LD,ADHD&ASD 2017年7月号
ICT活用で苦手さのある子の学びを保障する―教室で行う合理的配慮―

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LD,ADHD&ASD 2017年7月号ICT活用で苦手さのある子の学びを保障する―教室で行う合理的配慮―

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ジャンル:
特別支援教育
刊行:
2017年6月22日
対象:
小・中
仕様:
B5判 70頁
状態:
絶版
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目次

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特集 ICT活用で苦手さのある子の学びを保障する―教室で行う合理的配慮―
特集について
近藤 武夫
提言
「ICTの利用による学習保障」のために必要な考え方を理解しよう
近藤 武夫
各論
1 学びを保障するための〈最新〉ICTツール&ソース
平林 ルミ
2 ICTを利用する?しない? 配慮の妥当性を検討するためのアセスメント
河野 俊寛
3 入試や試験での合理的配慮としてのICT利用―合理的配慮の合意形成に関する事例から―
近藤 武夫
実践
1 教科の授業で行うICTによる学習保障
(1)【国語】読み書きが苦手な子へのICTを活用した事例
保田 美紗子
(2)【数学】LEVEL THE PLAYING FIELDの追求
藤元 貴嗣
(3)【英語】ICTを用いて英語の「読み」と「書き」を支援する
村田 美和
2 苦手さに対応したICTによる学習保障
(1)「聞こえ」の困難への情報保障
池谷 航介
(2)「話すこと」の困難へのコミュニケーション支援―AAC―
青木 高光
3 大学から広がるICTによる学習保障
大学の教室で「あたりまえ」となっているICTによる支援
岡田 孝和
Essay
アシスティブテクノロジーとしてのデジタル教科書への期待
堀田 龍也
学べる!楽しい!学びにくい子への学習支援ワーク (第10回)
(Pick UP!)語彙力をのばす「絵の説明プリント」
山田 充
発達障害の子どもに役立つ!ちょこっと支援の教材・教具 (第14回)
子どものエラーから苦手ポイントにあう教材を
日高 茂暢
【特別寄稿】ワーキングメモリ
その働きとワーキングメモリ理論からの支援
湯澤 正通
JDDネットニュース (第62回)
NPO法人えじそんくらぶ
高山 恵子
医療との連携 (第60回)
親子支援と医療・教育の連携
稲葉 雄二
Newsな視点 (第18回)
なぜIQが不用なのか
小貫 悟
〜その「実感」と「論理」〜
通常の学級を担任する先生の悩みに寄り添う教育相談 (第2回)
[今回のテーマ]落ち着いている時は対処できるが,気持ちが追い込まれると騒ぐ子
宇賀神 るり子
発達障害のある子を伸ばす!言葉かけと対応 (第2回)
[今回のテーマ]不適切な行動を繰り返す子
小林 玄
一度は手にしたい本
『ストーリーでわかる特別支援教育の実践』(川上 康則著)/『発達障害のある子の父親ストーリー』(アスぺ・エルデの会編)
上野 一彦
SENS for S.E.N.S (第9回)
S.E.N.S臨床日誌
池田 明朗
〜読むことに困難をかかえる児童への支援〜
S.E.N.SイマドキTOPICS
両川 晃子
〜発達障害のある子とICT〜
S.E.N.Sになって
子どもたちとの出会いと学び
藤田 正美
『めんどくさい』教育に、笑顔と愛を
山田 朋子
特別支援教育士資格認定協会からのお知らせ
編集後記
近藤 武夫

ICT活用で苦手さのある子の学びを保障する―教室で行う合理的配慮―

東京大学/近藤 武夫


 障害のある個人が,障害によって起こる困難さを回避し,社会参加を最大化するために用いられるさまざまな機器や道具,ソフトウェアは,「支援技術(Assistive Technology)」と総称されます。支援技術は,広義では補聴器や義手義足,車いすなども含む幅広い機器を指します。しかし近年では,パソコンやタブレットなど,通常のICT機器が,視覚障害や肢体不自由,聴覚障害,特異的学習障害など,障害のある人々も利用することを想定した高度な機能(=アクセシビリティ機能)を標準の機能として備えるようになりました。そのことで,一般的なタブレットなどのICT機器が,支援技術としても利用されるようになったのです。

 また,読字,書字,計算のいずれかまたは複数に機能制限(困難)のある障害である特異的学習障害や,対人コミュニケーションや時間・予定の把握における機能制限,感覚過敏などが伴うことのある自閉症スペクトラム等の,発達障害のある児童生徒・学生・成人にとっても,ICT機器を支援技術として活用することの有効性が知られるようになってきました。タブレットやパソコン等を,障害のある子どもたち自身が活用することで,読むことや書くこと,聞くこと,話すこと,計算すること,考えをまとめることなどにある機能制限を避け,さらに一人一人の強みを生かして,学習の機会に参加することを支援できます。特に,タブレットが一般化した2010年代以降は,日本でも特別支援教育におけるICT利用が大きな広がりを見せています。

 本特集では,タブレットなどのICT機器を,教室のどのような場面で,障害のある子どもたちの学習機会を保障するツールとして使用できるのかに焦点を当てています。特に,障害のために他の生徒と同じように紙の教科書やノート,鉛筆を使って学ぶことが難しいけれど,ICTを活用することで,他の生徒と同じ学習機会に参加できるよう環境調整する活用事例の報告に重点を置きました。合理的配慮が2016年4月から通常の学級でも提供されることになりました。合理的配慮の具体的な手段として,ICT利用が考慮される場面は今後もさらに増えていくでしょう。本特集が,障害のある子どもたち一人一人のニーズに対して,合理的配慮の理念に沿った形で,適切にICTを利用する一助となれば幸いです。

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