- 特集 授業が上手くいく!脳科学のスキルA〜D
- 特集のねらい
- 脳科学のスキルを用いて授業力・対応力をUPする
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- スキルA ドーパミン5を授業にどう取り入れるか
- ドーパミン5で授業が変わる
- じっとしていられない・しゃべりすぎる・集中力が弱いADHD症状が改善するドーパミン5!
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- 授業の中に「運動」をどう取り入れるか
- 「起立」という運動を授業の中に取り入れる。ドーパミンと緊張感がよい授業をつくる
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- 日常の授業で「変化」をどうつけるか
- 「できた」の連続の中で、突然の「飛躍」が子どもをさらに引きつける
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- 「高得点」スキルを使って授業に熱中させる
- ほめ方の工夫でドーパミン濃度を上げる
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- 「見通し」をもたせる工夫
- 数字だけではない見通しを示すことばを用意しておく
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- 「目的」の効果的なもたせ方
- 夢に向かって努力するために目的をもたせる
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- スキルB 対応力UPをめざすセロトニン5トレーニング
- 対応力UPにセロトニン5がなぜ必要なのか
- いらいらする・怒りっぽくなる・興味や喜びが減る・自尊心が低下するうつ症状にセロトニン5!
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- 「見つめる」力をUPするトレーニング
- 眼ヂカラUPで報酬系神経回路をつくる!−筋肉・骨・リンパの三位一体のトレーニングとキーワード―
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- 「ほほえむ」不安感を取り除くほほえみ方のトレーニング
- 「ほほえむ」不安感を取り除くほほえみ方のトレーニング
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- 「話しかける」バリエーションを増やす
- 子どもの心に快適な状況をつくり出す。話しかけるバリエーション10
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- 「ふれる」心地よさを体感するトレーニング
- 「一人で」「2人で」「レベルアップ」の3段階のトレーニング
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- 「ほめる」驚くほど子どもが変わる 誰でも上達するステップ
- 多様な「ほめ方」をマスターし、発達凸凹のある子どもたちにも届く刺激で伝える
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- スキルC 統率力に必要なノルアドレナリン5
- 統率力に必要なノルアドレナリン5
- やる気がない・注意力が弱い子どもに適度なノルアドレナリン5!
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- 「時間を制限する」授業のどこでどう活用するか
- ほどよい時間制限が授業をスピーディーにし、子どもを集中させる
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- 「指示をする」指示の仕方で子どもは変化する
- 授業の原則十ヶ条を守り、子どもに信頼されることで指示が通る
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- 「指名をする」効果的な指名の仕方
- 相手が不快にならず心地よくなる術を身につける
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- 「待たせる」待つことが苦手な子への待たせ方
- 「予告」と「承認」で待てない子の不安を取り除く
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- 「そばに行く」効果的なタイミングと方法
- すぐに行く/2分に1回/行かない を使い分ける
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- スキルD 脳科学の成果を教育の場で有効活用するために
- オキシトシン―基礎知識と教育の場での活用とヒント
- オキシトシンは人と触れ合うことで分泌される
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- ミラーニューロン―基礎知識と教育の場での活用とヒント
- 教師は子どもたちの行動モデル! 教師がすすんで手本を示す
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- ワーキングメモリ―基礎知識と教育の場での活用とヒント
- 正しい対応を知り身につけることで救われる子どもがたくさんいる
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- ワーキングメモリトレーニング―基礎知識と教育の場での活用とヒント
- 子どもの実態に合わせて選択して実践する
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- 心の理論―基礎知識と教育の場での活用とヒント
- 教えなければいつまでも育たない【心の理論】
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- 食と特別支援教育
- 最先端の「食」の情報を保護者に提供し、子どもの脳を改善しよう!
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- 記憶の研究
- 海馬をだまして、記憶力を向上させる
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- ミニ特集 外部専門家と連携指導の工夫 〜ドクター編
- ドクターとの連携で学校教育が変わる
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- 医師との連携で児童への見方が激変する
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- 目からうろこの情報・助言が満載〜現場の困り感を家島ドクターとの連携で解消する
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- 医教連携は,それぞれの役目を果たすことから始まる
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- 理解あるドクターとの連携で,子どもも保護者も教師も安定した生活を送ることができる
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- 特別支援教育は「障がいにしない」ための教育である
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- Z君の「ありがとう」の言葉を般化する
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- ドクターとの連携,成功例と失敗例〜ドクターにも良い悪いがある〜
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- プロの医師が教える「個に応じた対応」
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- あきらめず必ず主治医と出会うこと。それは医師との信頼関係も生み、保護者との信頼関係も生み、結果、子どもと学校へかえっていく
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- グラビア
- 第13回 TOSS特別支援教育セミナー in東京 ほか
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- TOSS全国調査から分かること (第1回)
- クラスに発達障がいの子どもが16.2%いる
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- 写真で早分かり 子どもの特性に合わせた“情報伝達の構造化” (第15回)
- ワーキングメモリを鍛える「アタマげんきどこどこ」
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- 〜子どもたちが熱中するワーキングメモリを鍛える驚異的絵本〜
- 教育の新課題と特別支援教育
- 話の長い教師は授業が下手である
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- 巻頭言
- 特別支援教育を学ばずして教壇に立つべからず
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- 『教育』と『医療』の連携で特別支援教育を強化する (第14回)
- 真の連携とは?
