自閉症教育の実践研究 2010年11月号
19号 キャリア教育の視点から自閉症教育を考える

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自閉症教育の実践研究 2010年11月号19号 キャリア教育の視点から自閉症教育を考える

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ジャンル:
特別支援教育
刊行:
2010年10月20日
対象:
小・中
仕様:
B5判 68頁
状態:
絶版
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目次

もくじの詳細表示

特集 キャリア教育の視点から自閉症教育を考える
特集について
上岡 一世
提言
キャリア教育と自閉症教育
木村 宣孝
キャリア教育を取り入れた指導の実際
事例/小学校期
基本行動を身につけさせる低学年の学級経営〜自分のことを自分で正しくできる子どもを育てるために〜
武田 恵奈
「日常生活の指導」で働く意欲を高める
佐藤 統
事例/中学校期
キャリア発達を捉えながら、勤労観・職業観の伸張に向けて〜「大学での現場実習」を通して〜
岸川 英司
勤労観を育むための事前学習、見学・体験を
石川 敦士
事例/高等学校期
生徒一人一人の「気づき」と「自己開発」を支援する
井上 美加
働く意欲、生活力を高める指導
白鳥 史野
「知的障害特別支援学校高等部職業学科」における取り組み
渡辺 裕介
子どもの作品
沖 瑞穂
構造化のアイデア (第18回)
障害者が主役となって働ける職場の紹介B
藤井 真理子
〜職場環境の見える化〜
自閉症の子どもに効果的な教材・教具
自立課題で主体的行動を促す工夫
渡邉 寛子
人とかかわる力を伸ばす指導・支援
要求が通じるうれしさ、喜び、そして共有体験を増やすために
田中 未知
〜好きな物を手ががりに人とかかわる気持ちを育む〜
応用・般化する力を身につける指導・支援
『考える』ことを大切にした支援の工夫
伊藤 之修
ソーシャルスキルを身につける指導・支援
ひとつひとつ、ていねいに伝えていくこと
遠藤 純子
教育機器の効果的な活用
人物画で表情表現ができる!
大羽 沢子
〜効果的なプレゼンソフトの活用〜
こうすれば不適切行動は改善できる
日記の活用で行動の改善が見られたAさん〜持ち物の管理〜
石本 直巳
実践研究
キャリア教育の視点に立った卒業後の「働く生活」を実現する小学部段階の取組
川本 奏
〜主体的に行動できることを目指した自閉症児K君の掃除の指導〜
何でも教育相談室
生活習慣の形成を目指した保護者への支援
國分 聡子
わが校の自閉症教育
卒業後を見通した作業学習の取り組み
岩沼 見奈
本の紹介
『自閉症・発達障害への対応』―基礎から活用へ―
上岡 一世
支援・対応の仕方で子どもはこんなに変わる (第3回)
二次障害の苦しみ〜Mさんの教育支援を通して〜
小島 秀子
どうすればコミュニケーション能力を高めることができるか (第3回)
「こだわり行動」への対応(2)
花熊 曉
どうすれば実社会に通用する力を育てることができるか (第3回)
ライフ・スキルの獲得
梅永 雄二
企業で働く人たち (第19回)
A子の働く意欲を引き出す就労支援
蛭田 憲一
保護者の悩みに応える支援 (第3回)
学齢期から始める就労のための自己コントロールとコミュニケーション(3)
井上 雅彦
就労を実現する自閉症教育 (第19回)
人とかかわる力を伸ばす
上岡 一世
編集後記
上岡 一世

特集について

キャリア教育の視点から自閉症教育を考える


今,特別支援教育においては,キャリア教育の視点で教育内容,教育方法を見直すことが求められています。それは,すべての子どもたちが地域で働き,暮らすことを当たり前にするためです。キャリア教育は子どもたちが生きる力を身につけ,社会人,職業人として自立するためには欠かせない教育です。勤労観,職業観を育成する教育とも言われています。

勤労観とは,家庭生活,学校生活,地域生活,職業生活,社会生活に適応する力を高めることです。勤労観が育っていなければ就労の実現は難しくなります。具体的には意欲,主体性,役割遂行,貢献がキーワードとなります。勤労観の育成は幼児期から高校生期まですべての年齢にわたってほぼ平均的に重視する必要があります。それぞれの年齢に応じたQOLの累積が,就労に必要な勤労観を育てるのです。高校生期になって慌てても,決して身につくものではありません。

職業観とは,職業的自立に必要な知識,技能,態度を言います。実際に通用する働く力を身につけることがポイントとなります。これは勤労観と違って,小学校高学年ごろから指導をはじめ,年齢が上がるにつれて徐々に重要度が増していきます。高等学校卒業時にはどうしても身についていなければならない力です。

言うまでもなく,勤労観が育っていなければ職業観は育ちません。生活意欲がなければ働く意欲は育たないし,機能する働く力にはなり得ません。働く意欲を高めるためには,それぞれの年齢に応じた生活を主体的,意欲的に送り,生活意欲を高めていくことが何よりも重要になります。

こうして考えると,キャリア教育は自閉症の子どもにこそ必要な教育ではないかと思います。自閉症教育をキャリア教育の視点で見直し,指導内容,指導方法を改善していけば,彼らの自立,社会参加,就労の可能性もかなり広がると考えられます。

キャリア教育は,特別支援教育現場でようやく取り組みが始まったばかりです。今回は,そんな中で,全国的にキャリア教育の実践に先進的に取り組み,成果をあげている事例を紹介し,自閉症教育の新たな方向性を見いだすことをねらいに特集を企画してみました。学校教育12年間をどのように組織し,どのような課題を,どのような段階で積み上げていくことが必要か,事例を通して,明らかになればと思っています。読者の方々に,これからの自閉症教育を考えるきっかけにしてほしいと願っています。

(上岡一世)

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