- はじめに
- Chapter1 小学校学指導要領「外国語活動」を読み解く
- 1 「外国語活動」導入の経緯とねらい
- @ 導入の経緯
- ■ 導入までの流れ
- A 導入のねらい
- ■ 導入の流れからみるねらい
- ■ 外国語専門部会における審議からみるねらいと内容
- 2 「外国語活動」の目標
- @ 目標
- A 学年の目標
- ■ 第5学年の目標
- ■ 第6学年の目標
- 3 内容の解説
- @ 積極的にコミュニケーションを図る指導
- A 日本と外国の言語や文化について,体験的に理解を深める指導
- 4 内容の取扱いから見る課題
- ■ 取り扱う言語について/複式学級について
- ■ 指導者について/文字の取扱いについて
- ■ 第1学年から第4学年までの取扱いについて
- ■ 小中連携について
- Chapter2 「外国語活動」の主な内容と授業づくり
- 1 積極的にコミュニケーションを図る授業づくり
- ■ カリキュラム/指導者/学級経営
- 2 日本と外国の言語や文化について,体験的に理解を深める授業づくり
- @ 『英語ノート』における文化理解
- A 授業づくりのための留意点
- ■ 「教材研究」の重要性
- ■ 得られた情報をもとに「教材の工夫」を
- ■ 教師,ALTと児童との関係に配慮を/自己評価の活用を
- 3 指導計画作成の留意点
- @ 指導計画の作成について
- ■ 年間目標/具体的な学習内容/単元目標と単元学習内容
- ■ 主な活動/評価の観点とその評価方法
- A 内容の取扱いについて
- 4 指導計画の例
- @ 第5学年の年間計画例
- A 第6学年の年間計画例
- Chapter3 『英語ノート』の内容と活用事例
- 1 『英語ノート』の主な内容と題材
- @ 第5学年の主な内容と題材
- ■ 目標/主な語彙・表現/内容
- A 第6学年の主な内容と題材
- ■ 目標/主な語彙・表現/内容
- 2 『英語ノート』の活用事例
- @ 第5学年の活用事例
- ■ 目標/学習内容と展開例/活動の解説と指導上の留意点
- [Lesson 1] Hello. (ハングル文字省略). Bonjour. 世界の「こんにちは」を知ろう
- [Lesson 2] I'm happy. ジェスチャーをしよう
- [Lesson 3] How many? 数で遊ぼう
- [Lesson 4] I like apples. 自己紹介をしよう
- [Lesson 5] I don't like blue. いろいろな国の衣装を知ろう
- [Lesson 6] What do you want? 外来語を知ろう
- [Lesson 7] What's this? クイズ大会をしよう
- [Lesson 8] I study Japanese. 時間割を作ろう
- [Lesson 9] What would you like? ランチ・メニューを作ろう
- A 第6学年の活用事例
- ■ 目標/学習内容と展開例/活動の解説と指導上の留意点
- [Lesson 1] That's right. アルファベットで遊ぼう
- [Lesson 2] Aa Bb Cc いろいろな文字があることを知ろう
- [Lesson 3] When is your birthday? カレンダーを作ろう
- [Lesson 4] I can swim. できることを紹介しよう
- [Lesson 5] Turn right. 道案内をしよう
- [Lesson 6] I want to go to It 行ってみたい国を紹介しよう
- [Lesson 7] What time do you get up? 自分の一日を紹介しよう
- [Lesson 8] Please help me. オリジナルの劇をつくろう
- [Lesson 9] I want to be a teacher. 将来の夢を紹介しよう
- 付録 小学校学習指導要領 「外国語活動」
はじめに
平成20年3月28日,小学校学習指導要領が改訂され,小学校第5学年及び第6学年に外国語活動が新設された。ここに至るまでには長く険しい道のりであった。歴史を紐とくと,昭和61年4月に,当時の臨時教育審議会「教育改革に関する第二次答申」の中で,「英語教育の開始時期についても検討を進める」とされ,その後,約22年にもおよぶ様々な審議会や研究開発学校等での研究を経て導入されたのである。
しかし,ここに至っても,小学校の外国語教育に関しては様々な意見があり,混沌とした状況に変わりはない。反対を表明している人は,「英語より日本語の方が大切である」「英語を専門としない先生が教えることは,間違った英語を教えることにもつながる」「行政の支援が足りない」などと言い,一方,賛成する人は,「スキルベースでどんどん教えるべきである」「この程度の時間数では効果がない」「このままでは,世界に遅れをとる」などと言う。保護者は,外国語活動の導入により,子どもたちが英語を「聞ける」「話せる」ようになると思い込み,マスコミは,外国語活動の趣旨を理解しないまま,さも英会話学習が行われるかのような間違った報道を行っている。また,現在,全国の小学校において「総合的な学習の時間」で実施されている英語活動は,指導者,時間数,内容等がまちまちで,なかなか効果が上がっていないという指摘もある。
このままの状態が続けば,外国語活動は導入されたが,「総合的な学習の時間」に行われている英語活動と同様,様々な考え方によって外国語活動の趣旨が曲げられ,誤解され,結果として,小学校の先生方は疲弊し,子どもたちは徐々に英語嫌いになっていくことが考えられる。
そこで,本書では,小学校外国語活動の趣旨を正しく理解していただくとともに,まだまだ誤解されている点や課題点を明確にしながら解決方法を詳細に解説するよう配慮した。また,『英語ノート』の実践事例を具体的に示し,指導者である先生方に,「これならできるかもしれない」「やってみようかな」と思っていただけるよう工夫し,「誰にでもできる英語活動」を目指しながら,すべての子どもたちにコミュニケーション能力の素地を身に付けられるように作成した。
本書は,長年に渡り,小学校及び教育委員会,教育センター等で小学校における英語活動に従事してこられた梅本龍多先生及び蛭田勲先生にも参画いただき,先生方や子どもたちの目線でまとめていただいた。
最後になるが,本書を作成するに当たり,様々な示唆に富んだ御助言,御意見をいただいた文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官ならびに国立教育政策研究所教育課程研究センター教育課程調査官の菅正隆氏には心より感謝を申し上げたい。また,企画,作成及び出版に当たっては,明治図書出版の木山麻衣子さんに多大なる御支援をいただいた。執筆が滞り,編集がストップする中で,大好きな野球観戦も絶ち,常に笑顔で我々に接し,激励していただいたおかげで,本書を上梓することができた。心から感謝を申し上げたい。
本書により,小学校外国語活動が適正に実施され,コミュニケーションを楽しむ子どもたちが,全国津々浦々の学校で見られるようになることを期待している。
*なお,平成20年4月に全国の拠点校に配布された『英語ノート』(試作版)では,『英語ノート』5年生,『英語ノート』6年生となっているが,平成21年度に全国に配布される『英語ノート』では,『英語ノート』1(5年生用相当)及び『英語ノート』2(6年生用相当)となることより,本書では,『英語ノート』1,『英語ノート』2の表記を使用した。
2008年11月 編著者一同
キーワードである「コミュニケーションの素地」についても、図解などがあり、わかりやすいと感じました。(C)Kan Masatakaなので、納得ですね!
これほど、英語ノートに忠実な授業例が豊富な本は他にないと思います。同じ研究会の仲間にも紹介します!!!
この本の1章では、外国語活動が英会話などのスキルベースの指導ではなく、コミュニケーションベースで考える必要があることなどが書かれていて、指導要領を読んだだけではわからなかった内容について、大変勉強になりました。
また、英語ノートの内容やノートを使った指導案、関連したゲームなど授業ですぐに使える内容も多く掲載されていて、とても参考になりました。