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- 〜face to faceの連携をめざして〜
- 『龍馬くんの訴え』から学ぶ発達障がい指導原則 (第10回)
- 学校を安心して生活できる場所にするために,謙虚に学ぶ
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- 子どもに力をつけるTOSS教材教具
- 〈脳トレカード〉成功体験を積み重ねWISC−Vの動作性IQに加え言語性IQを鍛えることにつながる
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- 〈ワーキングメモリをきたえるアタマげんきどこどこ〉保育園児も小学校6年生の子どもも楽しめる魔法の絵本
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- 〈あかねこ中学読解スキル〉読解問題という難関を着実に突破させてやれる教材である
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- 〈学力補強プリント〉配っただけで教室がシーンとなる『学力補強プリント』は、生徒に成功体験を味わわせてくれる画期的な教材である
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- ポイントを外さない〜特別支援の子の保護者への対応術 (第8回)
- 山ほどほめてひとつだけ直す
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- 常に「本人と保護者の味方である」という姿勢を示し、共感しながら接していく
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- 私は,この本をこう読んだ (第8回)
- 『自閉症スペクトラム障害』平岩幹男著(岩波新書)
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- 〜社会生活上の困難を解消するのは、セルフエスティームを向上させることである〜
- 『こんなサポートがあれば!』梅永雄二編著(エンパワメント研究所)
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- 〜発達障がいの子の思いを教師は知っておく必要がある〜
- 特別支援教育を視野に入れた学校づくり (第7回)
- 校内研修で大切なのは,「専門家を呼ぶ」こと
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- 発達障がい児も楽しんで取り組むレクリエーション (第4回)
- 散歩は手軽なレクリエーション しかし奥が深い
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- 学級担任に必要な「特別支援教育の基本スキル」 (第12回)
- もう一つの神経伝達物質オキシトシン
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- 〜人とのつながりを感じる幸福ホルモンの分泌にも『セロトニン5』は有効だった〜
- 教育は格闘技だ―フリースクールの実践 (第29回)
- 声を出してはいけない模擬授業に挑戦
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- 〜言葉をゼロにして、どうしても必要な言葉だけ加えていく模擬授業〜
- 中学校を改革する特別支援教育で中学校が変わる (第8回)
- ここまでして初めて、中学校が変わる
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- 眼科医療と発達障がい支援の関連 (第5回)
- トレーニングはやればいいというものではない
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- 〜支援の基本と留意点について〜
- 発達障がい児への指導法/支援法 (第8回)
- QAレッスンシート―脳内物質の働きを意識した授業行為を行う―
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- 特別支援教育の制度/障がいの用語理解/障がい観・支援システム (第8回)
- 支援のシステム その3 卒業後の進路と生活に対する支援
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- コーディネーターのお仕事拝見 (第18回)
- 意図的な言葉かけ
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- 誌上QAコーナー こんな時どうしますか
- 友だちとうまくかかわれない子への対応 周りの子への指導がポイントとなる
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- 特別支援学校・特別支援学級コーナー
- コーナー担当
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- 特別支援学校の実践
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- 〜盲学校でTOSS教材を活用する「輪郭漢字カード」〜
- 特別支援学級の実践
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- 〜フィンガーペインティングの訓練で文字がきれいに書けるようになる〜
- 論文ランキング
- 38号/激変した対応例の論文はどれも読み応えあり!
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- 読者のページ
- 38号の学びや感想
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- 編集後記
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- TOSS特別支援教育イベント情報
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- どんな子でも熱中する教材はこれだ!!
