- 特集 国語科のNG指導―「うまくいかない」には理由がある
- 特集扉
- 国語教師のNG思考とNG指導
- NG思考とNG指導を設定することで国語授業力は向上する!
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- 「なぜ?」から見直す国語科のNG指導
- 教室環境・アイテム活用のNG
- 関連する本を教室に置き,子どもたちが休み時間等に読めるようにする/調べる方法を列挙し,自己選択させる/ワークシートを配布し,内容を整理させる/授業で説明後,思考ツールを使って整理する
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- 単元構成のNG
- 文学的な文章を最初の場面から順番に平板に読ませる/誰に対して何のために書くのかを示さず書かせる
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- 課題提示のNG
- 思ったこと感じたことを書きましょう/お父さんは,なぜ,ゆみ子のにぎっている,一つの花を見つめながら行ったのだろう
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- 発問・指示・説明のNG
- 教材研究で熟考した問いを発問する/「元気よく音読しよう」と指示する/「今日のふり返りを書きましょう」と指示する/理解させようと丁寧に詳しく説明する
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- 板書のNG
- たくさんの色のチョークを用い,図形や記号を多数組み合わせた板書/ICT機器を多用しすぎ,情報が消えていく板書
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- ノート指導のNG
- 黒板を写し,ワークシート代わりにノートを使う/「〜を考えよう」「〜まとめよう」というあいまいなめあてを示す
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- ICT・端末活用指導のNG
- 端末を使って,短時間で言葉を見付けさせる/アプリの機能を多く活用させて自由に資料を作らせる/電子黒板だけを使って授業を進めていく
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- 発表・交流・話し合い指導のNG
- 教師の「発表させたいこと」を単元計画にする/隣の席の友達と話型に沿って交流させる/テーマを伝えてすぐに話し合いをスタートする
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- まとめ・振り返り指導のNG
- 漠然と感想を書かせる/時間で区切って書かせる/書くだけで終わる/授業だけでまとめが完結する
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- 読解指導〈説明文〉のNG
- 説明文を詳細に読む/初発の感想から学習課題をつくる/音読を宿題とし,授業中は音読をしない
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- 読解指導〈文学〉のNG
- 読んだらまず感想を書かせる/意味の分からない言葉を辞書で調べ,ノートに書かせる/物語について教える/本文に書いてあることから答えを探させる
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- 作文指導のNG
- スキルの指導を入れ過ぎた指導/短い作文でカードを書き,並び替える/教師の推敲の指導が細かすぎる
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- 音読・朗読・暗唱指導のNG
- 緊張度を高めて音読させる/朗読の意義を説明しないまま読ませる/暗唱を集団で競い合わせる/教材の導入時しか音読を取り入れない
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- 漢字指導・文法指導のNG
- 「先生の教えたとおりに漢字の学習をしなさい!」/「教科書の内容を写しなさい。テストに出ますよ」
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- 俳句・短歌指導のNG
- 指導者が句や歌の鑑賞,作者について細かに解説する/調べたことをもとに鑑賞文を書かせる/何でもいいから詠んでみるよう指示する/級友同士で読み合い,添削させる
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- テスト作成・評価のNG
- 長文記述の文字数だけを指定する/指導事項との関わりが曖昧
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- 宿題・自主学習のNG
- 目的・評価を伝えずに宿題を出す/思いつきで宿題を出す/授業との関連のない自主学習に取り組ませる/教材「を」教える
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- 読書指導のNG
- 読書の質にこだわった指導をする/好きな本を自由に選ばせる/読書感想文を書いて読み合う
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- 特別な配慮を要する子への指導のNG
- 教師が喋り続ける/毎回,毎単元,違うパターンで授業をする/常に説明的な一斉授業をする/「なぜそう考えたのですか?」と問う
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- 国語科の「探究的な学び」を探究する (第7回)
- 創造的想像・創造的思考で学びを創る
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- 教材別・今月の1人1台端末授業ガイド/小学校 (第7回)
- 読むこと領域(文学的文章)でのICT活用
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- 1年/くわしくかこう
