著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
ソーシャルスキルトレーニングでしなやかに関わる力をつけよう!
発達支援教室ビリーブ代表加藤 博之
2015/2/27 掲載
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  • 特別支援教育

加藤 博之 かとう ひろゆき

筑波大学大学院教育研究科修了。埼玉県内の小学校・特別支援学校及び昭和音楽大学の専任教員を経て、現在、発達支援教室ビリーブ代表。文教大学非常勤講師。学校心理士。ガイダンスカウンセラー。認定音楽療法士。

―本書は『学びと育ちのサポートワーク』のシリーズの5巻『ソーシャルスキル「柔軟性」アップ編』として刊行されていますが、本書のねらいをどうぞ教えてください。

本書はソーシャルスキル全般の力を育てることを目的としています。ソーシャルスキルは「相手とうまくつき合うための技能」ですが、実際にはそれだけをいくら練習しても実生活にうまく生かしきれません。そこで本書では、子どもたちが身につけたさまざまな技能を、場に応じてスムーズに発揮できるように「イメージする力」を育てることにしました。つまり、ソーシャルスキルとイメージする力の双方を育てることを重視したわけです。その結果、相手とかかわる際の「柔軟性」を身につけることができると考えたのです。

―特に本書の中で「イメージする力」を大切に取り上げていらっしゃいますが、ソーシャルスキル(社会性)を育むためにどのように「イメージする力」がかかわってくるのでしょうか。

たとえ、やりとりの中で、適切なソーシャルスキルの技能を表現していても、何かぎくしゃくとし、相手に気持ちがうまく伝わらない場合があります。それは、対人関係がスキルで成り立つほど簡単ではないからです。「イメージする力」が育つことで、1つのことをいろいろな角度から読み取れるようになります。その力が育てば、身につけたソーシャルスキルの技能を、臨機応変に発揮できるようになるのです。「イメージする力」は、相手とやりとりを行う際の「潤滑油」のような役割を果たしてくれると言えるでしょう。

―先生は本書で紹介くださっているワークを子どもたちの学習で実際に活用されていますが、学習場面での子どもの様子などエピソードがあれば教えていただけないでしょうか。

例えば、絵を見て関連するものをイメージし絵で表現する課題(『仲間を描こう』)では、最初なかなか表現できなかった子が、指導者とのやりとりを続ける中で少しずつイメージを膨らませることができるようになってきます。「湯飲み茶碗」の絵を見て、「おじいちゃんがこたつで飲んでた」「おせんべいを食べてたよ」「みかんも近くにあったよ」「熱くてフーフーしてた」などと話はどんどん広がり、周りの子どもたちをも巻き込んでいきます。そして、そのようなやりとりの中で、相手のペースに合わせたり、相手の気持ちを読み取る力が育っていくのです。

―本ワークを学ぶ子どもたちに、どんな力をつけ、将来どんな風に生きていってほしいと先生は願われていますか?

子どもたちが将来、社会で生きていくためには、間違いなく相手とうまくやっていく力(対人関係、社会性)が求められます。うまくいったりいかなかったりする中で、それでもこの相手とつき合っていこうと思わせる人間性が必要になってくるのです。その意味で、ソーシャルスキルはスキルで留まってはいけないのです。スキルは、あくまで相手と接する際のきっかけであり、その先の長い期間、相手との豊かな人間関係を築いていくことが大切になってきます。その土台作りが、まさに子ども時代にもっとも適していると考えます。

(構成:佐藤)

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