- 特集 読み書き―発達障がい児の特徴的つまずきと効果的対応策
- 特集のねらい
- 「読み書き指導」を支える基本の考え
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- 小学生の読み書き指導に必要な取り組み
- 我流を排し,TOSSランド等の先人の恩恵を活用しよう
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- 「読み」と「書き」の苦手さをまず知ることからはじめよう!
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- 低学年の読み書き指導
- こだわりを受け入れ少しずつよい方向に向けていく
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- 「なぞり書き」「写し書き」にもう一工夫を加える
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- 適切な教材教具と特性に応じた指導が重要
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- 中学年の読み書き指導
- 向山式音読指導と赤鉛筆指導が子どものやる気を引き出した
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- 小さな成功体験が発達障がい児の学習を支える
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- 全体計画を立てることでよりよい指導をすることができる
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- 高学年の読み書き指導
- その子の得意なことと苦手なことを観察し,苦手な漢字習得を克服させる手だてを考える
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- 発達に凸凹のある子の国語ができるようになりたいという願いをかなえる
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- ひらがなばかりの文を書く子には,文節で区切る
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- ADHDの児童への読み書き指導
- 小さな「できる」を連続的に保障する
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- アスペルガーの児童への読み書き指導
- ゆったりと,よい雰囲気で経験させる
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- ディスレクシアの児童への読み書き指導
- 人知れず悩んでいるディスレクシアの子を救うのは教師の仕事だ
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- 国語でつまずく生徒に対する読み書き指導
- スピーチ原稿を書かせる3つのポイント
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- 漢字練習と視写で授業を始める
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- 「細分化」して,「ほめる」場面をつくり出す
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- 英語でつまずく生徒に対する読み書き指導
- TOSS型英会話が生徒の自尊心を向上させた
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- 社会でつまずく生徒に対する読み書き指導
- 力のある教材・教具を使って,自信をつける
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- 理科でつまずく生徒に対する読み書き指導
- 発達障がい児に効果的な教材と工夫
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- 数学でつまずく生徒に対する読み書き指導
- まず,落ち着いた環境をつくり,授業を安定させる
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- 高校生の読み書き指導に必要な取り組み
- 認知の特徴が異なれば,指導法や対応も異なる
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- 成功体験,信頼感,そして「社会に対応できる力」
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- 生徒一人一人を見るための手立て
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- ミニ特集 ギフテッド―もう1つの特別支援教育
- すべての人を笑顔にする力
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- TOSSが開発した教材・教具と向山型指導法が子どもの力を引き出す
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- 私は「予定表にカレンダーや数字,人名にも強い男子」に頼っている
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- 折り紙の才能がコミュニケーションのツールとなった
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- 「手のかかるわがままな子」が能力を開花させて「スター」へ
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- 欠点丸抱えで受け入れる
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- 発達凸凹の凸に焦点を見つけて伸ばす―これからの特別支援教育は、輝く能力を発見し、伸ばしていくことにスポットを当てるべきだ―
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- 子どもの可能性を引き出す直写ノートを使った図工「自分の顔」
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- 得意分野で活躍させ,ほめてほめてほめまくる
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- 感動! 彼の才能に気づいたとき!
