著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
国語教師としての引き出しの数を増やそう!
埼玉県立所沢高等学校教諭山本 純人
2014/8/5 掲載
 今回は山本純人先生に、新刊『今日から使える!いつでも使える! 中学校国語授業のネタ&アイデア99』について伺いました。

山本 純人やまもと すみと

1977年埼玉県生まれ。
埼玉県富士見市立小学校教諭、川越市立中学校教諭を経て、現在埼玉県立所沢高等学校教諭。日本学校俳句研究会幹事、チーム「じょうきげん」(関東・中学校教諭等勉強会)所属。

―本書には、授業の中の短い時間でできるネタやアイデアがたくさん収録されています。このような短時間の活動を授業の中に取り入れるコツを教えてください。

 逆説的ですが、「無理にはやらない」ことです。教師の都合だけでやるのではなく、目の前にいる生徒の様子や使える時間と相談しつつやることが肝要です。
 あとは、超短時間「帯」活動でやるものと、「単発」でやるものとに分けて考えることも、成功のコツです。毎時間帯でやるものは、料理の前菜のような感じで、あっさり、さらっとやると、授業にリズムが生まれやすくなります。また、単発でやるものは、各学期末(定期試験終了後)にやると効果的です。年間計画を踏まえつつも、時間にゆとりがあるときは、大胆にいろいろと試してみてください。

―本書では、試験(定期テスト)にかかわるアイデアもたくさん収録されています。この中で紹介されている、試験の「御触書」とはどのようなもので、どんな効果があるのでしょうか。

 「日本人だから、国語は何とかなる」という迷信が、生徒たちの間に根強くあります(何回も痛い目にあって、やっと気がつくようです……笑)。
 しかし、他教科と比較して試験勉強の時間が少ないことの責任の半分は、教師側にあるのだろうと思います。例えば、試験範囲表が意外と大ざっぱに書かれていたりしないでしょうか。そこで、御触書のように、より具体的な内容を明確にしたものを配布することで、生徒たちの具体的な行動を引き出していきます。3年間継続すると、勉強量も大幅に増えます。

―例えば、校内の木を1本決めて、その変化を季節の変わり目ごとに書かせる「木を追う作文」など、本書で紹介されているネタは大変個性的なものが少なくありません。このようなネタはどのようにして生まれてくるのでしょうか。

 「自分の守備範囲外のことに興味をもつ」ということに尽きます。例えば、本屋さんに行っても、いつも同じコーナーに行くのではなく、ときどき全然行かないコーナーに足を向けるのです。こんな小さな習慣が、思わぬ「こと」「もの」につながっていきます。
 また、早朝、深夜、BS等のテレビ番組は、じっくり観ている人の数は少ないですが、意外と教育に役立つヒントやアイデアが隠れています。
 何でも、無意味と思うとアンテナはまったく働きません。「なるほど」を合言葉に、物事を眺めてみるのが大事だと思います。

―最後に、読者の先生方へメッセージをお願いします。

 最後まで読んでくださったということは、何か不思議な縁があるということだと思います。この偶然に免じて、拙著を読んでいただければ幸いです。そして、どこかでお会いできる日を楽しみにしています。読むときには、「はじめに」にあるように、眉毛に唾をつけつつお読みください。

(構成:矢口)
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