自閉症教育の実践研究 2011年2月号
20号 「できる」「わかる」「見通しのもてる」授業を!

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自閉症教育の実践研究 2011年2月号20号 「できる」「わかる」「見通しのもてる」授業を!

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ジャンル:
特別支援教育
刊行:
2011年1月20日
対象:
小・中
仕様:
B5判 68頁
状態:
絶版
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目次

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特集 「できる」「わかる」「見通しのもてる」授業を!
特集について
上岡 一世
1 提言
子どもが主体的に活動参加する授業づくり
村中 智彦
2 「できる」「わかる」「見通しのもてる」授業の実際
事例1 【日常生活の指導】安心して活動場所へ1人で移動できるために
西村 則子
事例2 【日常生活の指導】一つ一つできることを繋ぎ合わせ、生きる力へ
平良 功
事例3 【遊びの指導】遊具を介した大人、友達とのかかわりを通して
相畑 利行
事例4 【遊びの指導】「逃げる」ことの練習に焦点をあてて
小沼 順子
事例5 【生活単元学習】自分の役割がわかり、主体的に活動する姿を目指して
吉野 和博
事例6 【生活単元学習】児童が進んで課題に取り組む手立てと支援
Mア 奈緒
事例7 【生活単元学習】みんな大好き調理学習
北尾 美穂
事例8 【作業学習】どの生徒にもわかり、自分の実力を十分に発揮できる
小林 真樹
事例9 【作業学習】集団の中で主体的に作業学習に取り組むために
石田 千里
事例10 【作業学習】5つの視点に基づいたコンクリート班の取組
渡邉 良彦内田 眞理
事例11 【国語】友達と一緒に「わかる」経験を通して「できる」ことをめざした言葉の指導
高井 和美
事例12 【数学】お菓子はあといくつ
黒地 忍
事例13 【体育】子どもたちが主体的、協同的に学ぶ姿を目指して
立石 有紀
事例14 【音楽】見通しをもち主体的に活動できる音楽授業の在り方(小学部)
武田 恵奈
子どもの作品
岡山県立岡山南支援学校図工美術担当
構造化のアイデア (第19回)
障害者が主役となって働ける職場の紹介C
藤井 真理子
〜職場での生活を支える工夫〜
自閉症の子どもに効果的な教材・教具
全校で! そして、個々に合わせて!
柳澤 順子
人とかかわる力を伸ばす指導・支援
人とのかかわりの力を伸ばすコミュニケーションの指導
景山 陽子
応用・般化する力を身につける指導・支援
♪おでかけロック♪で校外学習に行こう!
田爪 昭宣
〜音楽を使った校外学習での取り組み(生活単元学習)〜
ソーシャルスキルを身につける指導・支援
時間を意識し、自主的に活動することをめざして
片岡由起子
〜クラスの仲間が関わり合って、みんなで時間を守る〜
教育機器の効果的な活用
携帯性・操作性にすぐれたVOCA「ドロップトーク」
青木 高光
〜学校現場から生まれたiPhone用ソフトウェア〜
こうすれば不適切行動は改善できる
学校行事「運動会・文化祭」はこう工夫すれば不適切行動を改善できる
大杉 成喜
実践研究
学習したことが日常生活で使えるためのコミュニケーション指導
尾岸 純子
何でも教育相談室
将来の生活を見通して、今育てたいこと
安延 孝一郎
わが校の自閉症教育
成長に合わせた支援ツールの工夫
仲西 久美子
〜「使いやすく」「作りやすく」「変化を」〜
本の紹介
『自閉症支援の最前線―さまざまなアプローチ』
上岡 一世
支援・対応の仕方で子どもはこんなに変わる (第4回)
必要な配慮と対応の仕方
小島 秀子
〜障害特性を理解するということ〜
どうすればコミュニケーション能力を高めることができるか (第4回)
他者との関係性の理解
花熊 曉
どうすれば実社会に通用する力を育てることができるか (第4回)
援助つき自立のあり方
梅永 雄二
企業で働く人たち (第20回)
夢を実現し、生き生きとした生活を送っているKさん
福崎 正浩
保護者の悩みに応える支援 (第4回)
学齢期から始める就労のための自己コントロールとコミュニケーション(4)
井上 雅彦
就労を実現する自閉症教育 (第20回)
自己効力感を高める
上岡 一世
編集後記
上岡 一世

特集について

「できる」「わかる」「見通しのもてる」授業を!


「できる,わかる,見通しのもてる授業」「子どもが生き生きと主体的に活動できる授業」,これはすべての教師が目指している目標です。また,その実現に向け,先生方はみなさん日々努力をしています。しかし,現実にはこの目標をクリアするのはなかなかに難しく,対応に苦慮しているのが学校現場の実態のようです。先生方からは「子どもにできる課題を与えているがやる気を見せない。意欲的にしようとしない。どうすればよいか」「子どもの実態に合わせて,わかる課題を設定することで学習の成果は出ているが,場面や状況が変われば通用しない。応用・般化できるようにするためにはどうすればよいか」「見通しがもてるようにスケジュールカードを使っているが,機能させることが難しく,一つ一つ指示が必要である。見通しをもたせる手立てはどのようにすればよいか」「自分に興味関心があることには意欲的,主体的に取り組むが,興味関心がないことは,できる,わかる,見通しのもてる活動であっても取り組もうとしない。どうすればよいか」などの声を聞くことも多くあります。

できてもわかっていなければ動けません。できて,わかっていても見通しがもてなければ意欲の持続はできません。できて,わかって,見通しがもてても,興味関心や目的意識がなければ,生き生きとした活動は生まれません。単にできることが重要なのではありません。わかることが重要なのではありません。見通しがもてることが重要なのでもありません。できること,わかること,見通すことをどう連動させる学習を設定し,意欲を引き出す,目的意識がもてる支援をするかが重要です。授業で目指さなければならないことは「人と関わりながら,見通しをもって主体的,目的的に生き生きと活動する」ことです。子どもが,どのように見通しをもって,どんな意識で主体的,目的的に活動できているかがポイントとなります。活動できることよりも活動の質を高めるための支援が求められていると言えます。

自閉症の子どもには,個々に応じた環境的支援や支援ツールが授業に有効であることがわかっています。しかし,どういう環境的支援や支援ツールを使用すればよいかについてはまだまだ課題が残されています。

今回の特集では,「できる,わかる,見通しのもてる授業」を行うためには,どういう環境的支援,支援ツールが有効かについて考えてみました。授業とは教師が計画するものであり,環境的支援,支援ツールも教師が行うものです。教師の適切な授業計画や支援,対応次第で子どもは間違いなく,生き生きと学習活動に取り組むはずです。そうした実践事例を集めましたので,参考にしてほしいと思います。

(上岡 一世)

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