特別支援教育教え方教室 2012年6月号
33号 発達障がいの子がいる学級 参観授業のメニュ―

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特別支援教育教え方教室 2012年6月号33号 発達障がいの子がいる学級 参観授業のメニュ―

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ジャンル:
特別支援教育
刊行:
2012年5月10日
対象:
幼・小・中・他
仕様:
B5判 112頁
状態:
絶版
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目次

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特集 発達障がいの子がいる学級 参観授業のメニュー
特集のねらい
全員が「学習」できるではなく,「活躍」できる授業をつくる
小野 隆行
小学校国語
(低学年)45分をパーツに分けて組み立て,団体戦「五十音表で言葉探し」で盛り上がろう!
齋藤 一子
(中学年)パーツを組み合わせて,飽きさせず,一人一人の活躍の場面をつくる
三浦 宏和
(高学年)どの学年でも,発達障がいの子がいるクラスでも盛り上がる向山実践「五十音図」
溝端 達也
小学校算数
(低学年)全員が活動できる簡単なことから始め,保護者を安心させる
白井 朱美
(中学年)発達障がいの子を活躍させる「演出」で,保護者の信頼を獲得せよ!
堀田 和秀
(高学年)活動の多い授業で,発達障がいの子も集中させる。おすすめ!円を線で分ける授業!!
松島 博昭
小学校理科
(中学年)すぐれた教材を使うことで,どの子も活躍できる参観授業を組み立てる
川中 朋子
(高学年)普段の授業でできるようになったことを披露する
上木 朋子
小学校社会
(中学年)全員を熱中させる魔法の指示
岩田 史朗
(高学年)当たり前のことができている場面を見せ,保護者の信頼を得る
松岡 高史
小学校図工
エラーレスで取り組める「白イルカのバブルリング」
丸亀 貴彦
小学校音楽
コマとパーツで成功体験を仕組む
千本木 綾乃
小学校体育
アスペルガー症候群のS君が友だちと一緒に楽しんだ「しっぽ取りゲーム」
団野 晶夫
小学校道徳
力のある資料で引きつける
末廣 真弓
小学校英会話
全員が活躍し,保護者と会話ができる楽しい授業!
間宮 多恵
中学校国語
全員が活躍できる音読(中1),動作化で楽しく敬語(中3)
小野 美与子
どの子も参加できるパーツで授業を構成する
渡辺 大祐
中学校数学
普段の授業の楽しさ・分かりやすさを保護者に体感させる!
中尾 憲治
作図にもTOSSノートは欠かせない
渡邉 酷
中学校理科
静電気の実験で小学生から中学生まで満足!
間 英法
顕微鏡観察で授業を安定させる
才野 博紀
中学校社会
自尊感情を高める!参観授業
福井 慎
どの子も楽しく参加し,活動できる参観授業
田渕 瑞世
中学校道徳
見通しをもたせ,資料をもとに意見を出させる工夫をする
進士 かおり
ミニ特集 特別支援の学力づくり→決定打の教材教具
音読が苦手な子への指導
泉田 剛志
漢字が覚えられない子への指導
中山 藤代
ノートの字が乱れる子への指導
刀祢 敬則
書くことに抵抗感をもっている子への指導
伊藤 道海
10の数の概念が身についていない子への指導
戸ア 恵
九九が覚えられない子への指導
冨士谷 晃正
計算ミスが多い子への指導
糸木 佳奈子
文章題が苦手な子への指導
前田 吉法
ルールをついやぶってしまう子への指導
溝端 久輝子
勝ち負けにこだわる子への指導
田上 大輔
失敗することに不安をもつ子への指導
芹沢 晴信
グラビア
