向山型算数教え方教室 2003年7月号
教科書の「基本型」を見抜いて夢の平均90点達成

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向山型算数教え方教室 2003年7月号教科書の「基本型」を見抜いて夢の平均90点達成

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ジャンル:
算数・数学
刊行:
2003年6月
対象:
小学校
仕様:
B5判 92頁
状態:
絶版
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目次

もくじの詳細表示

特集 教科書の「基本型」を見抜いて夢の平均90点達成!
「細分化」が子どもの事実を生む
/高杉 祐之
低学年はリズムよく楽しい詰めで!
/奥井 利香
教科書比較で省略部分を見抜き,ビジュアルにする
/星原 一宏
先行実践から学ぶ
/堂下 登美子
視覚情報と聴覚情報の往復を徹底する
/根本 直樹
「シンプル イズ ベスト」ビジュアルな基本型で平均90点
/太田 健二
しっかり読ませること
/加藤 延啓
ミニ特集 私にもあった!「自分の中の“我流”」
『難問システム』に見つけた私の我流
/荒井 紀之
「つもり」が第二の我流をつくる
/堤 信之
サークルでの「冷や汗」が力になる
/小田 昌宏
言葉を削ることは,我流を削ること
/藤田 貴也
我流を実感する時
/五十嵐 いつ子
向山氏の言葉を真摯に受けとめられるか
/尾形 はじめ
グラビア
「子どもの視線をコントロールする」それも向山型です。
/渡辺 康夫
向山型算数キーワード
赤えんぴつ指導の原則
/木村 重夫
論文ランキング
4月号
/木村 重夫
巻頭論文 算数授業へのこだわり
百マス計算は、なぜ「できない子」を痛めつけるのか
/向山 洋一
学年別7月教材こう授業する
1年
ちがいは いくつ
/東原 希代子
ちがいは いくつ
/浅井 輝夫
2年
100より大きい数をしらべよう
/川原 奈津子
長さ
/並木 孝樹
3年
大きな数
/白瀬 嗣大
ぼうグラフと表
/岩岸 節子
4年
面積
/奥原 淳子
折れ線グラフ
/阿部 力
5年
計算の見積もり
/堀 達也
いろいろな四角形
/両部 桂一
6年
比べ方を考えよう
/佐々木 智穂
平均とその利用
/濱崎 督之
向山型算数に挑戦/論文審査 (第44回)
百マス計算の害悪から子どもを守るため家庭用教材にも「向山型スキル」を!
/向山 洋一
向山型算数実力急増講座 (第46回)
『ノートスキル』効果倍増のためのチェックポイント
/木村 重夫
向山型算数の原理原則と応用 (第46回)
問題文の読み方の原理原則を意識する
/井上 嗣祥
向山型算数と出会ってTT授業・少人数授業が変わる (第15回)
今,算数の授業をするのが楽しい!!
/藤嶋 茂
向山型算数WEBサロン (第40回)
授業CD「4年算数・小数」を改めて聞き返し,5年生に追試する。すぐれた宝の山がびっしり詰まっていることを痛感する
/赤石 賢司
中学校からの発信!「向山型数学」実践講座 (第40回)
中学校のTTも,やっぱり向山型数学が断然よい
/井上 好文
「親と子の証言!」向山型算数は公文を超える! (第4回)
向山型算数で行う授業参観は,小さなドラマであふれている
/松崎 力
『教え方大事典』を活用した算数授業体験
低学年/少しずつ難しくなる良問
/細谷 華世子
中学年/どっちが「かける数」? どっちが「かけられる数」?
/永山 祐
高学年/楽しく取り組める小数えんぴつゲーム
/小路 健太郎
中学/正負の数を楽しくする赤と黒
/堀部 克之
もう一つの向山型算数 難問良問1問選択システム (第46回)
低学年
/角田 俊幸
中学年
/野口 澄
高学年
/岡本 真砂夫
衝撃のライブ体験「向山洋一の介入模擬授業」を受けて
おせっかいや見栄が授業混乱の原因だったと気づかされた
/八和田 清秀
挿絵活用の新たな視点発見!!
/姫岩 弘治
向山型算数セミナー
8月東京会場は申し込みから燃えあがった
/板倉 弘幸
腹の底からの実感!向山型算数を知る前と後
百玉そろばんが障害児を救った
/小瀬村 雅子
アスペルガー児が熱中した!!
/小嶋 悠紀
苦手なのに,一番いい点だった
/臼井 俊男
追いかけるのが楽しい
/青木 勝隆
子どもの事実は教師修業の糧
/國本 直嗣
子どもも親も変える向山型算数
/奥田 真由美
モノも反応も全く違う!『向山型算数の教材・教具』
/桑原 和彦
自由投稿フリーページ
/木村 重夫・西尾 豊
実物ノートと指導のポイント
できない子どもの中であふれ出すほどに「なぞらせる」
/奥田 純子
読者のページ
教え子や親からの最高のメッセージ
編集後記
/木村 重夫・赤石 賢司
TOSS最新情報
向山型算数に挑戦/指定教材 (第46回)

巻頭論文

算数授業へのこだわり

百マス計算は,なぜ「できない子」を痛めつけるのか

向山洋一


 「計算ができない子にどう指導したらいいか」質問された。

 「百マス計算は,全く効果がなく,それどころか,百マス計算の時は机につっぷしている」という。「どのくらいできないのですか」と,私はたずねた。「くり上がりのないたし算しかできない」という。私は,「かけ算九九は,できますよね」ときいた。「できる」という。

 一位数同士の計算の場合,「かけ算は易しく」「たし算は難しい」のだ。「かけ算の方が難しい」と思っている人が多いが,それは違う。かけ算の方が易しい。

 これは,「かけ算九九はある」のに,「たし算九九はない」のはなぜかという問題と同じである。なぜなのか?

