向山型算数教え方教室 2002年7月号
「説明しない・教えない」授業こうしてつくる

V035

«前号へ

次号へ»

向山型算数教え方教室 2002年7月号「説明しない・教えない」授業こうしてつくる

紙版価格: 933円(税込)

送料無料

電子版価格: 839円(税込)

Off: ¥94-

ポイント還元20%

ファイル形式

PDF
ジャンル:
算数・数学
刊行:
2002年6月
対象:
小学校
仕様:
B5判 92頁
状態:
絶版
出荷:
ダウンロード
定期購読

目次

もくじの詳細表示

特集 「説明しない・教えない」授業こうしてつくる
「小刻みな作業の繰り返し」→「点検」→「個別評価」で授業を設計する
/木村 孝康
4つのポイントで難問を克服する
/馬場 慶典
子どもの思考の流れにそって組み立てる
/大関 貴之
細分化してテンポよく問う
/熊谷 壽
基本型 5×30=150(15だけ赤)の解明に迫る!
/正木 恵子
三段階指導の例示に注目し説明をなくす
/宮澤 宏祐
5つのポイントで授業をつくる
/八巻 修
ミニ特集 「学級崩壊」への向山型算数からのアドバイス
「統率」のパーツの宝庫,向山型算数
/齋藤 奈美子
絶対に空白の時間を作るな!!
/毛見 隆
授業が変わる 子どもが変わる
/□□□□□
「言葉を削る」と「緊張感」が生まれる
/太田 政男
「一点突破の闘い」こそが生還への道を開く
/金子 史
赤鉛筆で「学級崩壊」をふせぐ
/中野 慎也
グラビア
第17回向山型算数研究会セミナーIN愛知 2002.4.14
/村田 斎
〜新年度,学級経営,教科指導に向山型算数を位置付ける〜
向山型算数キーワード
必然性
/木村 重夫
論文ランキング
4月号
/木村 重夫
巻頭論文 算数授業へのこだわり
向山型算数は数十のパーツを組み合わせたシステムである。だから、向山型と問題解決型の両方をとり入れるという考えは、100%失敗する
/向山 洋一
学年別7月教材こう授業する
1年
のこりはいくつ ちがいはいくつ
/八和田 清秀
ちがいはいくつ
/酒井 雅代
2年
3けたの数 100より大きい数をしらべよう
/平田 真紀
100より大きい数をしらべよう
/松山 英樹
3年
ぼうグラフと表 見やすく せいりしよう
/小林 宏
見やすく せいりしよう
/雨宮 久
4年
折れ線グラフ
/武藤 淳一
折れ線グラフ
/畑屋 好之
5年
三角形・四角形の角
/伊藤 壮一
四角形をつくろう
/山口 正仁
6年
平均とその利用
/勝田 秀樹
体積
/梶野 修次郎
向山型算数に挑戦/論文審査 (第32回)
グラフ、表の記入はまず一つを記入チェックをする。それは、どれからかが問題だ。
/向山 洋一
向山型算数実力急増講座 (第34回)
優れた教材を選び、広めるのは教師の大切な仕事
/木村 重夫
向山型算数の原理原則と応用 (第34回)
線分図の扱い方10の原理原則
/小林 幸雄
向山型算数と出会ってTT授業・少人数授業が変わる (第4回)
授業突入で集中させ、分かる・発表する喜びを!
/川口 達実
向山型算数WEBサロン (第28回)
教科書を学ぶ学び方を最初の授業から徹底する
/赤石 賢司
中学校からの発信!「向山型数学」実践講座 (第28回)
教科書の重要事項を、50分間に3回変化させながら繰り返し学習させるシステム
/井上 好文
『教え方大事典』を活用した算数授業体験
1年/熱中!!「楽しい計算パズル」
/高橋 一行
3年/『教え方大事典』には,微細技術までぎっしり!
/望月 健
4年/珠玉の論文がちりばめられている
/賀本 俊教
5年/「おうぎ形」であるかを問う
/寺本 聡
6年/子どもが悩む問題でドラマを創る
/石井 研也
中学/授業の導入は誰でもできる発問から
/一戸 佐登史
もう一つの向山型算数 難問良問1問選択システム (第34回)
低学年
/後藤 あゆみ
中学年
/奈良 満
高学年
/大澤 智
衝撃のライブ体験「向山洋一の介入模擬授業」を受けて (第4回)
教材は易しい方から先にすべき!!
/姫岩 弘治
文,図,数式の3 つを比べて構造を見抜く
/下重 和也
向山型算数セミナー
8月の東京会場からセミナーの内容がより実際的になります
/板倉 弘幸
腹の底からの実感!向山型算数を知る前と後
醜い自己陶酔型算数だった私
/細谷 華世子
子どもも教師も変わる向山型算数
/伊藤 悦子
向山型算数で手応え実感
/藤澤 誠
手応えズシン! 計算スキル
/白瀬 嗣大
褒め言葉のシャワーこそ大切
/安達 覚
カンナで削ると分かる
/西田 克裕
問題解決学習から向山型算数へ
/高橋 健
自由投稿フリーページ
「TOSS子ども用百玉そろばん」ついに完成!
/木村 重夫
実物ノートと指導のポイント
ゆったり見やすくを合い言葉に
/浅井 輝夫
読者のページ
目の前の子どもの事実から出発せよ
編集後記
/木村 重夫・赤石 賢司
TOSS最新情報
向山型算数に挑戦/指定教材 (第34回)

