著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
「はてな?」が追究されていく社会科の授業と板書をつくろう
立命館小学校教諭柳沼 孝一
2014/8/29 掲載
 今回は柳沼孝一先生に、新刊『授業の工夫がひと目でわかる! 小学校社会科板書モデル60』について伺いました。

柳沼 孝一やぎぬま こういち

1966年 福島県生まれ
上越教育大学学校教育学部卒業
会津若松市立謹教小学校(1988年〜)
猪苗代町立市沢小学校(1990年〜)
喜多方市立松山小学校(1993年〜)
福島大学附属小学校(1997年〜)
2008年より立命館小学校

―本書では、実物の板書写真が多数掲載されていますが、ひと目見ただけで授業展開が見えてくるようなものばかりです。このような板書をつくるためのコツを教えてください。

 黒板を背に、まずは板書案を構想することです。新採用のころは、紙の上で授業案をつくり、板書案はその「確かめ」のようなものでしたが、これでは子どもが中心のいきいきした授業づくりができません。黒板で学級の子どもを想定しながら「こんな考えが出るかな」「資料はこっちの方がいいかな」と修正や改善を重ねながら板書をつくり上げていきます。
 また、「問題の設定」「問題の追究」「まとめ」の位置を、子どもと共有しておくことも授業展開がわかりやすい板書づくりのコツの1つです。

―本書の表紙に書かれている通り、「力がつく」社会科授業をつくるために、板書については特にどのような点に注意すればよいのでしょうか。

 「まとめ」をしっかりと板書することです。本書では、問題の真下に「まとめ」をしている実践例が多いのですが、それには、視覚的に近い位置にすることで、本時の問題解決の結果をしっかりと理解させる意図があります。
 また、漢字表記用語は正確に漢字で書くことや、重要語句の一部を隠したり消したりすることも、板書を活用して力をつける指導法の1つです。

―本書には「板書は子どもとともにつくるものです」と述べられています。子どもとともに板書をつくるために、どのような点を工夫すればよいでしょうか。また、板書に参加することは、子どもにとってどのようなメリットがあるのでしょうか。

 教材研究が一番のカギになります。子どもから「はてな?」が出る教材をつくり出せれば、板書に子どもの見方や考え方が位置付けられ、子どもとともにつくり上げるものになります。逆に「はてな?」を見いだせない授業では、板書に子どもが活躍する場を保障することができません。いわゆる受け身の授業に陥ります。
 また、板書に子どもが参加することは、子ども自らが考え、主体的に判断する力を育て、一人ひとりの問題解決力を高めることにつながります。

―最後に、読者の先生方に向けてメッセージをお願いいたします。

 3,4年の板書モデルは、京都市を中心に地域素材を教材化しました。教材化の視点が何かを読み取っていただければ、全国各地で実践が可能です。5年の産業学習では、教科書をできるだけ活用し「問い」を見いだす板書づくりに努めました。6年の歴史学習は、人物や歴史事象に関する「ネタ」にこだわり、「はてな?」が追究されていく板書づくりをしています。本書をきっかけに、目の前の子どもを大切にした「楽しくわかる、力がつく授業」が展開されることを願っています。

(構成:矢口)
コメントの一覧
5件あります。
    • 1
    • 今西貴志
    • 2014/10/4 0:59:21
    「子どもに『考える楽しさ』を与える教材」
    「『わかった!』をより明確に感じさせるための板書」
     がとても魅力的だと思います。

    社会科の授業をこれから勉強したいと思い、本書を手に取らせてもらいました。
    イラストの板書案だと、実際に書いたときに上手く収まらなかったり、全体のバランスがつかみにくかったりするのですが、本書は実践ごとに実際の板書写真が載っているので具体的に授業をイメージすることができ大変役立ちました。
    また、具体的な発問、授業の流れのポイント、授業を行う上での一工夫が書かれており「自分でもやってみたい!」と思える要素が詰まっています。

    これから社会科を勉強するという方や、授業に一工夫がほしいという方にも是非ともおすすめしたいです。社会科と子どもを結びつけると同時に、社会科と教師を結びつける1冊だと思います。

    • 2
    • 孤逢庵
    • 2014/10/7 20:22:24
    本書を手に取れらた方には是非,著者の授業を見て欲しい。子どもが思わず動き出す教材。研ぎ澄まされた発問。そして子どもの考えを磨き上げていくコーディネート・・・。有田先生が筆者に後を託された理由がよく分かることでしょう。次回作にも期待しております。
    • 3
    • 田中僚
    • 2014/10/10 18:38:47
    「授業を考える時に、一番最初に考えるものは、板書である。」これは、私が筆者に教えていただいたことです。その板書がまとめられている本は、他にはなかなかありません。その板書や発問を参考に、ぜひ授業をしてみたいと思わされる一冊です。

    また、何よりも、筆者のユーモア力、笑顔、あたたかい子どもへのまなざしが大変魅力的です。板書に加えて、筆者のもつ空気感を味わってほしいものです。私は、この本では伝えきれないものを日々学ばせていただいています。
    • 4
    • 3年S組13番
    • 2014/10/25 20:36:24
    立命館小学校の3年S組の柳沼孝一先生のクラスです。本買いたいです。
    • 5
    • 会津っぽ
    • 2014/11/22 18:37:13
    中学年の地域素材をどのように教材化すれば「はてな」が子どもから引き出せるのか!教科書の資料をどう使えば追究が深まるのか!人物中心の歴史学習では、「へえ〜そうだったのか!」というネタが見事に授業に活かされています。授業研究会で追試をやってみたくなる板書が多いです。追試をして自分なりの授業づくりをしていきます。1月31日に開かれる立命館小学校の研究公開に参加し、実際に授業を観てみたいです!
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