特別支援教育教え方教室 2009年4月号
21号 新指導要領と特別支援:授業づくりの改変点

T379

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特別支援教育教え方教室 2009年4月号21号 新指導要領と特別支援:授業づくりの改変点

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ジャンル:
特別支援教育
刊行:
2009年3月26日
対象:
小・中・他
仕様:
B5判 112頁
状態:
絶版
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目次

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特集 新指導要領と特別支援:授業づくりの改変点
基礎的知識や技能を習得させた事例
国語 音読・視写指導
子どもの実態に合わせ,指導者自身の壁を突き破る
神谷 祐子
国語・学期末漢字総復習テスト
学期末漢字総まとめテスト平均95点! そして,次の課題が
椿原 正和
算数
スモールステップ,衝動性,作業記憶が指導のキーワード
松藤 司
4の理解から 2けたのかけ算の筆算ができるまでの数の習得の2年間
川原 雅樹
体育
「エラーレスラーニング」の楽しい授業が必要である
小田原 誠一
国語
指書きなぞり書き「習得段階」での子どもの微細な動きをとらえる
小嶋 悠紀
社会
作業を通して考え方を教える
伊藤 雅亮
算数
型を教えて,それを繰り返すことで身に付いていく
石川 裕美
国語 作文
書く観点を与え,量と質を保障する
間嶋 祐樹
活用,発展型の授業で子どもが追究をした事例
理科、音楽
秘訣は,スモールステップで,個別評定することである
甲本 卓司
社会・総合
グーグルスケッチアップを活用した事例の研究を進めよう
谷 和樹
理科
知的な討論と実験で発達障害の子も巻き込む
木村 重夫
総合的な学習の時間
優れた教材が追究する子どもを生む
高杉 祐之
五色百人一首・名文格言カルタ・俳句カルタをすべて制覇! 試合を通して「我慢」を覚え,切れる場面が激減した事実
赤木 雅美
理科
向山型理科ならどんな子にも感動と驚きを与えてくれる
石丸 真一
理科・モルジブ磁石モーターづくり
障害をもった子に配慮した,「もの」を準備する
星野 裕二
社会
短く何度も1対1の時間をとる
奥原 淳子
理科「てこのはたらき」
自由試行の場面を多くつくり,友達と意見を交流する場面をつくることで授業は深まる
熊谷 博樹
新しい内容に挑戦させた実践事例
伝統文化
「暗唱」は発達障害の子どもたちを成長させる大きな武器になる
小野 隆行
「音読・朗読・暗唱」はどの時代も全生徒対応である
中川 とも子
国語・総合
五色百人一首で暗唱の楽しさを教える
新牧 賢三郎
言語活動
「言語事項」,TOSSが開発した力のある教材をユースウェアのとおりに使う
井上 好文
国語
斉読に取り組まない生徒が取り組んだ〜その声を聞き,視線はほかの生徒を見ていた〜
山田 高広
自立活動 作業学習
特別支援学校 「習得」に向けて体験を組織する
室木 義治
社会
『五色百人一首』が太郎に自信を与えた
染谷 幸二
外国語活動
Any volunteer に積極的に挑戦するA君
勇 眞
言語活動
2人組で短く限定した部分の動きを言い合うことで,仲間といい関係で学習できる
