LD&ADHD 2010年10月号
通常の学級に役立つ支援の仕組み―さまざまなリソースを利用したコンサルテーション―

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LD&ADHD 2010年10月号通常の学級に役立つ支援の仕組み―さまざまなリソースを利用したコンサルテーション―

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ジャンル:
特別支援教育
刊行:
2010年9月21日
対象:
小・中
仕様:
B5判 68頁
状態:
絶版
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目次

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特集 通常の学級に役立つ支援の仕組み―さまざまなリソースを利用したコンサルテーション―
特集について
松村 茂治
提言
子どもや学校の援助資源を活用したコンサルテーションとは
田村節子
事例
教師を支援するコンサルタント側から
通級指導教室から小学校へ/連絡ノートを通しての学級担任との連携
政金 真理
特別支援教育コーディネーターから小中学校へ/個々の教師のニーズに見合う支援や組織的支援をどう進めるか
浦野 裕司
特別支援学校から小中学校へ/授業チェックシートを用いた授業コンサルテーションの実際
田中 裕一
外部専門家から幼稚園へ/みんなの中で育つ
林 恵津子
支援を受ける学級担任(コンサルティ)側から
幼稚園/実態に即したコンサルテーションで指導の充実をはかる
矢澤 弘美
小学校〈1〉/A児に活動の見通しと存在感をもたせる指導・援助を通して
柘植 一輝
小学校〈2〉/望ましい行動を身につけるために
井上 智子
中学校/時代が求める学校コンサルテーション
佐藤 文
Essay
読み書き困難な子どもたちの支援技術
中邑 賢龍
子どものページ
西里 俊文
【特別寄稿】アメリカの2E教育の可能性
野添 絹子
親の会ニュース (第35回)
JDDネット愛媛
山岡 修
医療との連携 (第35回)
未来を担う子どもたちへ(3)
新井 慎一
〜私がプライベートで行っている活動〜
実践の小箱/臨床学校現場から (第33回)
心をつなぐ学級通信
平岡 彰代
情報最前線/行政や海外の動向は (第35回)
学級サポートプランを活用した授業づくり,学級づくり
笹森 洋樹
地域支援コーディネーター奮闘記 (第3回)
子どものつまずきのサインを的確に捉える
川上 康則
保健室から見える発達障害の子どもたち (第3回)
心臓がバクバクして止まりません…
鎌塚 優子
〜異性への関心〜
発達障害の子どもが抱える視覚機能の課題とトレーニング (第3回)
近見視力と両眼のチームワーク
北出 勝也
新しい制度の動きを追う! (第3回)
国家資格「心理士(仮称)」の検討経過―教育・発達の立場から―
長崎 勤
一度は手にしたい本
『図解 よくわかる大人のアスペルガー症候群』(上野 一彦・市川 宏伸著)/『実践満載 発達に課題のある子の保育の手だて』(佐藤 暁著)
二宮 信一
編集後記
松村 茂治

特集について

通常の学級に役立つ支援の仕組み―さまざまなリソースを利用したコンサルテーション―

明治学院大学教授/松村 茂治


本誌では,今までに何度か,「通常の学級」に焦点を当てた特集を組んできました。その一番の理由は,特別支援教育においては,通常の学級こそが教育・支援のための主たるフィールドになるべきだと考えてきたからです。学習面や行動面で支援を必要としている子どもたちの多くは通常の学級に在籍しており,そこでの支援を求めているのです。

通常の学級が主たるフィールドになるべきとはいえ,すべてを学級担任の教師一人に任せるべきだというのではありません。通常の学級での教育・支援をより確実なものにするためには,学級担任の教師を支える仕組みが必要と考えています。すでに学校現場ではなじみのある「特別支援教育コーディネーター」や「校内委員会」は,担任を支援するための学校内に置かれた仕組みであり,「専門家チーム(専門委員会)」や「巡回指導」は,学校の外から担任を支える仕組みと見なすことができます。

ここでコンサルテーションについて,その概略と必要性について一言触れておきたいと思います。コンサルテーションは,「間接的な援助」と言われることがあります。これは,特別支援教育の専門家(たとえば,大学の研究者や特別支援学校の教員等)が,直接,援助を必要としている子どもに会って指導をするというのではなく,当該の児童生徒への指導は,その学級担任の教師が行うこととし,専門家の知見は,担任の教師を介して「間接的に」当該の児童生徒に届けられるというものです。つまり,コンサルテーションとは,子どもに直接働きかける人(コンサルティ:学級担任の教師)とある分野に関しての専門的な知見を有する人(コンサルタント:特別支援教育士)との間で持たれる,問題解決のための話し合い(これを「作戦会議」と表現する人もいる)のことをいうのです。

コンサルテーションでは,子どもと直接的に関わる人(たとえば,学級担任の教師)を重視します。なぜなら,彼らは,支援の対象となった特定の子どもだけでなく,その周囲の子どもたちについて,あるいは彼らの現在の状況のみならず,今までの勉強への取り組みや交友関係について,さらには家族や地域の状況等について多くのことを知っているからです。学校・学級場面での子どもに対する働きかけは,特定の子どもだけではなく,周囲の子どもたちやその保護者たちまで含んで対象とすることが必要になってきます。教師は,そうしたことがらに関して,ベスト・ポジションにいるのであり,コンサルテーションは,教師のそうした資質を引き出すのに恰好の方法といえます。

特別支援教育におけるコンサルテーションとしては,大学や専門機関等における特別支援教育士のような学校外の専門家によるもの,特別支援教室や通級指導教室の教員によるもの,特別支援教育コーディネーターによるものなど,さまざまな形態が考えられます。

本号では,そのようなコンサルテーションを行う側からのどのような支援が効果的であったか,また支援を受ける学級担任側からはコンサルテーションを受けた後,指導にどのように生かせたか,効果があったかについての報告をお願いしました。

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