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- 〜領域:書くこと/教材名:「しらせたいな,見せたいな」(光村図書)〜
- 2年/絵を見てお話を書こう
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- 〜領域:書くこと/教材名:「絵を見てお話を書こう」(東京書籍)〜
- 3年/進行を考えながら話し合おう
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- 〜領域:話すこと・聞くこと/教材名:「はんで意見をまとめよう」(光村図書)〜
- 4年/みんなで「なっとく」の道を探そう
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- 〜領域:話すこと・聞くこと/教材名:「クラスみんなで決めるには」(光村図書)〜
- 5年/表現の工夫を見つけて,物語のおもしろさを解説しよう
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- 〜領域:読むこと/教材名:「注文の多い料理店」(東京書籍)〜
- 6年/説得力のある文章を書くための方法を身につけ,家族会議に向けた意見文を書こう
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- 〜領域:書くこと/教材名:「世界に目を向けて意見文を書こう」(東京書籍)〜
- 教材別・今月の1人1台端末授業ガイド/中学校 (第7回)
- 情報の扱い方に関する事項の授業づくり
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- 1年/筆者が登場人物をどのように描いているのか 場面や描写から考え,人物を評価する文章を書こう
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- 〜領域:読むこと/教材名:「オツベルと象」(教育出版)〜
- 2年/「彼」に救いはあるのかどうかについての自分の考えを広げたり深めたりして,ミニ論文に表そう
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- 〜領域:読むこと/教材名:「夏の葬列」(教育出版)〜
- 3年/表現の仕方について評価しながら読み,「故郷」の価値を批評する文章を書こう
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- 〜領域:読むこと/教材名:「故郷(魯迅・竹内好訳)」(教育出版)〜
- [誌上インタビュー]教材の窓×ことばの扉 (第6回)
- 「「常識」は変化する」(東京書籍・中学1年
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- 「裂古破今」の国語科教育 本質私論 (第7回)
- 番外稿 大学入学共通テストに学ぶ
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- これならできる!「授業DX」アイデア (第7回)
- 書かせる板書と伝える板書
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- 国語教育の実践情報 (第79回)
- 小学校/授業改善に向けた「授業者」の視点と「学習者」の視点について
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- 中学校/令和4年度 全国学力・学習状況調査の報告書について
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- わが県の国語ソムリエ (第125回)
- 山形県
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- 編集後記
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- 今月号 掲載教材一覧
編集後記
授業が「うまくいかなかった…」という“逆”手ごたえは,誰しもが感じたことがあることでしょう。授業研究会などの事後検討会・雑談の場においては,「こうしたらうまくいきました!」よりも,「これがうまくいかなかったんです…」ということの共有の方が,話が盛り上がることが多いな,と感じます。うまくいかなかったその失敗体験に対して,多くの先生が『そうそう! あるある!』と共感されるからでしょうか。失敗を開示するという行為が相手の心を開かせることによって話が弾む,ということもあるでしょうが,なにより,指導の失敗の原因分析→よりよい指導を考えていくというプロセス自体が,授業力アップに直結することを先生方ご自身がご存知だからだろうと思います。
授業がうまくいかない要因は様々にあるかと思いますが,その一つに,
“NG指導”があると考えます。「なぜこれはダメだったのだろう」と指導の“NG”部分を掘り下げ振り返ることは,授業改善並びに指導力の向上に欠かすことができないことは言うまでもありません。
ついやってしまいがちなNG指導や,無意識に行ってしまっているNG指導を見直すことで,よい指導,すなわち“OK指導”に変えていく具体例を,教科書教材や実例をもとに,お寄せいただきました。
但し,今号では,ただ単にOK指導を追試すれば授業がうまくいくというわけではない,ということを大切に考えて,ご寄稿いただいたことも付記しておきたいと思います。「なぜその指導がNGなのか」を考える過程こそがよい授業づくりには重要で,誤解を恐れずに言えば,OK指導はその結果に過ぎないともみなせます。
巻頭にご寄稿いただいた土居正博先生は,
絶対的な正解がない教育の世界では,「正解」ではなく「不正解」を自分なりに見つけて蓄積していくことが力量形成につながる
と仰っています。「不正解」の見つけ方・蓄積法と,それを「不正解」でなくするための思考法を,お寄せいただいた多数の事例をもとに見つけていただけることを願っています。
/林 知里
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