末廣 真弓
社会・総合
観光立国推進の授業で学習発表会へ
桜木 泰自
ミニ特集 家庭への報告・連絡・相談のポイント
頭を下げ,一歩引く勇気をもとう
槇田 健
実態をつかみ,目に見える指導をせよ
舘野 健三
教材を基にした「家庭学習」のすすめ〜特別支援学校での実践〜
五十嵐 勝義
保護者を安心させ信頼を勝ち取る方法
高橋 正和
見方が変われば保護者は味方になってくれる
中村 朋彦
親との関係を日常的につくる連絡帳の活用
大場 寿子
受け止め,そして将来の進路へ向ける
河村 要和
保護者も悩んでいる。どれだけその気持ちに共感できるかがポイントだ
勇 和代
報告・連絡・相談は保護者の不安を取り除くために行う
古井 友樹
保護者面談の基本は,「客観的・具体的事実」の情報交換
浜井 俊洋
B君を変えた保護者との三つの連携
川口 達実
進路決定への助言 特別支援学校への進学は1年前から準備をする
真柄 二郎
学校で困ること 家庭で困ること 共通点を探り話をもちかける
鶴田 恵市
足を運び,できたことやほめるところを伝える
月安 裕美
グラビア
第4回 新生TOSS特別支援教育セミナーin大阪 ほか
小野 隆行
イラストで学ぶ特別支援教育のキーワード (第6回)
教示のスピードが遅い
小嶋 悠紀田畑 玲子
向山一門が見た向山先生の特別支援教育の思想 (第6回)
小松 裕明
教育の新課題と特別支援教育
効果のある実践を,「科学的研究」にしていこう
向山 洋一
巻頭言
発達障害児に有効な方法を発信し合い,その効果を検証しながら,共有財産化を図っていく
松崎 力
特別支援教育で学校は変わる (第6回)
教師の視点が変わったとき子どもが変わる
小嶋 瑞紀
伴一孝の特別支援教育だより (第6回)
教育の実践の質は「自己」が規定する
伴 一孝
大森修の一刀両断 教育再生にもの申す (第6回)
子どもが成人になったときの社会的な状況を描けるか?描いているか?
大森 修
吉田教頭からみた特別支援教育 (第7回)
ボトムアップかトップダウンか?
吉田 高志
自閉症圏の子どもたちの対人関係能力を伸ばす試み (第2回)
自閉症圏の認知特性
森 俊夫
教育は格闘技だ―フリースクールの実践 (第11回)
自尊心を傷つけずに,望ましい行動を教える
伊藤 寛晃
LD/ADHD・ASの子を伸ばす指導のポイント (第14回)
保護者への報告・連絡・相談は,「共感」「因果関係」「分析」「見通し」を!
平山 諭
ママがする自閉症児の家庭療育HACプログラム (第6回)
「身辺自立」と「遊び」
海野 健
教師のための応用行動分析入門 (第6回)
かんしゃくを繰り返す子にどのように対応するか「お手玉腹筋の実践」
高畑 庄蔵
誌上QAコーナー こんな時どうしますか
翔和学園のスタッフに聞きました,「教師の授業力を高めるには,どうしたらいいですか」
大場 寿子
特別支援学校・特別支援学級コーナー
コーナー担当
五十嵐 勝義
特別支援学校の実践
中嶋 雅子
〜読み聞かせを楽しもう〜参加型読み聞かせの実践〜〜
特別支援学級の実践
野口 澄
〜効果抜群! 個別評定は極端な加点法〜
論文ランキング
20号/新モニターによる新しいランキング開始! 具体的なドラマが好評!!
小野 隆行
読者のページ
小野 隆行
編集後記
大場 龍男
TOSS特別支援教育イベント情報
五十嵐 勝義
酒井式描画法で授業する!
酒井式「部分積み上げ方式」で描く『港の船』
高橋 正和

