- 特集 自立や社会参加、就労に結ぶ作業学習の工夫
- 特集について
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- 1 提言/生きる力を身につける作業学習とは
- 「人」や「もの」とつながることができる作業学習を
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- 2 自立や社会参加、就労に結ぶ作業学習の実際
- 事例1【木工】
- 人と関わりながら自らわかり、動き、働くための支援の工夫
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- 事例2【木工】
- 一人ひとりの特性に合わせた力を発揮できる作業
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- 事例3【紙工】
- 1人1役で作り上げるハガキ
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- 事例4【紙工】
- 作業を通して、自己効力感、社会とのつながりを育む
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- 事例5【布工】
- 子どもの特性に合わせて、意欲的、主体的に取り組む作業学習の展開
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- 事例6【陶芸(窯業)】
- 仕事への意識や誇りをもって取り組めるようになったAさん
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- 事例7【陶芸(窯業)】
- 誰もができる作業工程でよい製品を〜主体的に活動する姿を目指して〜
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- 事例8【園芸(農耕)】
- 高等部におけるEM菌を使った有機肥料作り
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- 事例9【園芸(農耕)】
- 一人一人が主体的に活動できる作業学習を目指して〜高等部全体で取り組む花の栽培〜
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- 事例10【印刷】
- 見通しのある作業種目を通して判断し解決する力を身につける〜働く力を育てる授業づくり〜
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- 事例11【流通サービス】
- 就労への可能性を広げる基礎基本の徹底
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- 事例12【食品加工】
- 主体的にできる力を引き出す教材、授業作り
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- 事例13【清掃作業】
- 働く環境を整えることで確かな仕事を!〜ビルメンテナンス班の取り組み〜
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- 事例14【清掃作業】
- 一般就労に向け、臨機応変に対応できる力を育てるために〜地域に貢献するビルメンテナンス作業(出前清掃)〜
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- 子どもの作品
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- 構造化のアイデア (第20回)
- もっている能力を引き出しさらに発展させるための構造化@
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- 〜ワークスケジュールの理解と発展〜
- 主体性を発揮する授業のアイデア (第1回)
- 日常生活の指導「掃除」における実践
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- 〜コミュニケーション能力を育むことで主体的な活動を導く取組〜〜
- 生活に応用・般化する力を身につける指導・支援 (第1回)
- 事務室で学ぶ「人間関係の形成」
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- 社会性が身につく指導・支援 (第1回)
- 大好きな仲間の中で身につける
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- 〜仲間との活動を通して〜
- 人とかかわる力を伸ばす指導・支援
- 友達となかよく関わり合う
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- こうすれば不適切行動は改善できる
- 子どもを受け入れつつ、ルールやきまりを意識づける支援の工夫
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- 実践研究
- 自閉症のある児童生徒一人一人に応じた支援と教育課程の在り方
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- 〜主体的に活動する授業づくり〜
- 何でも教育相談室
- 通常の学級内での支援や指導
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- 〜通常の学級担任との相談を通して〜
- わが校の自閉症教育
- スライドショーでみんながわかる儀式的行事
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- 本の紹介
- 『自閉症の子があなたに知ってほしいこと』
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- 自閉症の子どもに効果的な支援ツールの実際 (第1回)
- 自閉症の子どもの支援ツールの活用と授業づくり
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- 〜学校・家庭・地域生活への参加を高める支援ツール〜
- 効果的なコミュニケーション支援の実際 (第1回)
- 教師と子どものコミュニケーション
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- 運動で自己コントロール力をつける (第1回)
- 運動指導に入るまで
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- 企業で働く人たち (第21回)
- 日々発見!
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- 〜入社3年目のKさんのがんばり〜
- 働く生活を実現するための指導の実際 (第1回)
- すべての子どもの自立と社会参加と就労の実現を目指して
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- 自己肯定感を育む性教育 (第1回)
- 中学部【はーとたいむ】の実践
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- 就労を実現する自閉症教育 (第21回)
- 働く力を育てる
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- 編集後記
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特集について
自立や社会参加,就労に結ぶ作業学習の工夫
先生方に「自閉症の子どもが最も意欲的,主体的に取り組んでいる学習は何か」と問うと,小学部では日常生活指導や生活単元学習で作業的活動に従事しているとき,中・高等部では大半が作業学習と答えます。さらに,その理由を尋ねると「わかりやすい」「見通しが立ちやすい」「目的がはっきりしている」「同じ活動が豊富に用意されている」「自分のもっている能力が生かされやすい」「体を使うことで情緒が安定されやすい」など,作業的活動や作業学習には彼らの特性に合った学習がたくさん含まれていることがわかります。
言うまでもなく,子どもが成長,発達するためには,子どもが学習活動に意欲的,主体的に取り組むのが基本条件です。作業的活動や作業学習は自閉症の子どもの特性に合っているだけでなく,この基本条件を満たしやすい学習であると言えます。知的障害特別支援学校の中学部や高等部では,作業学習は教育課程の中核に位置づけ,将来の社会生活に向けて職業教育の充実が図られています。作業学習の時間もかなり多くとっています。高等部になると週時間の大半が作業学習という学校もあります。こうした現状を考えると,作業学習の充実を図ることなくして,彼らの自立や社会参加,就労は望めないと言っても過言ではありません。子どもの能力や特性に合わせて,意欲的,主体的に取り組む作業学習が展開できれば,彼らの将来に間違いなく期待が広がります。
今回の特集では,自閉症の子どもに対して,どういう作業種目が適切か,どのような作業課題を設定し,どのような方法で学習を展開すれば,意欲的,主体的に取り組めるようになるのか,成長,発達が期待できるか,について事例を通して検討してみることにしました。具体的には,障害の程度や特性に応じた作業種目とはどういうものか,どういう作業内容や作業工程が必要か,効果的な支援のあり方とは何か,彼らの実態に合わせた製品開発や補助具の工夫はどのようにすればよいか,さらには構造化の整備,評価のあり方などについても検討できればと考えています。
それぞれの事例については,全国各地で作業学習に取り組んでおられるベテランの先生方に執筆をお願いしました。作業種目についても,多くの学校で行っている,木工,布工(縫工),紙工,印刷,陶芸(窯業),食品加工,園芸(農耕),流通サービス,清掃を取り上げました。是非参考にしていただき,自閉症の子どもに対する作業学習の効果的なあり方について,再検討する機会になればと願っています。
(上岡一世)
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- 明治図書