自閉症教育の実践研究 2010年5月号
17号 先進事例に学ぼう! 効果的な教育課程、指導内容・方法とは

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自閉症教育の実践研究 2010年5月号17号 先進事例に学ぼう! 効果的な教育課程、指導内容・方法とは

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ジャンル:
特別支援教育
刊行:
2010年4月21日
対象:
小・中
仕様:
B5判 68頁
状態:
絶版
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目次

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特集 先進事例に学ぼう! 効果的な教育課程,指導内容・方法とは
特集について
上岡 一世
提言/教育課程の編成にあたって
効果的な教育課程編成のために―自閉症教育方法史の視点から―
太田 正己
自閉症教育の取り組みの実際
【事例】コミュニケーションスキルを育てる「社会性の学習」を通して
大橋 小弓
【事例】「つたわる」「わかる」「つながる」授業を目指して
池頭 一浩
【事例】地域で豊かに生きることを目指した教育課程〜主体的に人とかかわる力の育成に向けて〜
宮下 知子
【事例】社会参加と自立を促す幼稚部・小学部一貫した教育課程の編成〜筑波大学附属久里浜特別支援学校の取り組みから〜
山内 功
【事例】「働く人を育てる」を柱に
村松 智惠子
【事例】社会性を育てる「パワーアップタイム」の取り組み〜自分の思いや願いを実現するための,コミュニケーション・ソーシャルスキルの学習〜
紅野 真弓
【事例】卒業後の「働く生活」を実現するために〜キャリア教育の視点から12年間の教育内容を検討する〜
烏谷 真由美
子どもの作品
中田 綾子
構造化のアイデア (第16回)
障害者が主役となって働ける職場の紹介@
藤井 真理子
〜作業自立のための補助具と工夫〜
自閉症の子どもに効果的な教材・教具
プロの清掃作業従事者を目指して
乗松 三和子
〜愛媛大学学内環境整備チーム“EHIME UNIVERSITY愛Clean”での取り組み〜
人とかかわる力を伸ばす指導・支援
ほめること,みとめること
小山田 真由美
〜相互のやりとりの中で育つかかわり:「分かり合う」「楽しむ」〜
応用・般化する力を身につける指導・支援
「思い出かるた」で遊ぼう
朝田 葉子
ソーシャルスキルを身につける指導・支援
あいさつやお礼の言葉の獲得を目指して
家久 佳子
〜人とかかわることが好きな自閉症児Aさんの事例から〜
教育機器の効果的な活用
生徒と「デジタル絵本」を作製しよう!
中川 宣子
こうすれば不適切行動は改善できる
活動時の人や物の環境を整えることで不適切行動が減ったA君
前田 吉秀
実践研究
生活教育を基盤にした発達障害児への支援について
岡部 博文
〜個と仲間の思いを大事にしたクラス遊びの実践を通して〜
何でも教育相談室
地域の中で楽しむことができる余暇活動の充実を目指して
天羽 妃美子
わが校の自閉症教育
分かりやすい環境づくり
木 敏昭
〜視覚的支援の活用〜
本の紹介
『家庭で無理なく楽しくできる生活・学習課題46』
上岡 一世
〜自閉症の子どものためのABA(応用行動宇分析)基本プログラム〜
支援・対応の仕方で子どもはこんなに変わる (第1回)
間違った認知をさせないために
小島 秀子
〜心に働きかける〜
どうすればコミュニケーション能力を高めることができるか (第1回)
からだを通じたコミュニケーション
花熊 曉
どうすれば実社会に通用する力を育てることができるか (第1回)
自閉症の特徴と社会参加の課題
梅永 雄二
企業で働く人たち (第17回)
見事に成長したS君〜支援を受けて〜
稲田 ひさ子
保護者の悩みに応える支援 (第1回)
学齢期から始める就労のための自己コントロールとコミュニケーション
井上 雅彦
就労を実現する自閉症教育 (第17回)
先入観を持たない対応
上岡 一世
編集後記
上岡 一世

特集について

先進事例に学ぼう!効果的な教育課程,指導内容・方法とは


知的障害特別支援学校では,自閉症と診断されたり,自閉症の疑いのある児童・生徒が増えており,全国の平均在籍率は約30%といわれています。学校によっては50%を越すところもあり,今や自閉症に対する指導内容や指導方法を考えることなくして,知的障害特別支援学校の教育は成り立たなくなってきています。この傾向は特別支援学級にも及んでおり,特別支援学校,特別支援学級を問わず,自閉症教育の充実と組織的な取り組みの確立は早急に解決しなければならない課題となっています。

では,それぞれの学校で,自閉症の児童・生徒に対してどういう取り組みがおこなわれているのでしょうか。全国的に統一的に確立されたものはなく,試行錯誤の状態が続いています。各学校の取り組みや対応の仕方を見てみても,かなり差があります。学校全体で対応を考え取り組んでいるところもあれば,学部単位での対応のところ,また学級で担任が独自に対応しているところもあります。さらには特別な配慮もなく,知的障害とあまり変わらない対応のところもあります。学習集団も違いが見られます。自閉症の児童・生徒だけを集めて学級編成し指導しているところもあれば,従来のように知的障害と一緒に集団を作り,指導をしているところもあります。個別で対応をしているところもあれば,集団を重視しているところもあります。指導内容や指導方法,環境設定のあり方はどうかというと,これはまさに千差万別です。同じ学校でも学級により違いが見られることも少なくありません。

こうした教育内容,教育方法,教育姿勢の差は,当然ながら自閉症の児童・生徒の将来にも影響を与えており,就労率においても学校間,地域間格差が見られます。

今回の特集では,こうした課題に焦点を当て,自閉症の児童・生徒に対してどういう教育課程が望ましいか,どういう指導内容,方法が効果的かについて,先進的に取り組んでおられる知的障害特別支援学校の事例を紹介し,これからの自閉症教育のあり方や組織的な取り組みの方策を検討する機会にしたいと考えました。

自閉症の児童・生徒は,1年間の取り組みにより成長・発達したからといって,将来の成長・発達が保障されるかというと,そうではありません。せっかくの成長・発達が次の年には退行へと変じ,保護者をがっかりさせるという例も少なくありません。効果的な指導・支援の一貫的,組織的な取り組みはどうあればよいか,読者の方々と共に考えることができればと願っています。

(上岡一世)

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