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- 子どもが燃える仕組みをつくる―教師がロマンのあるものを示し燃えさせるか、子どもの中にある興味・得意を燃えさせる―
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- グラビア
- 第25回 日本教育技術学会 福岡大会 ほか
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- 発達障がい理解 (第2回)
- ネアンデルタールの時代、そして縄文時代 人間はずっと昔から障がいのある人を大切にし、共に生きてきた
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- 写真で見る構造化 分かりやすい情報伝達の工夫 (第8回)
- iPhone4sの登場で飛躍的に高まる「視覚支援」
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- 〜様々な可能性を広げる「ミラーリング」機能〜
- 教育の新課題と特別支援教育
- 成功事例は,すべて「教えてほめる方法」だった
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- 〜あるドクターとの研究会〜
- 巻頭言
- 制度設計は進む,運用が伴わない
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- 『教育』と『医療』の連携で特別支援教育を強化する (第7回)
- 発達障がいの特性を知る
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- 『龍馬くんの訴え』から学ぶ発達障がい指導原則 (第3回)
- 広汎性発達障がいの子への支援とNG言葉
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- 子どもに力をつけるTOSS教材教具
- 〈わくわくずかん(こんちゅうはかせ)〉「やんちゃ君」が「ヒーロー」になれる「わくわくずかん」
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- 〈スーパーとびなわ〉二重跳びを連続10回達成した高校生の変化
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- 〈ソーシャルスキルかるた〉生活習慣が身に付いていない子も大熱中! お説教なしでソーシャルスキルを身に付けることができる魔法の教材
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- 〈S社ワークテスト〉できない子にやさしく、自信をもたせる教材だ
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- ポイントを外さない〜特別支援の子の保護者への対応術 (第1回)
- 保護者との面談 成功の秘訣は「信頼関係づくり」
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- 向山氏の言葉が保護者対応の基本方向である
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- 私は,この本をこう読んだ (第1回)
- 『発達障害の子どもたち』杉山登志郎著(講談社現代新書)
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- 〜叱責過多は二次障害をもたらす。発達障害を理解し、正しい対応をしなければならない〜
- 『向山洋一は障害児教育にどう取り組んだか』向山洋一/大場龍男著(明治図書)
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- 〜子どもとの出会いに万端の準備を整えよ〜
- 学級担任に必要な「特別支援教育の基本スキル」 (第5回)
- 子どもが見えてくる+13のキーワード
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- 〜子どもが見えなければ授業にならない!(31号の続き)〜
- 教育は格闘技だ―フリースクールの実践 (第22回)
- いくつもの支えが学生を支えてきたのだという実感
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- 〜平成24年 翔和学園成人式〜
- 中学校を改革する特別支援教育で中学校が変わる (第1回)
- 中学校教育の何が問題だったのか
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- 発達障がい児への指導法/支援法 (第1回)
- QAレッスンシート 基礎基本編1
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- 〜校内研修会で使える・数人のチームでも確かめられる基本事項(対象:小/中学校)〜
- 特別支援教育の制度/障がいの用語理解/障がい観・支援システム (第1回)
- “特別支援教育”…基礎中のキソ知識
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- “あの有名人”も実は〜 教室で読み聞かせ:元気が出る実話シリーズ (第7回)
- ピカソ
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- 〜どんな子でもすばらしい可能性を秘めている〜
- 発達障がいの子に有効な手作り教材 (第3回)
- オリジナルコミュニケーションブック
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- 〜どんな子でも、人とかかわりたいという気持ちをもっている。発語が苦手な子でもコミュニケーションブックで、自分なりに話をすることができる。できる部分を生かして、できない部分を補っていく視点が大切である。〜
- 特別支援教育で学校は変わる (第17回)
- 学校教育の入り口と出口に山積する課題とその対応A
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- コーディネーターのお仕事拝見 (第11回)
- 環境を調整する
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- 誌上QAコーナー こんな時どうしますか
- 反抗的な態度をとる高学年の子への対応 事実を認め,満足度を上げていく
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- 特別支援学校・特別支援学級コーナー
- コーナー担当
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- 特別支援学校の実践
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- 〜特別支援学校中学部、作業学習でEM肥料作りに取り組む〜
- 特別支援学級の実践
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- 〜子どもが食いつく写真の提示の仕方〜
- 論文ランキング
- 31号/杉山登志郎氏の論文に衝撃が走ったという声が多く寄せられた
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- 読者のページ
- 31号の学びや感想
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- 編集後記
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- TOSS特別支援教育イベント情報
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- どんな子でも熱中する教材はこれだ!!
