著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
教師は子どもをひきつけてなんぼ
奈良県公立小学校教諭土作 彰
2014/7/17 掲載
  • 著者インタビュー
  • 教師力・仕事術
 今回は土作 彰先生に、『THE 教師力』シリーズの最新刊として発刊された『THE ミニネタ力』について伺いました。

土作 彰つちさく あきら

1965年大阪府八尾市生まれ。1990年より奈良県の小学校教員となる。初任者の時に学級が上手くいかず、打開策を求めて全国のセミナー行脚を始める。10年目まで、とにかく授業ネタの収集に明け暮れるが、何かが足りないと気づく。2001年に群馬の元小学校教師深澤久氏の学級を参観し衝撃を受ける。以来、教師に必要な「哲学」論を研究。最近は授業を学級づくりに昇華させる方法論として「3D理論」を考案。日々その実証に明け暮れている。主な著書に、『絶対に学級崩壊させない!ここ一番の「決めゼリフ」―<生き方>に迫る深いいクラスづくり』『学級づくりの3D理論』『日本一元気が出ちゃうLIVE 最強の4人に学ぶ 愉快・痛快・おもしろい!子どもと先生が心底笑えるクラスづくり』(以上、明治図書)などがある。

―今回の書籍は、『THE 教師力』シリーズの1冊として、テーマは「ミニネタ力」です。まず、「ミニネタ」「ミニネタ力」とはどのようなものですか?

 「ミニネタ」とは授業内容に関連し、その内容に深みと奥行きを与える効果のある微細な教育技術のことです。授業は「材料7分に腕3分」と言われます。大きなネタでなくてもいいのです。いわゆる「チョイネタ」=微細な教育技術をたくさん持っていることが力=ミニネタ力になります。私はミニネタさえ良ければ「材料9分、腕1分」もありうるとさえ思っています。それだけ子どもを魅了するミニネタは効果絶大であり、最終的に教師の知的権威を確立することができるのです。

―子どもが興味を持って食いつき、目を輝かせるミニネタは、授業に深みと奥行きを与える点で、とても有効です。その教材の面白さもさることながら、「ただ面白い」だけで終わらせないポイントは何でしょうか?

 「面白い」は子どもを惹きつける際の初期段階といえるでしょう。まずは「面白い」で惹きつけ、次に「分かる」実感を持たせる。最後には「できる」実感を持たせる。そうすれば子どもとのラポールは確固たるものになります。そうすれば最終的には奇をてらったミニネタを用意しなくても、子どもたちは日々の授業を大切にしてくれるようになります。

―土作先生イチオシの鉄板ネタがあれば、教えて下さい

 国語なら「難読漢字テスト」、算数なら「筆算の原理」、社会なら「ユニオンジャックの秘密」、理科なら「真空ポンプ」、道徳なら「特攻隊の授業」、体育なら「陣取り」といったところです。
 絶対にスベりません!

―「ミニネタ」創始者の土作先生がびっくりされた、感銘を受けた他の先生のミニネタがありましたら、幾つかご紹介下さい。

 千葉の女性の先生がご紹介された「水産業」のネタですね。カツオの切り身ネタなんですが、実際に港へ出向いてネタを仕入れてこられたのです。わずか数分の授業のためにそこまでされる心意気に圧倒されました。残念ながらその先生は早世されたのですが、その「ミニネタスピリット」は今も私の魂の中に息づいています。

―最後に、読者の先生方へメッセージをお願い致します。

 なんだかんだ言ってもミニネタを数多く持つことは大きな武器となります。子どもをあっと言わせるミニネタを、教育のプロとしてたくさんゲットして下さい。即効性もありますが、その蓄積はベテランになったときに大きな効果を生み出します。

(構成:及川)

コメントの受付は終了しました。