 この簡単な問題が分かれば,教師なら「百マス計算」をやらないはずである。少なくても,「かけ算九九の練習方法の一つ」に限定するはずなのだ。

 陰山先生の「百マス計算」の主張は,全くデタラメの主張だ。勉強のできない子ほど深く傷ついていると思われる。

 教師の教育行為が,「ストップウォッチ」でタイムを測り,「はっぱをかける」ということで良いはずがない。陰山実践は,教師の行為を,安っぽい「見せもの」に変質させてしまっている。

 40 年昔,朝日新聞大阪版の連載記事に初めて登場した「百マス計算」は,「かけ算九九の一つの練習方法」として紹介された。しかも「つまずいている子を一人一人確認して,教え,その後の練習方法」として提案されている。これは,全く正しい。

 百マス計算の中では,間違いを正しくはできないのだ。無理にやらせると,「間違い」に「デタラメ」を重ねる子も出てくる。「答合わせ」をきちんとしなければ,その害は深く大きく広がる。

 なぜ,「かけ算は易しく」「たし算は難しい」のか?

 百マス計算をやった教師なら,体験として分かると思う。

 「かけ算の百マス計算」は,まあまあの展開を見せる。ところが,「百マスのたし算」に入ると,「勉強のできない子」が,もたもたする。おそろしく時間がかかる。「ひき算の百マス計算」ともなると,教室の一角が,グチャグチャになる。大混乱が生じるのだ。こうしたことは,「ストップウォッチ」で,毎日測定していても,同じことである。根本を,とり違えているのだ。

 かけ算は,「かけ算九九」を,丸暗記する。つまり,81 問のかけ算を全部覚えるのだ。残りの19 問は,「ゼロをかける計算」だから「答えは,すべてゼロになる」のだ。

 つまり,かけ算は,「一位数×一位数」の計算と答えを,すべて「丸暗記」させるのである。

 たし算は,どうか? 丸暗記をさせない。「たし算九九」などない。「一位数+一位数」の問題は,全部で「100 問」ある。100 問すべてを教えない。その中の何問かを教えて,「全部ができるようになる」と考えるのである。

 これが「計算指導の原理原則」なのだ。

 通例,次の5パターン位に分ける。

 1) たして5になる。    (例3+2)

 2) たして10 になる。     (例7+3)

 3) くり上がりのないたし算。 (例4+3)

 4) くり上がりのあるたし算。 (例8+7)

 5) ゼロをたす。      (例6+0)

 この5つのパターンを,それぞれ2問ぐらい教える。合計で10 問である。

 「この10 問ができれば,100 問のたし算はすべてできる」と考えるのである。

 教科書は,そのように作られている。

 ところが,百マス計算は,100 問全部をやらせるのだ。ひき算も100 問全部やらせるようになっている。これは,「かけ算九九」を教えるのに「2の段」,「3の段」と順序よく教えないで,「手当たりしだいランダムに教える」方法だ。

 実に,おぞましいほどの「非教育的方法」だ。

 タイムを測って,いそがせるから,「できない子」は,混乱につぐ混乱となる。できる子には,「当り前のくり返し」となるので,すぐあきる。ちっとも知性的でない。

 たし算で,難しいのは「くり上がりのあるたし算」だ。ここで,多くの子はとまどう。

 例えば,次の問題。

7+5

 この計算が,できるためには,5を2つに分解する必要がある。7に何をたしたら10 になるかを考えさせなければならない。だから,「10 の合成,分解」は,教師の大切な指導内容だ。それをおはじきを使ったり,百玉そろばんを使ったり,サクランボ計算を練習させたりして教えるのである。

 たし算の指導における教師の教育行為とは,「おはじき」を使ったり,「百玉そろばん」を使ったり,「サクランボ計算」を教えることなのだ。

 百マス計算で,タイムを測ることではない。

7+5= 12

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 上記のような計算が,できるようにすることなのである。「たし算九九」のような丸暗記を強いるのではなく,「たし算の原理原則」を教えることなのだ。

 「あかねこ計算スキル」は,こうした「原理原則」が,きちんと身につくような構成になっている。だから,日本の教室で,一番多く使われている「計算スキル」なのである。

 プロの教師なら,教室での百マス計算を断固として拒否すべきだ(やるなら,せめてかけ算九九の一つの練習方法に限定すべきだ)。

「百マス計算」,及び「陰山実践」については,今後,多くの方々の参加と証言をもとに,鋭く分析していくつもりである。

 算数の苦手な子どものために,親が,ワラをもつかむ思いで,「百マス計算」の練習帳を購入しているのを見ると,教師として胸が痛む。

 百マス計算では,「勉強のできない子」は,できるようにはならない。また,勉強のできる子が,知的に伸びることもない。

 5月12日,産経新聞朝刊は,「百玉そろばん」と「百マス計算」を大きく報じた。「百玉そろばんで学ぶ子の写真」と「タイムを測る陰山先生の写真」があった。

 どちらが,本当の教師の仕事かを伝えている紙面だった。

(産経新聞(平成15 年5月12 日朝刊)より)


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