- アタマげんきどこどこ
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- 〜『アタマげんきどこどこ』は、日本初のワーキングメモリをきたえる絵本です!この絵本で「見つける」「数える」「さがす」などに取り組むことで注意力や記憶力がつきます。〜
巻頭言 特別支援教育を学ばずして教壇に立つべからず
日本理科教育支援センター/小森 栄治
1懺悔の気持ちでいっぱい
私は工学部工業化学科出身で,教職に必要な最低限の単位をようやく揃えて教職免許を取得して教員になった。
特別支援教育を全く知らない,理科が好きなだけの教師だった。
今思えば,特別支援を要する生徒に何人も出会っていたのに,適切な対応をしていなかった。それどころか,「怒鳴る」などひどい対応をしていた。
懺悔の気持ちでいっぱいだ。もう一度,新任の年に戻って28年間の教員生活をやり直したいぐらいだ。
生徒の自己肯定感を失わせてしまったら,伸ばせるはずだった能力を発揮できないまま不幸な人生を歩ませてしまうことになる。
「特別支援教育を知らなかった」では済まされない。
「特別支援教育を知らない」は,無知ではなく,犯罪であると言ってもよいくらいだ。
私を含め,中学校に,特別支援教育に対する理解不足の教師が多い。
特別支援教育を学ばずして教壇に立つべからずと,自戒の念を込めて言いたい。
2すべての子どもに自己肯定感を
特別支援教育に限らず,すべての教育活動において重視すべきことは,子どもたちの自己肯定感を高めることである。
私は,毎週保育園で科学あそびを担当している。どの子もできたことを,「見て!」と認めてもらいたがっている。
目を合わせ,笑顔で「すごい」「いいね」とほめる。できた喜び,認められた喜びが体全体に表れる。
ところが,小学校に上がると勉強で「できない」を体験する機会が増える。
「教えて,やらせて,ほめる」という適切な指導をすれば,「できた」喜びを味わえるが,そうでない指導をしている教師もいる。
「学び合い」や算数の「問題解決学習」では,教師の適切な指導がなく,できない子はいつまでもできないままである。教師が教えるのだってたいへんなのに,子ども同士の教え合いで分かるようになるはずがない。
特に,特別支援を要する子どもは,できないまま学年が上がり,中学に入学してしまう。
そして中学で,怒鳴る,叱る指導ばかり受けると,教師に反抗する中学生になる。
「できない」自分を,ほかの目立つ行動が「できる」ことで,周りから認められようとする。
また,「どうせ俺はバカだから」と何事にも積極的に取り組まなくなってしまう中学生,引きこもってしまう中学生もいる。
日本の子どもたちには,「自分への自信の欠如」という課題がある。
その原因のひとつには,「できないことばかり指摘する」指導がある。「できることをほめる」指導が不足しているのだ。
特に,特別支援を要する子どもに対しては,「できること」を探してでもほめる必要がある。「自分はできる」「やればできるんだ」という,自分に対する自信をもたせなくてはならない。
3中学生もほめれば成績が上がる
私が出会った生徒の中で,小学生のころから「あいつはできない」と周りから見られ続けられていたが,ほめることで見違えるほど変化した事例を紹介する。
@「学校で初めてほめられた」
入学式の前に,大きな声で返事をするように指導した。呼名して返事をする練習をすると,突拍子もなく大きな声で「ハイ!」と言った生徒がいた。
周りから笑い声が起こった。そこですかさず「○○くん,とってもいい返事だ」とほめた。入学式でも大きな声で返事をした。
あとで親から「うちの子,入学式の日,走って帰ってきて,『初めて学校でほめられた』って言ったのです」と聞いた。小学校で一度もほめられていなかったのだ。
その後も,ほめ続け自信をもたせたら,本人も周りも驚くほど成績が上昇した。
A「生まれて初めて自分に自信をもった」
小学校のときから問題ばかり起こす生徒だった。入学後1学期の定期テストは白紙。
やんちゃで,授業中すぐしゃべったり,動いたりしまう生徒だった。
しかし,ときどき理科でいい意見を言う。それをほめて,ルールを守る方向に導いた。中2の電流単元の定期テストでは70点を取り,「俺,生まれて初めて自分に自信をもった」と言った。卒業する頃には,普通の生徒になっていた。
4特別支援教育セミナーで学ぼう
TOSSの特別支援教育セミナーでは,ドクターの講演で特別支援教育の最先端を,小嶋悠紀氏,長谷川博之氏の小中学校での実践,子どもの事実を学ぶことができる。
特別支援を要する子どものいる模擬授業とその解説では,問題行動の意味,どのような対応をすればよいのか,脳科学の知見をふまえた解説を聞ける。
中学校の先生は,土日も部活でなかなかセミナーに参加できない状況があるかもしれない。しかし,数ヶ月に1回ぐらい土日の部活をうまく調整して,ぜひ参加してほしい。
インターネット上のTOSS動画ランド(http://mov.tos-land.net/)では,特別支援教育セミナーの映像を購入して視聴することができる。
2013年6月の特別支援教育セミナー(特別講師:平岩幹男ドクター)や,同7月のALL小嶋悠紀講座が配信されている。
読み込んで指導に役立てます!