- 特集 「読み・書き」に困難さを持つ子どもへの指導
- 特集について
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- 提言
- 医学と教育のギャップをつなぎ埋めるには
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- 事例
- 「書き」の力は自尊心を育てる
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- 写すことに困難を示す子どもへの指導
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- 通常の学級での漢字指導を工夫しよう
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- 拗音(ねじれる音)の表記に関する指導
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- 数字の読みにつまずきを示した事例
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- 音の学習と文字の学習を独立させる
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- 読み書き障害児の指導
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- 【コメント】教育や療育に携わる人すべてに知ってもらいたいこと
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- ミニ特集 『今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)』を読む
- 連携の支援体制を支えるコーディネーターに期待
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- 目を引くのは「親の会やNPOとの連携協力」
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- 「特別支援教育」で本当によいのか?
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- 地方の立場から
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- できることから始めよう
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- 意欲を高めるネットワーク作りを
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- 確かなステップを踏んで
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- LD児等に対する教育的支援の実現に向けて
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- 資料『今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)』抜粋
- 第4章 特別支援教育を推進する上での小・中学校の在り方について
- Essay
- 障害のある子どもと家族
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- 子どものページ
- コラージュ
- 親の会ニュース (第6回)
- 新潟県「いなほの会」/福岡県「たけのこの会」
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- 医療との連携 (第6回)
- 薬を上手に利用するためにA
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- 〜中枢刺激薬使用の実際〜
- 実践の小箱/臨床学校現場から (第6回)
- みんなが輝く学校
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- 情報最前線/行政や海外の動向は (第6回)
- 日韓の国立研究所によるセミナー
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- 指導の技法とその理論 (第6回)
- 診断的知能検査WISC−Vについて
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- コミュニケーション (第6回)
- LDとの関連特異的言語発達遅滞(受容性)
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- アカデミックスキル (第6回)
- 文の読み理解と指導
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- ソーシャルスキル (第6回)
- 言語的コミュニケーション/非言語的コミュニケーションへのソーシャルスキルトレーニング
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- 一度は手にしたい本
- 『学習障害(LD)』*理解とサポートのために/『きみもきっとうまくいく 子どものためのADHDワークブック』
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- 編集後記
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特集について
「読み・書き」に困難さを持つ子どもへの指導
明治学院大学教授/緒方明子
第1号から,学習や行動に困難を持つ子どもたちとの付き合い方や学校という場で試みられている支援体制について紹介してきました。今回は子どもたちが持っている困難さに直接迫り,多様な困難さの一部を知っていくとともに,その困難さに対する援助の具体的な方法について考えてみたいと思います。
読み書きの力は教科学習全体にかかわる力であり,また,学校の授業の中で様々な新しい学習内容を習得していくために必要な能力です。また,学校での学習以外にも,他者と意思を伝え合ったり,生活の中でほとんど意識することもなく使っているスキルでもあります。
このような学習を進めるための道具ともいえる力の困難さが,学校生活を送る上でどれほどの影響をおよぼしているか,様々な角度から考えていきたいと思います。しかし,子ども本人は,おそらく,自らが持っている困難さをさほど自覚していないかもしれません……。例えば,一度も文字を読んだ経験が無い子どもが,「読めない」ということ,あるいは「読む」ということがどのようなことなのか,十分に自覚すること自体が困難な場合もあるように思うのです。したがって,子どもの方から自らの困難さを,周囲の大人に正確に訴えてくること,伝えてくることは大変難しいものである,ということを先ず承知しておくことが必要でしょう。だからこそ,私たちが,子どもの困難さに気づき,一人ひとりの状態に合った援助を工夫していかなくてはならないのです。
子どもたちの困難さに気づくためには,子どもたちが示す様々な状態を知っていることが役立つものです。また,援助を始めるためには多様な援助の方法を知っていると,柔軟に指導法を工夫していけるものです。今回の特集は,このような気づきと援助の一助となることを願って組まれたものです。
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