特別支援教育の実践情報 2025年6月号
こどもが主語の特別支援教育 ちょっと背中を押す支援

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特別支援教育の実践情報 2025年6月号こどもが主語の特別支援教育 ちょっと背中を押す支援

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ジャンル:
特別支援教育
刊行:
2025年5月7日
対象:
小・中・高
仕様:
B5判 74頁
状態:
在庫あり
出荷:
2025年11月4日

目次

もくじの詳細表示

特集 こどもが主語の特別支援教育 ちょっと背中を押す支援
特集について
こどもを中心にした特別支援教育をはじめよう
宇野 宏幸
こどもと一緒に考える支援
(1)自分研究
[行い方と留意点]
森村 美和子
[事例]
森村 美和子
(2)障害理解教育
[行い方と留意点]
森川 義幸
[事例]「子どもの特性や関わり方を伝える」絵本の読み聞かせ
森川 義幸
(3)本人参加型ケース会議
[行い方と留意点]
冢田 三枝子
[事例]孤独を感じ,本音をつい隠してしまう,高学年女児Aさん
松元 ゆき
(4)当事者の声
保護者の願い こどもの主体性を育む支援を
多久島 睦美
こどもが自分でできるようになるちょっとの支援
(1)自分で動ける学び環境づくり
構造化の考え方を取り入れた環境づくりとツールの工夫
佐々木 敏幸
@物理的構造化 教室レイアウトの工夫
渡邉 優美
A物理的構造化 ロッカー等持ち物整理の工夫
森田 智恵
B時間の構造化 スケジュールの工夫
畠 恭子
C活動の構造化 朝の会・帰りの会での活動の流れの工夫
鈴木 潜
(2)自己選択,自己決定しながら学ぶ授業づくり
@通級指導教室 『協力型コミュニケーションゲーム 3人の魔法使い』を活用した指導
田澤 恵理
A特別支援学級 登場人物の気持ちを想像して友達と楽しく音読しよう!
水戸部 広平
B特別支援学校 こどもの「自分で」「自分から」を引き出す授業づくり
堀込 直道
アイデアいっぱい・誰にでもできる指導法
友達とやりたい活動を選ぼう!
田中 翔大
性教育の第一歩! 大切な「同意」と「からだの権利」の学習
門脇 絵美
授業を面白くする手作りグッズ
自立活動における手作り教材
奥山 俊志哉
〜クリップつなぎで手先の巧緻性を楽しく,主体的に身に付けよう〜
子供イキイキ・学習活動
【国語】学習言語にかかわる漢字の学習と,語彙指導について
水田 めくみ
【算数・数学】文章題を読み取る力を育てる
栗本 奈緒子
【自立活動】好きなポーズをとってみよう!
村浦 新之助
トピックス (第111回)
「新年度における法等に基づくいじめに対する平時からの備えについて(通知)」 他
平沼 源志
子供とのかかわりを変える言葉選びのコンセプト・メイキング (第3回)
「何を言うか」よりも「何を言わないか」を先に決める
川上 康則
ホワイトボード・ミーティング(R)でつくる「個別の指導計画」 (第3回)
「個別の指導計画」の準備―家族の思いを聞く面談―
田中 雅子ちょん せいこ
心理学的テクニックを活用した子供の課題解決アプローチ (第3回)
授業を抜け出す子供
小西 一博
〜【おすすめの心理学的技法】共感的理解〜
「ことばの教室」の担当になったら「ことばの遅れ」の指導 基礎基本 (第3回)
しりとりをしよう
阿部 厚仁
知的障害者用教科書―星本―を活用した授業実践 (第3回)
【こくご☆】あなたはだあれ(pp.70〜81)
宮管 奏衣
通常の学級の教科指導 個に応じた配慮 (第3回)
小学校国語における困難への支援
上條 大志
学びの土台を育む運動あそび (第3回)
給食の準備にも! お箸を上手に使えるようになる運動あそび
堂面 勝哉
子供を育む「手づくり教材」アイデア (第9回)
[日常生活の動き]にょきにょきチンアナゴ/[指先の動き]カラフルフックつけ
ごーや
特別支援学級の教室づくり&アイテム (第9回)
梅雨を感じる壁面&貼る・敷く・つけるだけ教室環境アイデア
いるかどり
写真で見る 工夫がキラリ★教室環境づくり・校内環境づくり (第43回)
分けること,揃えることで「共通」「共同」「共存」
武田 幸造
編集後記
喜多 好一

編集後記

 現在,主体的,対話的で深い学びを促す授業の実現に向けて,「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実を図る取組が全国的に研究されています。特にこれまで教師側の視点が語られてきた「個に応じた指導」の名称が,こども側の視点で「個別最適な学び」に変わり,「指導の個別化」では個々の学習内容の確実な定着を,「学習の個性化」ではこどもが自ら学習を深め広げることをそれぞれねらっています。

 「指導の個別化」は,一単位の授業の目標の達成を目指し,一人一人に応じた手立てを講じることを意味します。「学習の個性化」は,個々に学習課題を設定し,これまでの見方や考え方を生かしながら,解決していく学習です。この2つの学習へのアプローチはそれぞれ違いますが,共通しているのはこども主体の学習であることです。自ら学習課題や取り組み方を自己選択,自己決定して取り組みながら,時に自己調整し,自らの学びを探究し,深めます。教師は,このようなこどもの主体的な学びの伴奏者として,必要に応じて個々の特性や学習進度,学習の到達度に応じた手立てを提供したり,個々に応じた学習活動や学習課題を提供したりすることが大切になっています。

 このような教育改革がすすむ中,特別支援教育も同一歩調ですすむことが求められます。これまで特別支援教育は,障害のあるこどもの実態からアセスメントし,指導すべき課題を定め,達成に向けた個々の指導目標や内容,方法を個別の指導計画に落とし込んで授業実践を積み上げてきた歴史があります。教育の中心にこどもを据えながらも,障害による生活上,学習上の困難さの改善・克服が主となっていて,こども自身の主体性を育む視点が弱かったのではと感じています。

 障害のあるこどもの自主性や主体性を育むために自己選択や自己決定の機会を設けると学習指導要領に記載されているように,これまでの個に応じた指導を踏まえながら,こどもを主語にした主体的な学びを促す教育にシフトしていくことが重要と考えます。

 本特集では,特別支援学校や特別支援学級,通級指導教室等の生活や学習において,障害のあるこどもが主体的に動くためのちょっとした支援,しかけを多数,紹介しています。今回の特集を通して,改めてこども側の視点に立ち,「こどもが主語の特別支援教育」にチャレンジしてみましょう。


   /喜多 好一

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