LD,ADHD&ASD 2025年7月号
ICT活用・学習支援・自己表出の今を未来へ〜「S.E.N.S年次大会in岩手」発〜

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LD,ADHD&ASD 2025年7月号ICT活用・学習支援・自己表出の今を未来へ〜「S.E.N.S年次大会in岩手」発〜

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PDF
ジャンル:
特別支援教育
刊行:
2025年6月23日
対象:
小・中
仕様:
B5判 70頁
状態:
在庫あり
出荷:
2025年7月15日

目次

もくじの詳細表示

特集 ICT活用・学習支援・自己表出の今を未来へ〜「S.E.N.S年次大会 in 岩手」発〜
特集について
佐々木 全
ICTを用いた学習支援
〈提言〉今を支えるICT,なぜ必要か
八重樫 美由紀
読み書きに困難を示す児童生徒に対するICT
河野 俊寛
MIMを用いた学習支援
〈提言〉多層指導モデルMIM これまでの知見を確かに生かす
鈴木 恵太
多層指導モデルMIM 読むことが流暢になるための指導
松本 秀彦
多層指導モデルMIM 読みのアセスメント・指導パッケージの実践事例〜子どもたちと楽しむ読みの指導〜
名倉 忍
〈まとめ〉MIM教材のさらなる活用について
鈴木 恵太
自己表出
〈提言〉合理的配慮の申請に必要な「自分について表出する力」とは
滝吉 美知香
高校・中学校・小学校の各教育段階における「自分について表出する力」を育む実践
滝吉 美知香
〈まとめ〉学校教育のなかで育まれる「自分について表出する力」
滝吉 美知香
S.E.N.S年次大会 岩手大会の様子
岩井澤 通代
ESSAY
テクノロジーの善き使い手を育てるために
豊福 晋平
写真で見る運動発達支援と教具 (第10回)
学校生活への参加を楽にするアイディアA 教室移動
池田 千紗
発達障害の子どもに役立つ!ちょこっと支援の教材・教具 (第46回)
To Do メモでちょこっと支援
杉浦 徹
<特別寄稿>良好な学習環境づくりと社会性や感情面の発達を支援する教育
宮古 紀宏
発達障害のある子どもへのキャリア教育 (第2回)
対話をとおして学びを意味付け,価値付けるキャリア・パスポートの活用
菊地 一文
発達障害と医療の最新情報 (第2回)
ゲームが児童生徒にもたらす光と影
岡田 俊
教室で行う みんなの認知行動療法 (第2回)
授業を実施する―Do(実行)―
石川 信一
〜情報共有と連携ツールとして〜
特別支援教育コーディネーターの仕事術 (第2回)
個別の教育支援計画・個別の指導計画の作成と活用
尾形 俊亮
通級指導教室 私の教室紹介 (第2回)
子どもの“かわいらしさ”を引き出す通級指導教室であること
木 玲子
発達障害と不登校 (第2回)
不登校に対する国の方針
伊藤 美奈子
一度は手にしたい本
[小学校]通級指導教室担当の仕事スキル(山下公司著)/通級指導教室の実践 アセスメントから指導まで(山田充編著)
桂野 文良
特別支援教育ステップアップ講座 (第23回)
自己理解とセルフアドボカシー
日戸 由刈
S.E.N.S実践の小箱 (第7回)
「片づけ大作戦」からの変化
藤田 千香
〜じゃまくさい⇒できそうだ!できた!が増えると,落ち着いて取り組めるようになってきた!〜
SENS for S.E.N.S (第41回)
S.E.N.Sになって
アセスメントと伴走
田渕 恵美子
必要な時に必要な支援を
摺河 真帆
特別支援教育士資格認定協会からのお知らせ
編集後記
佐々木 全

編集後記

 本号は,2024年8月に岩手県盛岡市において開催された第6回S.E.N.S年次大会in岩手における教育講演やシンポジウムの内容を特集記事として報告しました。県内外からの多数の参加もあり,大会前後には岩手支部会独自の研修会を開催し,県内の会員並びにS.E.N.Sに関心を寄せている多くの教育関係者にご参加いただきました。関係の皆様に改めまして御礼を申し上げます。

 さて,今一度,特集記事を咀嚼してみます。ここでは,教育心理学者であるShulman, L. S.(1986)が提唱したPedagogical Content Knowledge(PCK)とそれにかかわり挙げられている「Knowledge of Learners and Their Characteristics(学習者についての知識)」の3つの知識を観点とします。まず,ICT活用について考えます。これは,新しいテクノロジーを用いた「Pedagogical Knowledge(教育方法についての知識)」として,理解されます。そして,これを私たちが教育に用いる際には,教育方法としての活用だけではなく,教育内容としての側面もあります。つまり,学習者が学び方を学ぶ際の内容ということです。それはまさに「Content Knowledge(教育内容についての知識)」という側面です。それに,ICTの活用はそもそも学習者の支援ニーズに応じて提供されると考えられます。学習者の支援ニーズを把握することは,「Knowledge of Learners and Their Characteristics(学習者についての知識)」に基づくものです。

 次に,MIMです。これ自体が3つの知識を統合し実践化する優れたパッケージであるように見えます。私たちは,MIMを通じてそこに統合されている3つの知識を追視するという学びができます。つまり,MIMにおける「Knowledge of Learners and Their Characteristics(学習者についての知識)」はいかなるものか,あるいはどのような方法でこの知識を得ようとするのか。MIMが標的としている「Content Knowledge(教育内容についての知識)」は何か。その上で,教育内容や学習者の支援ニーズごとに適用される指導方法こそがMIMにおける「Pedagogical Knowledge(教育方法についての知識)」であるといえます。

 そして,自己表出(合理的配慮の申請日に必要な「自分について表出する力」)です。これは,教育現場における学習者の姿を端緒としました。つまり,実践中に含まれる「Knowledge of Learners and Their Characteristics(学習者についての知識)」を拾い上げ,学習者の心理的発達や社会的発達を交えながら「Content Knowledge(教育内容についての知識)」を検討し,「Pedagogical Knowledge(教育方法についての知識)」を創出しようとする試みでした。

 以上,咀嚼するほどに,私たちの学びとそれらを活用するチャレンジの日々に終わりはないことに気がつきます。そして,そのような動的な日々こそ,私たちの使命であり,やりがいであることにも気づきます。3つの知識をx軸,y軸,z軸に表すならば,自分自身の知識量としての直方体が描けます。読者の皆様におかれましては,この直方体の体積を拡大していくことをめざしながら,各地の各立場でご活躍されることを願っております。


   /佐々木 全


【参考文献】 Shulman, L. S. (1986). Those Who Understand: Knowledge Growth in Teaching. Educational Researcher, 15, pp.4-14.

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      明治図書

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