巻頭論文

算数授業へのこだわり

向山型算数の数十のパーツを組み合わせたシステムである。だから、向山型と問題解決学習方の両方をとり入れるという考えは、100%失敗する

向山洋一


向山型算数は,効果のはっきり出る極めて優れた指導方法ではあるが,だからといって誰にでもすぐに受け入れられるわけではない。

教師を十年,二十年とやっていれば自分の身についた方法がある。多くの場合は我流のどうしようもない方法だが,その人にとっては,そのやり方で十年,二十年とメシを喰ってきたのである。

「これでいいんだ」と思ったり,「自分のやり方が一番」と思っているのである。

誰だって「自分はすぐれている」と心の底では思っているのである。

そこへ,今まで考えたこともないとんでもない方法が持ち込まれたら,ましてや「教科書通りに教える」という一見「素人の言うこと」を持ち込まれたら,反発するに決まっている。「反対」と思い込めば,理屈は山のように出てくる。貨物列車に満載できるくらい理屈はつみ込めるのだ。

今までの自分を変えることなど,凡人にはできない。

だから,ヴェテランになって「向山型算数」のことを知って,興味,関心を示す人は,それだけで非凡人なのだ。知性的な人であり,向上心のある人であり,柔軟な精神の持ち主なのである。

自分でやってみれば,そういう人なら効果は必ず分るはずである。

但し,やってもらう時に,素直にその通りやってもらうことが大切だ。

例えば,「あかねこ計算スキル」を使うとしよう。

あかねこスキルのすぐれている点は,「本の中」だけにあるのではない。「本の中」にあるのはせいぜい二割程度である。

その良さは,「使い方」の中にある。「使い方」(ユース・ウェア)は,「向山の授業」そのものなのである。

わずか六,七分の使い方だが,そこには,向山の考えた,あるいは整理した知恵が十も二十もつまっているのである。

その使い方は,ライブで学ぶのが一番いい。但し,一度のライブで身につけられるのは,せいぜい50%である。

その場では,「分った」と思うのだが,二度目のライブに出ると,「こんな大切なことを見のがしていた」とショックを受けるのである。

自動車の「縦列駐車」だって,一度に身につけられる人はいないだろう。

何度か練習し,何度も指導教官に指導をうけてできるようになるのである。

教師の技術だって同じこと。運転技術の「一部分」よりむずかしくて当たり前なのである。

それなのに,教師はなぜ,一度見ただけで分ったつもりになるのだろう。

何十万人,何百万人という教師の先達が作ってきた技術の最高峰は「一度見たらできる」というものではないのである。

少なくても,「縦列駐車」を身につけるときの真剣さと熱心さとくり返しは必要である。

真剣に素直に学べば,誰でも身につけていけるのである。

しかし,世の中には,「素直」になれない不幸な人もいるのである。

十人十色というごとく,人はそれぞれに違っている。国民的な人気の長島でさえ,「好き」という人は六割である。「長島は嫌い」という人も世の中にはけっこういる。

サントリーのウィスキーの「ダルマ」が超人気で全国シェアの六割をとっていた頃のことである。

サントリーでは,あの手この手を考えて実施したが,どうにも動かない。六割がピークのままだ。

買わない人は,「品質がいい」「高級である」ということでは,テコでも動かない人である。「ウィスキーならどれでもいい」「安いなら買う」という人々だった。

そこで,サントリーは「おまけ」をつけた。

とたんに,これまで買わなかった人々が買い出した。

ところが,考えてもみなかったことが起こった。

それまで,サントリー「ダルマ」の熱心なファンが,離れていってしまったのだ。

「高級感」のなくなった,「おまけ商売」のウィスキーなど,ほしくないというわけだ。

サントリーは,おまけを中止した。

このように,「考え方」が全くちがう人々が世の中にはいるのである。

TOSSの影響を広げたいと思うが,「全部」など,全く考えていない。

