著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
「ことば」を育てる愛のある外国語活動にしよう!
大阪樟蔭女子大学教授菅 正隆
2009/11/13 掲載

菅 正隆かん まさたか

大阪樟蔭女子大学教授。1958年岩手県北上市生まれ。大阪府立高等学校教諭、大阪府教育センター主任指導主事、文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官・国立教育政策研究所教育課程研究センター教育課程調査官を経て2009年4月より現職。主な著書は、『小学校新学習指導要領の展開 外国語活動編』(明治図書)など多数ある。「英語教育(大修館)」に「英語教育ここだけの話」を連載中。

―本書には「英語ノート1、2」の70時間分の指導案が掲載されています。文部科学省の「指導資料」との違いと本書活用のポイントを教えてください。

 「指導資料」にある指導案は、考えられる指導内容全てを網羅しています。したがって、その通り授業を行うのは難しい面もあります。一方、本書は、実際に明治小学校の児童を対象に実践されたものですから、無理なく、ポイントも明確で、指導と評価の一体化が見て取れる構成になっています。また「指導資料」は、担任とネイティブ・スピーカー等とのティーム・ティーチングが基本となっていますが、本書は担任の先生が単独で授業を行う場合の指導案ですので、毎日、忙しい先生方の味方として、すぐに使用できるものになっています。

―評価をどのように行うか…は、外国語活動の課題の1つだと思いますが、本書で紹介されている「評価補助簿」の効果的な活用法を「ここだけの話」としてご紹介ください。

 確かに、評価の在り方、そして、評価方法、評価の記録方法も頭の痛い問題です。しかし、明治小学校では、長年、この課題に取り組んでおり、「評価補助簿」もその一つです。同じように使用する必要はありませんが、児童に合わせて書き直すなどして、評価のよりどころとして使用していただければと思います。評価は説明責任を伴ないます。常にストックしておくことが肝要でしょう。また、耳寄り情報ですが、27日に同校で開催される研究会では評価について参考になる実践を見ることができると思います。

―この本のシリーズ名は「成功する小学校英語」となっていますが、外国語活動を成功させる一番の秘訣は何であると先生はお考えになりますか?

 外国語活動だからといって、特にがんばる必要はありません。普段、先生方が児童と接している姿、そのものを出して、授業を行うことです。先生方は英語を教えるのではなく、児童とともに英語を学ぶモデルとして、そして、先生方も楽しみながら積極的にコミュニケーション図ろうとする姿で臨めばよいのです。この考え方が、本書の柱(同シリーズ2『効果的な外国語活動につながる!英語活動・国際理解の授業プラン』も同様)になっています。

―本書の著者である大牟田市立明治小学校には、興味深いエピソードがたくさんあると伺っていますが、その1つを簡単にご紹介ください。

 まずは、訪問するたびに児童の変わりように驚かされます。確実に「豊かな心」「豊かな言葉」が育っていることを感じます。後は、校長先生ですね。面白いネタは常に一つだけ。自己紹介の時の、「明治の安田です。明治安田です」(校長は安田校長)。はじめはウケていたのですが…。この校長先生、中学校時代に野球部で、あの阪神の真弓監督と二遊間を守っていたとのこと。これは、レア情報です(笑)。

―最後に外国語活動に携わる全国の先生方への熱いメッセージをお願いします!

 外国語活動を特別のものと考えないことです。ただ、教えるというスタンスではなく、児童とともに創り上げるものと考えるべきです。「英語」を教えるのではなく、活動を通して、「ことば」を育てるのです。そこには愛がなければいけません。「英語、英語」と言っても、EIGO(英語)からI(愛)を取ってしまえば、ただのEGO(エゴ)になってしまいます。愛のある外国語活動にしていただきたいと思います。

(構成:木山)

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