『新出漢字・語句の学習を「習得」から「活用」に変えよう!』(108ページ〜)は、両方とも漢字ドリルに関するワザです。ふだん何気なくおこなっている漢字ドリルの指導をただの「習得」学習活動から、より豊かな「活用」学習活動に高めてみましょう。

―ワザを用いる際の留意点があれば、教えてください。

■「コツ・ワザ表」は多様な意昧を持っていることを意識して活用を

「コツ・ワザ表」は、次のように多様な意味を持っています。
●子どもが自分の力で用語や観点を選択して、物語を読み取るためのツール
 子どもが考え、選び、そして表現するための、つまり「思考力・判断力・表現力」を支えるツールという意味を持っている。
●子ども同士が伝え合いをおこなう際の「良いところ見つけ観点表」となる
 お互いの「読み」の良いところを見つけていく伝え合いの際の「観点表」としても使える。ただの印象評価ではなくなっていく。
●振り返りの際の「身につけた力表」にもなる
 どのワザを使えたかを見つけさせることにより「身につけた力」を明確にできる。

―最後に、国語の授業づくりをもう一段階レベルアップしたい!とお考えの読者の先生方に、メッセージをお願いします。

■ワザの中から自分に合ったものを選び、より効果的な授業改善を

 本書の「おわりに」に、明治図書のホームページ上のWeb連載記事について、ある先生からいただいた次のようなメッセージを載せました。

私は、すべてプリントアウトをして、ノートに貼り、1冊の本として活用させていただいています。特に、「ノートチェンジ」は、今現在も授業の中で使わせていただいています。

 この『「ノート・チェンジ」で授業を変えよう』(148ページ〜)は、「教師だけがかかえこまないで、子ども同士に伝え合いをさせるようにする」ことの大切さについてまとめた記事です。「ノー卜・チェンジ」を実行するということは.それまでの授業実践の姿勢を大きく変えるということを意味します。
 この先生のように、ワザの中から自分に合ったものを選び、より効果的な授業改善に結びつけて、よりよい授業実践になるように工夫を積み重ねていきましょう。

■「国語教育の実践と研究をつなぐ会」(「つなぐ会」)へのご登録を

 私は、自宅を開放して月に二度開催している研究会「国語教育の実践と研究をつなぐ会Jを10年以上続けており、本書に取り上げた授業実践例のほとんどは研究会のメンバーのみなさんのものです。全国に300人近くのメールメンバーがおり、メンバーの授業実践成果をまとめた「つなぐ会」メールをお届けしております。次のアドレス(kokugotunagukai@yahoo.co.jp)に、メールをお届けくだされば、すぐに会員登録(入会金など一切不要です)いたします。ともに学んでいきましょう。お待ちしております!

(構成:林)
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