著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
算数授業をアクティブにする「グループ学習」の取り入れ方とは?
横浜国立大学教育人間科学部教授石田 淳一
2015/1/22 掲載
 今回は石田淳一先生に、新刊『「学び合い」を楽しみ深める!グループ学習を取り入れた算数授業』について伺いました。

石田 淳一いしだ じゅんいち

京都大学教育学部卒、筑波大学大学院教育研究科修了、同教育学研究科退学後、愛知教育大学助教授、筑波大学講師を経て、現在横浜国立大学教育人間科学部教授。学術博士。2002年度英国オックスフォード・ブルックス大にて在外研究。全国各地の小学校で指導講演を行っている。

―『学び合い』シリーズはこれまで4冊刊行されていますが、今回、5冊目の本書で「グループ学習」を取り上げたのはどうしてですか?

 グループ学習と言えば、自力解決後のグループで各自の考えを交流し説明し合う学習と思われていますが、それだけでなく、協同的問題解決、つまり、各自がアイデアを出し合いながら仲間と一緒に1つの解法を作り上げるプロセスを共有する学習としてとらえることも大切です。多様なグループ学習の方法があることを知って、効果的に算数授業に取り入れてほしいと思ったからです。

―「グループ学習」を取り入れると、どのような効果があるのでしょうか?

 いっしょに考える、分からないことを聞く、聴いて考える、よりよい考えを見つける、4人が説明できるようになることなどのグループ学習の約束を指導した上で、継続的にグループ解決に取り組ませると、全員が解決した上でクラスの話し合いに入れることだけでなく、グループ学習時に子ども自身でよりよい解法や表現を追究するなどグループ学習の質を高めることができます。また、仲間といっしょに学べるという安心感をもって学習に向かうので、意欲面にもプラスに働きます。

―既刊の書籍も含めた、『学び合い』のある算数授業シリーズの効果的な活用法を教えてください。

 学び合いの授業づくりの基本を理解するのには『子どももクラスも変わる!「学び合い」のある算数授業』が、高め合う授業づくりのための子どもの聴き方・つなげ方や教師の働きかけを理解するのには『聴く・考える・つなぐ力を育てる!「学び合い」の質を高める算数授業』が役立ちます。さらに『「学び合い」で学級力&算数力アップ! 小数・分数のかけ算・わり算の授業』『「学び合い」で必ず成功する! 小学校算数「割合」の授業』は、それぞれ「小数・分数の乗除」「割合」の学習指導の際の学び合いの取り入れ方に役立ちます。

―新指導要領改訂に向けた動きの中で、アクティブ・ラーニングの重要性が話題になっていますが、先生は算数ではどのような授業が考えられると思いますか?

 意図的に他者とかかわりながら一人ひとりの子どもが思考し表現する活動を取り入れるような算数授業を行うことが必要です。協働で問題解決を行うグループ学習もその代表的な学習になりうると思います。

―最後に全国で算数を教える読者の先生方にメッセージをお願いします。

 グループ学習だけが協同的問題解決ではありませんが、子どもが聴いて・考えて・つなげて学び合う算数授業をつくるには、グループ学習を取り入れることが効果的です。相談、グループ解決、話し合いなどのグループ学習を取り入れることできっと子どもの自ら学び合う姿を見つけることができると思います。

(構成:木山)

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