巻頭言

発達障害児に有効な方法を発信し合い,その効果を検証しながら,共有財産化を図っていく

栃木県茂木町立逆川小学校 松ア 力


1 一人一人の発信で共有化を図る

 教師と子どもという関係ではあっても,人間同士の付き合いの中で,学級は営まれている。その時々に発せられる言葉,表情などの対応の仕方によって,お互いの信頼関係に差が生じてしまう。

 よい対応の仕方を取ろうと考えていても,言葉や表情は,その瞬間に相手に伝わる。「失敗した」と思って,あとから取り繕うとしても,多少の回復は見るだろうが,相手に与えた痛みのすべてを取り戻すことはできない。

 教師はその道のプロである。特別支援教育に関しても,エキスパートでなければならない。したがって,どのような対応の仕方が最善であるかということを常に意識していなくてはならない。毎日,毎時間の中で,「今,この子に対しては,どういった対応の仕方を心がけたらいいのか」ということを常に意識するということである。

 特別支援教育を要する子たちに有効な対応法は,クラスのほかの子たちにも効果がある。上手に対応できていれば,クラスは大変まとまってくる。発達障害児であっても,そうではない子どもたちであっても,対応の仕方の原理・原則は存在するのである。それらを知ることができれば,学級経営が安定してくる。

 そこで考えたいのは,「教育技術の法則化運動」の理念である。法則化は,子どもたちに有効な教育技術を共有財産にしようとして動き出した。

 現在,特別支援教育に努力をしている教師たち,特にTOSSに集う教師たちは,自分の目の前にいる子どもたちに行った事例の中で,特に有効だった対応の仕方をもっているはずである。その対応方法を発信し,共有化していくことによって,教師は多くの対応の仕方を身に付けることができる。

 得られた情報の中から,自分の目の前の子には,どの対応の仕方が最善であるかを判断し,実践すればいいのである。


2 うまくいった対応法を検証する

 朝,教室で,子どもたちに今日の予定などを話している。多くの教師がそうするように,私も早い時間の予定から順を追って話していく。ところが,一つのことを話していると,すぐに「今日の昼休みには,何も仕事はないの?」などと,話していることとは関係のないことをすぐに言い出す子がいる。  基本的な予定などは,事前に伝えてある。それでも突然の変更を嫌がるこの子は,どうしても気になることがあると,すぐに言葉に発してしまうのだ。

 しかし,それらにいちいち答えていたのでは,話のリズムが狂ってきてしまう。初めのころは,質問をされても「質問は,あと!」と,ぴしゃりと言っていた。

 ところが,こう言ってしまうと,この子はむっとした顔をして,すぐにいじけてしまう。その後,何もやろうとしなくなる。こうなると,そのあとのどのような声かけをしても,彼は動かなくなってしまうのだ。このような体験から,わたしは,簡単な質問であれば,すぐに答えてきた。短く言うことで,なるべくリズムを壊さないように努めた。

 それでも,「なぜ,そうなるのですか?」などの質問をされたときは,ある程度の説明をしなくてはならないので,時間がかかる。彼を満足させて,質問を取り下げる方法はないかと思案した。

 遠足の説明をしているときだった。彼は,持ち物について説明を求めてきた。その説明は,その後の話を聞いていれば分かる内容だ。そこで,とっさに「君の質問はいい質問だから,とっておいて」と言った。つまり,「少し待っていなさい」ということだ。

 ところが,このとき,彼は満足そうな顔をした。一通りの説明が終わった後「さっきの質問は何?」と聞いたが,「別に,もういいです」という返事だ。説明を聞いて,分かったのである。

 ほんのわずかな対応の違いであるが,この方法は,いつのときでも彼を安定させた。

 すぐに口を挟んでくる子は,多くの場所で報告される。もし,そのような場面があったときに,今回示した対応法をとっていただきたい。どのような反応を示すか,検証してほしいのだ。


3 具体的な事例を発信し合う

 このような検証作業は,できるだけ具体的な事例を出し合うことが必要である。最低でも,問題行動・対応法・留意点の三つが必要である。A君の場合を提示する。


【問題行動】

 授業中にずっと音を発している。鉛筆で机をたたいたり,歌を歌ったりする。体もずっとゆれている。

【対応法】

@ すぐそばに行く。

A 頭をなでる。

B (顔を上げたら)笑顔で目を見る。

C 手でバツをつくり「それはだめだよ」と教える。

【留意点】

 これをすると,すぐに音を出すのはやめる。ただし,これを行ったからといって,ずっと安定するわけではない。対応しやすいように,教師に近い位置に座らせ,根気強く接していく。


 すぐに音を出す子がいたら,叱る前に上記のような対応をとってほしい。そして,有効かそうでないかを発信してほしい。

 そのほかの有効だった対応例を発信し合い,共有財産化を図っていきたい。

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