- 特集 学びの段階とタイプでみる読み書きサポート
- 特集について
- 読み書き習得について学ぶ基礎講座
- (1)読み書き習得の基盤となる認知発達
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- (2)読み書きにおける学びの段階とつまずき
- @「文字への興味・関心」段階
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- A「かな文字の読み」段階
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- B「かな文字の書き」段階
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- C「漢字の読み」段階
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- D「漢字の書き」段階
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- (3)読み書きのアセスメント
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- 読み書きの学びタイプ別サポートアイデア
- ソフト面・指導アイデア
- (1)文字への興味関心が低いタイプへの文字の読み書きに意識を向ける指導アイデア
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- (2)文字の形が捉えにくいタイプへの細部に注意を向ける指導アイデア
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- (3)音韻認識困難を示すタイプへの音韻構造を意識化する指導アイデア
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- (4)かな単語のまとまり読み困難を示すタイプへの流暢な読みを高める指導アイデア
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- (5)漢字の読みが不安定なタイプへの読みの正確性を高める指導アイデア
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- (6)漢字の書きが不安定なタイプへの構成要素を分析する力を高める指導アイデア
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- ハード面・支援アイデア
- (1)ICT活用による学習環境調整
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- (2)読み書き学習における合理的配慮の進め方
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- アイデアいっぱい・誰にでもできる指導法
- 自分自身の個性を見つめ直し,卒業後のよりよい生き方を考える「私ノート」の実践
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- 授業を面白くする手作りグッズ
- 操作によって思考を見える化する
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- 〜動かして「わかる!」お助け教材〜
- 子供イキイキ・学習活動
- 【生活単元学習】おこめだいへんしん
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- 【図工】いろいろ温泉
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- 【体育】先生も生徒も見てわかる! 体育の授業づくり
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- 【自立活動】にがてモンスターをやっつけろ!
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- トピックス (第112回)
- 「中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会 教育課程企画特別部会」を受けて
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- 子供とのかかわりを変える言葉選びのコンセプト・メイキング (第4回)
- 「素朴理論」の罠
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- ホワイトボード・ミーティング(R)でつくる「個別の指導計画」 (第4回)
- 具体的な手立てを明らかにする
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- 〜役割分担会議の手順書編〜
- 心理学的テクニックを活用した子供の課題解決アプローチ (第4回)
- 自己主張できない子供
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- 〜【おすすめの心理学的技法】アサーショントレーニング〜
- 「ことばの教室」の担当になったら「ことばの遅れ」の指導 基礎基本 (第4回)
- 「あいうえお」の詩をつくろう
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- 知的障害者用教科書―星本―を活用した授業実践 (第4回)
- 【さんすう☆】
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- 〜ながい,みじかい(p.80)〜
- 通常の学級の教科指導 個に応じた配慮 (第4回)
- 数の構造理解への支援
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- 〜「10より大きい数」「分数」〜ゲームを手だてにして〜〜
- 学びの土台を育む運動あそび (第4回)
- 適切な姿勢を取れるようになるための運動あそび
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- 子供を育む「手づくり教材」アイデア (第10回)
- [概念理解(色)]ストローで髪型遊び/[概念理解(形)]チェーリング仕分け
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- 特別支援学級の教室づくり&アイテム (第10回)
- 夏に向けて家庭と学校の学習環境を連携しよう
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- 特別支援教育最前線―紹介します,わが県のホープ&エース (第43回)
- 沖縄県
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- 第55回「博報賞」受賞(特別支援教育領域)
- 三重県 三重県立特別支援学校北勢きらら学園
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- 〜子どもたちの学びを支えるために―医療的ケアに関する26年の取組―〜
- 博報賞について
- 編集後記
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編集後記
子供が示す多様な学び方の存在を認め,能力を最大限にひきだす「個別最適な学び」の充実が求められています。この「個別最適な学び」では,教科学習のみならず,読み書きを含め学習を進めるための基礎スキル(学習基礎スキル)の獲得においても適用されます。学習基礎スキルの獲得は,その後の教科教育を進めるための土台となるものであり,学びの基盤が安定することで,より深い学びへとつながります。
一方で,教育現場において読み書きの困難さを示す子供も多く見られ,その状態像も様々です。そのため多様な読み書き困難を示す子供に対して効果的な学習支援を行い,読み書きにおける「個別最適な学び」を保障することは,現代の解決すべき教育課題の一つとして捉えられます。
読み書きに関して,日本語は,かな文字と漢字という二つの異なった表記システムによって構成される世界的にみてもユニークな言語です。通常,日本語における読み書きの学びは,小学校入学以降にかな文字から始まり,次第に漢字へと移行していきます。かな文字と漢字では,読み書きに要する認知処理プロセスが異なるため,どのような文字を読んだり,書いたりするのかによって,学びの段階が異なります。そのため,読み書きの学びの段階によって,顕在化する読み書きの困難像は異なることに注意が必要とされ,支援方法も柔軟に調整していくことが求められます。
そこで本特集では,かな文字,漢字に焦点を当てて,読み書きに関する学びの段階とそのタイプ別におけるサポート内容について取り上げました。はじめに読み書きにおける学びの段階として,文字そのものに対する興味関心を示す段階から,かな文字の読み書き段階,漢字の読み書き段階に至るまでの習得過程について基礎知識を整理するとともに,教育現場において適用可能な読み書きアセスメントを紹介していただきました。次に,それぞれの読み書き困難タイプに応じた指導アイデアについて,その取り組みを紹介してもらいました。最後に,それらの読み書きサポートを支える環境調整,整備についての取り組みを紹介してもらいました。これらの内容を通じて,教育現場における読み書きサポートの実践力が向上することを期待します。
横浜国立大学教育学部 /後藤 隆章
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