自閉症教育の実践研究 2010年8月号
18号 子どものやる気を引き出す学習課題・環境設定の工夫

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自閉症教育の実践研究 2010年8月号18号 子どものやる気を引き出す学習課題・環境設定の工夫

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ジャンル:
特別支援教育
刊行:
2010年7月21日
対象:
小・中
仕様:
B5判 68頁
状態:
絶版
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目次

もくじの詳細表示

特集 子どものやる気を引き出す学習課題・環境設定の工夫
特集について
上岡 一世
提言/やる気を引き出す学習課題・環境設定とは
主体的に活動に取り組むための学習課題・環境設定の視点
井上 昌士
子どものやる気を引き出す工夫の実際
事例/日常生活の指導・着替え
わかりやすく自分の力でできるように
三村 和子
事例/日常生活の指導・掃除
わかってできると掃除は楽しい
本間 希久恵
事例/日常生活の指導・朝の会
子どもたちが「やりたい!」と思う朝の会をめざして
小野寺 輝子
事例/遊び
「遊び」を基盤とした生活単元学習の授業づくり
藤森 哲
いっしょに あそぼう
釜親 明子
事例/生活単元学習〈小学校〉
集団の中で自らめいっぱい活動する
中山 哲
事例/生活単元学習〈中学部〉
卒業後の「働く生活」を実現するために必要な能力や態度を育てる
高市 幸造
事例/生活単元学習〈高等部〉
家事の力をつけよう
川原 貴之
事例/作業学習・レザークラフト
特性を生かすことのできる作業工程を見出す
織部 恵理子
事例/作業学習・木工
ぬくもりのある製品作りを目指して
長谷川 豊治
事例/作業学習・食品加工
企業就労にスムーズに移行できる作業学習(専門教科)のあり方
山本 静
事例/作業学習・農耕
作業の意欲を高めるための手順書、報酬等の活用
畠山 士雄
事例/教科・国語
ことばを育てるコミュニケーション
園部 宏
事例/教科・算数
「ぴったり同じに分けよう!〜わり算の考え方を使って〜」を通して具体物を等分できるようになったLさん
竹脇 里織
子どもの作品
井上 剛史
構造化のアイデア (第17回)
障害者が主役となって働ける職場の紹介A
藤井 真理子
〜作業へ見通しをもつための構造化と工夫〜
自閉症の子どもに効果的な教材・教具
好きがいちばん
山田 哲男
〜子どもも先生も〜
人とかかわる力を伸ばす指導・支援
得た情報や自分の思いを言語化し整理するための支援
三川 綱一
応用・般化する力を身につける指導・支援
その子に合った枠組みを使って、応用・般化を進めていく
弓削 香織
ソーシャルスキルを身につける指導・支援
学校・家庭・関係機関が連携し、「いきいき働く」ソーシャルスキル支援
浅川 義丈
教育機器の効果的な活用
子どもの意欲を高めるパソコン、支援機器やソフトウエアの活用〜自分で取り組む姿勢を育てるために〜
梅田 真理
こうすれば不適切行動は改善できる
安心できる居場所で不適切行動が軽減したAさん
東出 万里子
実践研究
作業学習の授業を通して
池田 勝己
〜Sさんの事例〜
何でも教育相談室
アイデアを出し合いチームでの支援を!
小田 浩三中山 龍也
わが校の自閉症教育
『優しく 易しく やさしい』環境づくり
米谷 めぐみ
本の紹介
『自閉症指導・支援のための情報データ活用実践』
上岡 一世
〜「伝え合う関係」を大切にした取り組み〜
支援・対応の仕方で子どもはこんなに変わる (第2回)
生理指導を通してのAさんの変容
小島 秀子
どうすればコミュニケーション能力を高めることができるか (第2回)
「こだわり行動」への対応(1)
花熊 曉
どうすれば実社会に通用する力を育てることができるか (第2回)
アセスメントに基づく職業指導
梅永 雄二
企業で働く人たち (第18回)
生き生き自閉症らしく輝いて働くTさん
菊地 直樹
保護者の悩みに応える支援 (第2回)
学齢期から始める就労のための自己コントロールとコミュニケーション(2)
井上 雅彦
就労を実現する自閉症教育 (第18回)
生きる力を身につける
上岡 一世
編集後記
上岡 一世

特集について

子どものやる気を引き出す学習課題・環境設定の工夫


教師や保護者から,よく「自閉症の子どもはやる気がない」「言われたとおり活動はするが,まったくやる気を感じない」「何をやらせても,慌てず騒がずマイペースである」などとあたかも,やる気のなさが彼らの障害の一つかのように聞かされることがあります。決してそうではありません。意欲,やる気は人間の本来性のもので,自閉症の人たちもみんなもっています。その証拠に彼らは興味,関心の高い事柄なら普段では考えられないようなやる気を示すことがあります。これは多くの人が経験していることではないでしょうか。彼らはやる気はもっていますが,認知障害のために理解することが難しく,通常の子どものように何にでもそれを発揮することができないだけです。

例えば,やることがわからなければやりたくてもやれません。自分がどう行動してよいかわからなければ動きたくても動けません。しかし,やることがわかれば,動き方がわかれば一生懸命できる子どもです。手抜きは決してしません。むしろ一生懸命にしかやれない子どもと言った方がよいのかもしれません。「課題が理解でき,見通しが立つと,休憩時間も休まずやり通した」という話をよく聞きます。彼らはしんどいとかしんどくないとかで活動をしたり,しなかったりはしません。彼らは,課題をこなすとき,理解でき,見通しが立てば,いつまでも続けることのできるすばらしい特性をもっています。これが彼らのよさでもあり,職場で働き,貢献できている理由でもあります。こうした特性,よさを理解した上で,支援や対応を考えれば,やる気は当たり前に出てくるはずです。子どもに意欲,やる気がないと言うならば,それは子どもに問題があるのではなく,指導者側に問題があると考えるべきだと思います。学習環境,学習課題の設定,支援,対応のあり方をもう一度吟味する必要があります。

では,具体的にどのようにすれば,彼らのやる気を引き出すことができるのでしょう。

この特集では,教師や保護者からよく相談を受ける「どうすれば彼らのやる気を引き出すことができるのか」の問いに答えるために,実際に彼らのやる気を引き出した効果的な指導事例を集めました。この特集を通して,支援の仕方や学習課題,環境設定を工夫すれば,彼らのやる気を引き出すのもそれほど難しくないことが理解でき,やる気を引き出す取り組みを積極的に始めるようになれば,と願っています。事例は学校生活が中心ですが,家庭生活にも十分活用できる内容になっていますので,保護者にも働きかけをし,理解を深めてほしいと思います。

(上岡一世)

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