著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
キー発問により、授業の活性化をうながす!
東京学芸大学附属小金井中学校副校長平田 博嗣
2012/5/28 掲載
 今回は平田博嗣先生に、新刊『これだけははずせない! 中学校社会科単元別「キー発問」アイディア』について伺いました。

平田 博嗣ひらた ひろつぐ

東京学芸大学附属小金井中学校副校長。中学校教科書『新しい社会』(東京書籍)編集協力者。著書は『「思考力・判断力・表現力」をつける社会科授業デザイン 中学校編』(共著)ほか多数。

―本書は、中学校社会科の各単元について、授業の中核となる「キー発問」と授業展開モデルが満載の1冊となっていますが、先生が考える「キー発問」とはどのようなものでしょうか。

 教師にとって、教科・単元・授業の重要なまたは中核となる発問と、生徒にとって、思わず授業に身を乗り出すおもしろい問いとは、必ずしも一致しているとはいえません。今回の「キー発問」は、教師と生徒の両方にとって意味のある発問を意識して、バランスのよい授業を展開していただきたいと考えています。

―本書のテーマであるキー発問で強く意識されているところですが、多くの先生方が目指している「考えさせる授業」を展開するにはどのような工夫が必要でしょうか。

 考えさせる授業を展開するには、やはり仕掛けが必要になってくると思います。教材で「?」が湧いてくるもの、それも簡単なものではなく、少し背伸びをしないとできない内容を発問化するのです。そして挑む姿勢を意識させるのです。また日々「考える」ことの重要性を説いていくことも大切だと思います。単に正答を求めるのではなく、正解に行き着くまでのプロセスを大事に、それが楽しいと思えるようにしていきたいと考えています。

―本書はその単元の「キー発問」に加え、授業の導入・展開・まとめの「授業場面&展開例でわかる授業展開モデル」として、教師と生徒との具体的な対話例が紹介されています。このねらい・活用のポイントについて教えて下さい。

 授業は、教師だけで成立しているわけではありません。生徒の反応を見ながら、漸次目標に向かって進んでいくのです。ですから一つの発問も、授業の流れの中で提示していかないと、本当の授業展開を示すことにはならないと考えています。生徒の反応(答え)は、すぐに教師が意図している答えとはならないこともあります。しかし、わかってはいるのです。そこで教室のなかで、クラスの仲間とともに答えを近づいていく活動が展開されれば、クラス全体の学習効果は確かに上がります。すべての授業を紹介したのですが、本書では紙面の都合で、例として紹介してあります。

―最後に、読者の先生方へメッセージをお願いします。

 「社会科の授業は発問に始まり、発問に終わる」といわれています。発問に始まるのはわかりやすいのですが、発問に終わるとは、どういうことをいうのかと問われます。それは授業全体を通して、新たな疑問や問題が発生して、学校だけでなく、生涯に渡る課題を見出して欲しいと思っています。生涯に渡る課題を、大きな発問とした場合、大きな発問を育て、支えるのが授業中の小さな発問であると考えています。発問って難しいけど、重要だし、おもしろいなと考えてもらいたいと思っています。

(構成:及川)

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