いや,「全部」をめざすと,堕落してしまう。

せいぜい,半分の人をめざせばいいのである。

問題解決学習とは妥協のしようがない。

これは,勉強のできない子をスポイルする極めて悪質な指導法である。

ADHD,LDなどをきちんと学んだ人なら,問題解決学習は,子どもをふみつけにする悪魔の指導法だと思うだろう。

少々程度が悪いというものではない。

悪魔の指導法である。

私は,問題解決学習をすすめる研究者と,障害児を専門とする医師を含めて,ぜひ論争をしたいと思っている。

近く,TOSSはツーウェイ臨刊として,「障害児とグレーゾーンの子どもたちの教育」をテーマとする教育雑誌を明治図書より創刊する。

障害児及びそれに近いグレーゾーンの子どもたちは,日本の児童の一割はいると医学的に推定されている。

問題解決学習は,これらの子どもを更にひどい状況に追いやっている。

証拠・事実は山ほどある。

ある県庁所在地のA小学校は,いわゆる「公立の名門小学校」である。

算数は,問題解決学習一色である。

ここに,三人の子どもを預けている医師がいた。

子どもたちは,口々に「算数は大嫌い」という。「勉強はつまらない」という。

算数の授業は,プリントのみ。一年間たってもノートは一ページしか使わない。教科書も,ほとんど開かない。

そのうち何とかなるだろうと考えていた医師は,「算数が全く分らない」という我が子の訴えに,向山の著書を見よう見まねで,算数の教科書を教え出した。

子ども達は「よく分る」という。「算数は楽しいんだ」というようにもなった。

たちまち,一年分を終了した。

その頃,子どもは,「学校へ行きたくない」と言い出した。

「学校の勉強は,つまらない。分らない。お父さんの教え方はよく分る」と言ったのである。父親は悩み,友人の県会議員や教育長によほど訴えようと思ったが,思いとどまったという。

「こんな最低の指導法があり,最低の教師が

いるんだ」と医師はあきれていた。「教育委員会は何をやっているんだ」とおこっていた。

こうした便りや訴えが,私のもとに山のように届く。

私がパーソナリティーをやっているラジオ番組にも届く。

問題解決学習は,医師の言う通り,最低の指導法なのである。

そんな最低の指導法を推進しているひどい学校がある。

若い教師で悩む人もいる。

研究授業をするとき,「向山型を止めろ。教科書を使うな」と言われるからだ。

そこで,両方をまぜこぜにしてやることになる。

これは失敗する。100%失敗する。

いいところは,全くない。

ロケットを組み立てるときに,荷馬車の部品も使おうというようなものだ。

全部ダメになる。

そもそも,向山型算数は,システムだ。

何十というパーツから組み立てられている。その中の一つでも「問題解決学習の部品」にすれば,動かなくなる。

システムは,最低レベルのパーツに支配されるのである。

そのような時は,研究授業を止めればいい。「それ以外の方法では,私はできません。

どなたかに代わってください」と言えばよい。

T・Tの時でも同じである。自分がT1でやるなら,「向山型しかできません」といえばいいのだ。「教科書を使った方法しかできません」という言い方のほうが,通りやすいだろう。この点をあいまいにすると駄目だ。

「向山型と問題解決学習の両方からとり入れる」という考え方自体が,システムを全く分っていない人間の言うことだ。

システムを分ってないということは,向山型を全く分っていないということなのである。

一年や二年,向山型ができなくても,いいではないか。その方がすっきりとするし,その後もよくなっていくものである。

お知らせ。日本教育界がかつて作った革命的教具「百玉そろばん」児童用を,TOSSとトモエソロバンで共同開発。学校用,従来の半値以下の1個1500円。

申込,問い合わせは東京教育技術研究所へ。

    • この商品は皆様からのご感想・ご意見を募集中です

      明治図書

ページトップへ