著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
シンプルな体育授業で子どもたちの笑顔を増やそう!
筑波大学附属小学校教諭清水 由
2011/3/11 掲載
 今回は清水先生に、新刊『シンプルで子どもが伸びる体育の授業づくり』について伺いました。

清水 由しみず ゆう

筑波大学附属小学校教諭
1973年、東京都生まれ。東京学芸大学教育学部小学校教員養成課程卒業、筑波大学大学院修士課程体育研究科修了。著書に『とってもビジュアル!筑波の体育授業・中学年編』がある。

―本書で提案されているシンプルな体育授業とはどのようなものでしょうか?

 小学校の教員は全教科教えますよね。どの教科を専門として学んでいるのかは人それぞれです。全国には非常に熱心に体育授業を学んでいる先生方も多いです。でも、全体から見ればほんの一握りだと思います。全国の子どもたちのために、他の教科を専門に学んでいる大多数の先生方にもよい体育授業をしてほしいと願っています。そのためには、準備や内容がシンプルで子どもが伸びを実感できる体育授業を提案する必要があると考えました。

―新指導要領でも重視されている言語活動の充実ですが、体育の授業で取り入れるコツを教えてください。

 体育授業では、発表させたり学習カードなどに記述させたりといったことではなく、運動ができるようになる過程での言語活動を充実させたいです。運動ができるようになるには、運動のイメージやリズムを頭の中だけではなく、言葉として表現することが有効です。例えばオノマトペを使ってリズミカルに声をかけ合うのも1つの方法でしょう。教師が積極的に使うことで子どもも使うようになります。

―「体育は人間形成に役立つ」という言葉もありますが、先生が目指す体育授業とはどのようなものですか?

 体育を学んでいる先生方の中ではそのように言う方も多いように思います。「体育=人間形成」というような単純なものではないと思いますが、良くも悪くもそういった一面も少しはあるのかなと思っています。私の目指す体育授業はそんなに大仰ではなく、子どもたちが仲間と声をかけあったり補助をしあったりしながら笑顔で運動を楽しむことで、個も集団も伸びていく授業です。

―先生はカンボジアの子どもたちの体育授業の普及に関わっているそうですが、具体的にどのような活動をされているのでしょうか?

 筑波大学の岡出美則先生を中心に、有森裕子さんのNPO法人ハート・オブ・ゴールドのカンボジア王国小学校体育科振興作成支援事業(JICA草の根技術協力事業)をお手伝いさせていただいてきました。現地へ赴き、指導者を育てるために話をしたり子どもたちに授業をして見せたりしました。今年でそれも一区切りのため、輪を広げ継続的に支援ができればと思い、本書の印税の一部を寄付することにしました。購入していただくことで一緒にカンボジアの子どもたちを支援していただけますと幸いです。

―最後に、全国の小学校の先生に向けてのメッセージをお願いします。

 基本的に小学校の先生は、みんな頑張っていると思います。全教科教えながら、それぞれ専門を持って子どもたちのために学んでいます。是非、まわりの先生に学んだ情報を伝えていって欲しいと思います。大事なのは、専門としない先生へ伝えるときはシンプルにすることです。シンプルにしていいものを広げ、子どもたちの笑顔が増えればうれしいですね。

(構成:木山)

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