- 高畑庄蔵が開発した「フープとびなわ」によるなわとび指導法。不可能に近いほど高いハードルであった「跳躍」と「回旋」のタイミングをつかませることを可能にしました。(五十嵐勝義氏のHPより)
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【巻頭言】制度設計は進む,運用が伴わない
東京都北区立谷端小学校/岩切 洋一
1制度設計は進む…
特別支援教育について,様々な形で制度設計は進んでいる。
例えば,東京都では「東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画」(平成22年11月)で「特別支援教室」の設置が明記された。
これは@全小学校に特別支援教室を設置する。A小学校3校に1校の拠点校を設置すると共に,拠点校1校当たり2名の教員を配置し,エリア内の巡回指導体制を実施する,というものだ。従来の「子どもが動く」というシステムから「教員が動く」というシステムへの変換と言える(下図参照)。
新しい試みだけに「対象児童の教育課程をどのように取り扱うか」「巡回指導を行う教員の勤務形態をどうするか」といった課題も予想される。また,医師による診断はなくても自閉症,情緒障がい,LD,ADHD等の行動特性を示し,学校生活において特別な教育的支援が必要である児童は全て対象とできるが,そうなると対象児童の保護者の同意をどうするかといったことも大きな問題だ。
そのため,東京都では今後,平成24年度からの3か年をかけてモデル事業を推進し,特別支援教室の設置に関する具体的課題の検証や導入に向けた「ガイドライン」の作成を行っていくことになっている。早期の実現を願いたいところである。
このように国レベルから自治体レベルまで,
または各学校レベル等においても有効な制度が徐々に整いつつある。望ましいことだ。
2運用が伴わない…!@
しかし!である。
このように制度設計は進んでも,実際にはそれらが効果的に運用されないことも多い。
なぜか。理由の1つは周辺の制度を新制度にきちんと適合させていないためだ。
例えば適正就学の推進について,以前勤務していた自治体で次のような事例があった。
ここでは,就学時検診で障がいが疑われる子どもがいた場合,@検診日に保護者と詳しく面談するのは避ける。必ず検診日以降の別日に校長が個別に招く。A校長が保護者から子どもについての悩みや不安等をていねいに聞き取る。B内容に応じて就学支援室の窓口を紹介し,そこでより詳しく状況を把握する。C就学支援室の窓口での対応で保護者が納得して初めて専門家による心理テストを実施し,就学支援委員会にかける,といった非常にていねいな対応マニュアルを作成していた。学校・行政サイドと保護者との無用な対立で,子どもに最適な教育サービスを提供できないことを防止するための制度だ。初めて知ったときは細やかなシステムだと感心したものである。
ところが,実際には毎年必ずいくつもの問題が発生していた。感情のこじれから指定校にさえ入学せず,住所を移してまで別の小学校の通常学級を選択する保護者もいた。
その根本的な理由は,就学支援室の窓口が以前から退職校長の再任用職になっており,旧来の勤務体系を変えぬまま,新システムを導入したことだった。彼らは発達障がい等の専門家ではない。そのため,保護者の困り感を正確に理解できず,不用意な発言・対応をしてしまうことがあったのだ。信じ難いことだが,ほぼ毎年(!)校長会が地教委に改善要望を出す状況にさえなっていたのである。
退職校長を充てるのが不適切だというのでは決してない。充てるのならば,対応方法に関する研修等を計画的に実施する必要がある。
新制度を構築した場合,関連する既存制度全てとの整合性を検証しないと,場合によっては形骸化し,適切な運用が難しくなる可能性がある。「絵に描いた餅」となるのである。
3運用が伴わない…!A
周辺制度の不備だけが問題なのではない。
新制度に関する学校側の誤解,無理解も混乱を増幅させる。先の就学支援システムでは,「悪用」としか考えられない事例まであった。
「本校ではどんなに軽度でも発達障がいの子どもは受け入れない。少しでも集団への適応が疑わしい場合,全て就学相談室に送る。それが本制度の趣旨を生かすことなのだ」
信じられないことだが,職員会議等でこのように公言する校長がいたというのだ。
当該地教委では特別支援教育の推進を重点施策の1つとし,研修も全職層に対して体系的に実施していた。それにもかかわらず発達障がいがある児童を「厄介者」扱いし,彼らを門前払いするために新システムを利用しようとしたのである。
学校側がこれでは,せっかくの新制度も逆効果になる。何をか言わんや,だ。
「特別支援教室」をはじめ,新たな制度設計が進むのは望ましいことだ。それを十分生かすため,関係者全員がその趣旨・概要を理解し,より効果的な運用を心がけていきたい。
テーマは,「読み書き―発達障がい児の特徴的つまづきと効果的対応」です。
現場のニーズにぴったりの特集でした。
学級も成熟してくる2月。
どの子も鍛えられ,学力の伸びを実感するのですが,
やはり,全員ではないのが気になります。
読み書きでつまずいてしまう子がいるのです。
力のなさを痛感するとともに,原因を探らなければいけません。
そして,対応策を考え,すぐさま実行したくなります。
32号は,そういった意味で,今の学級にぴったりのテーマでした。
また1つ、引き出しが増えます。ありがとうございます。