第10回 新生TOSS特別支援セミナー in 大阪 ほか
小野 隆行
発達障がい理解 (第3回)
法律や伝説。古来から日本人は障がいと共に暮らし,障がいを大切にしてきた
川原 雅樹
写真で見る構造化 分かりやすい情報伝達の工夫 (第9回)
iPhone4sの登場で飛躍的に高まる「視覚支援」
小嶋 悠紀
〜様々な可能性を広げる「ミラーリング」機能A〜
教育の新課題と特別支援教育
伝統的子育てによる予防の効果
向山 洋一
巻頭言
絶対にしてはいけない方法,絶対にしないといけない方法,教師が学ばないと絶対に変わらない
甲本 卓司
『教育』と『医療』の連携で特別支援教育を強化する (第8回)
教師の肯定的なかかわりが子どもたちを救う
瀬島 斉
『龍馬くんの訴え』から学ぶ発達障がい指導原則 (第4回)
見通しをもたせるための引き継ぎ式と担任が戒める行為
高杉 祐之
子どもに力をつけるTOSS教材教具
〈10玉そろばん〉さくらんぼ計算が不安だった子どもが自信をもって計算できた
佐藤 紀子
〈ソーシャルスキルかるた〉使い方を工夫すれば,だれにでも活用できどの子の力も伸ばすことができる
辻野 裕美
〈ノートスキル〉ノートスキルの効果をさらに高める3つの手立て
梅沢 貴史
〈一筆箋〉子どもや保護者に感謝される一筆箋
間嶋 祐樹
ポイントを外さない〜特別支援の子の保護者への対応術 (第2回)
変わらぬ原則と,保護者の特性により変える対応
桜木 泰自
専科はわずかな機会で「どの子も大切にしている」か,判断される。だからこそ「子どもが輝く場」の設定には十分配慮すべきである
丸山 美香
私は,この本をこう読んだ (第2回)
『満足脳にしてあげればだれもが育つ!』平山諭著(ほおずき書籍)
近田 美穂
『天才と発達障害』岡南著(講談社)
山口 俊一
学級担任に必要な「特別支援教育の基本スキル」 (第6回)
子ども一人一人の“対話スキル”をデザインする
平山 諭
教育は格闘技だ―フリースクールの実践 (第23回)
学校で声を出すようになったAさん
伊藤 寛晃
中学校を改革する特別支援教育で中学校が変わる (第2回)
暴力行為の減少,不登校の減少,学力の向上
長谷川 博之
発達障がい児への指導法/支援法 (第2回)
QAレッスンシート 基礎基本編2
河村 要和
特別支援教育の制度/障がいの用語理解/障がい観・支援システム (第2回)
新しい障がいの概念…「発達障害」
富山 比呂志
“あの有名人”も実は〜 教室で読み聞かせ:元気が出る実話シリーズ (第8回)
「ウォルト・ディズニー」魔法の才能に恵まれた,普通の人
浦木 秀徳
発達障がいの子に有効な手作り教材 (第4回)
文構成掲示板
武井 恒
特別支援教育を視野に入れた学校づくり (第1回)
学校のシステムを提案する
槇田 健
コーディネーターのお仕事拝見 (第12回)
支援体制を整える
伊藤 雅亮
誌上QAコーナー こんな時どうしますか
こだわりの強い子への対応本人,周りの子など,誰かが困っているなら改善してあげましょう!
平山 諭藤原 能成
特別支援学校・特別支援学級コーナー
コーナー担当
五十嵐 勝義間嶋 祐樹
特別支援学校の実践
石川 圭史
〜「依頼カード」で人とのかかわりを増やす〜
特別支援学級の実践
伊藤 浩幸
〜絵手紙に取り組む〜
論文ランキング
32号/論文ランキングが大接戦!読み応えのある論文が多い!
小野 隆行
読者のページ
32号の学びや感想
桑原 和彦
編集後記
小野 隆行
TOSS特別支援教育イベント情報
桑原 和彦
どんな子でも熱中する教材はこれだ!!
『フラッシュカード』は,子どもたちを惹きつけます。フラッシュですから速くめくります。速くめくるから,余計なことを考えさせる隙間が無くなり熱中するのです。
桑原 和彦

