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- 『LD・ADHD・高機能自閉症就学&学習支援』/『自分をまもる本 いじめ,もうがまんしない』
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- 編集後記
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特集について
不登校にどう対応するか
東京学芸大学教授/松村茂治
平成15年8月,文部科学省から,前年度の学校基本調査の結果が公表されました。この調査結果で注目されるのは,前年度中に30日以上学校を休んだ不登校児童・生徒数が13万1211人(児童生徒総数の1.18%)で,現在の基準で調査を開始して以来,人数,割合ともにはじめて前年度を下回ったという点です。数値が前年度を下回ったとはいえ,相変わらず小学生では280人に1人,中学生では37人に1人という割合になるわけですから,「憂慮すべき状況は続いている」(文科省)という認識は,その通りだと思います。
この問題の存在は,わが国では,昭和50年頃から一般に知られるようになり,学校恐怖症,登校拒否,学校嫌い,不登校など,その時々でさまざまな呼ばれ方をしてきました。呼ばれ方が変わるたびに,微妙にあるいは大幅にその意味するところが変わってきました。
この問題の理解における大きな転換点は,今から15年ほど前にありました。当時の文部省は,本人の性格の問題・怠け・親の過保護など,「特定個人や家族の問題」という見方から,「学校,家庭,社会全体の在り方に関わる問題」「どの子にも起こりうる問題」という具合に,それまでの見方を大きく変更したのでした。
平成15年春,「不登校問題に関する調査研究協力者会議」は「今後の不登校への対応の在り方について」(中間まとめ)のなかで,次のように指摘しています。
「なお,今まで不登校との関連の中で指摘されることが少なかった課題としては,学習障害(LD),注意欠陥/多動性障害(ADHD)等や家庭における虐待等があり,不登校への対策を考える上でこれらの課題も視野に入れる必要がある。」
これは新たな転換点の提示だと思います。教育現場にいる方々からは,不登校の子どもたちのなかにLDやADHDの特徴のある子どもたちがいること,あるいはLD,ADHDと理解されていた子どもが不登校になっていったというエピソードが数多く伝えられてきています。学校は,教科学習の場であるとともに社会生活の場であり,そうした特徴のある子には極めて不利な場になり得ます。
LDやADHDという問題と学校生活との関係を,今までとは異なった観点から考えてみようと,この特集を組んでみました。
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