【巻頭言】絶対にしてはいけない方法,絶対にしないといけない方法 教師が学ばないと絶対に変わらない

岡山県美咲町立美咲中央小学校/甲本 卓司


1特別支援の理解

私の勤務する地域では,特別支援学級の増設が進んでいる。

それは,小学校に入る前からドクターの診断をお願いする幼稚園,保育所が増えてきたからだろう。入学説明会には,何人かの保護者の相談もある。また,保育所などから入学生の情報も多く入るようになった。

関係機関のご努力に頭が下がる。

さて,小学校の現場はどうだろうか。

増設は喜ばしいのだが,その指導者の研修は進んでいるだろうか。

前年度まで普通学級の先生が,突然,新年度から特別支援学校,という場合も少なくない。

校内人事で,予想もしなかったという先生を多く知っている。

ある程度専門性があるとか,以前に特別支援学級を担任したとかというようなことがまったくなしにだ。

これだと,相当学校自体のシステムがうまくいっていなければ困惑する。

そして,一番に困るのは子どもたちなのだ。

圧倒的に,指導できる先生が少ない。

また,指導できるための研修の機会がまだまだ少ないというのが私の周りの現状である。

2これだけは,絶対にしてはいけない方法

特別支援教育で,これだけはしていけないという教育の方法がある。それは,次のことだ。

教えないで怒鳴る方法


このことを本当に理解している先生は,どのくらいいるだろうか。

小学校2年生で,反抗性挑戦性障がいになっている子がいる。

反抗性挑戦性障害は,二次障害だ。

学校の先生がつくり出している。

えっと思われる先生もいよう。

また,私は大丈夫と思っている先生もいよう。

次の症状がでていたら,笑っていられない。

サッカーが好きな太郎君に聞いてみる。

「次の時間,みんなでサッカーをやろうか。」


このときに,本当は,やりたいけれど

やりたくない。


と答えた子は,二次障害が始まっている。

あー言えば,こう言いたくなるのは,反抗性挑戦性障害の始まりである。

その一番の原因が,強く叱られることだ。

わけも分からず叱られるので,叱られたことだけが残り,反抗するようになる。

怒鳴る先生のクラスの子は,こういった状態が多い。

掃除時間だ。

毎週月曜日は掃除場所が変わる。

特別支援のAくんは,なかなか掃除場所に現れない。掃除場所に来ても何をしてよいか分からない。

遅れてきたAくんは,ここでどういった指導を受けるだろうか。

多くは,遅れてきたことを叱られる。

次に,仕事分担を言われる。

最初に叱られているので「やる気」がでない。

そしてまた叱られる。

「やる気があるのか」と。

これは,負のサイクルに入っている。

これが続けば,反抗性挑戦性障がいになる。

「やってられるか」

となるのだ。

3これだけは,絶対しないといけない方法

では,こういった場合どうすればいいのか。

私は,次のようにした。

「よく来たなあ」とまずほめる。

来たことをほめられて嫌になる子はいない。

次に,やり方を教える。

「テーブルの下を掃くといいよ」

「ちょっと貸してごらん」

とやってみせる。

その子も,ちょっとやってみる。

そこでほめる。

その子は,やる気になり,ますますやる。

また,ほめる。

教えてほめる方法


なわけだ。

すべての教育活動に役立つ方法である。

学習場面でも同じだ。

火曜日に算数のノートを使い切った。

新しい算数のノートは,いつ学校に持って来られるか。

教師はあまり考えない。

多くの教師は,次の日には持ってくると考えている。持ってこなければ叱る。

そうではない。

親が買いに行くのだ。次の日曜日に買いに行けばよいほうだ。

急には道具は揃わないのだ。

明日までに分度器を持ってきなさいと指示を出しても用意できない家庭もある。

次の月曜日に持ってくればよいのだ。

そこでほめる。

その視点を教師は知らない。

教師が学べば,視点が変わる。

視点を変えるのが「学び」なのだ。

学ばない教師は,絶対に分からない。

それが,特別支援教育である。

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      明治図書
    • 授業参観は,特に失敗できない授業の一つです。学級の気になる子を活躍させ,全体を巻き込み,保護者に安心感を伝えられれば,成功とするでしょう。毎年気が重くなる先生に,発達障がいの子がいる学級の先生にとって,心強い1冊です。
      2012/5/24おでんくん
    • 発達障がいの子がいると、参観授業を考えるのに大変苦労します。これだけたくさんのメニューが見られるのは大変貴重です。資料としても一級品です。活用します!
      2012/5/23つばさ

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