現代教育科学 2010年9月号
「道徳の時間」は修身悪玉論を克服したか

A648

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現代教育科学 2010年9月号「道徳の時間」は修身悪玉論を克服したか

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ジャンル:
教育学一般
刊行:
2010年8月4日
対象:
小・中
仕様:
A5判 115頁
状態:
絶版
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目次

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特集 「道徳の時間」は修身悪玉論を克服したか
提言・「道徳の時間」は修身悪玉論を克服したか
修身教育の再検討の必要性―「道徳の時間」を実り豊かにしていくために―
押谷 由夫
むしろ「修身」の良さを学べ―本当の「悪玉」は誰か―
野口 芳宏
現行の「道徳の時間」は修身否定の上で生きる力を育成している
荒木 紀幸
課題は「道徳の時間」を清算し、新しい修身科を立てることである
安藤 豊
大切な考え方は一方的に注入してよい。その際、「ふれあい囲碁」のような「一級の教材」を取り入れるべきである
谷 和樹
新道徳教育は改正教育基本法の趣旨が生かされているか
改正教育基本法の趣旨を徳目としてしっかり教え込む
山極 隆
改正教育基本法と道徳教育の課題
江間 史明
新教育基本法をどう読むかにかかっている!
安彦 忠彦
「道徳の時間」を要とした道徳教育の在り方を問う
かくれたカリキュラムで徳育がされていることを自覚すべきである
大森 修
「要」であるがゆえの役割がある
長野 藤夫
世のため人のため自分のために生きる力の基盤を―豊かな心と実践力を育もう―
花田 修一
道徳教育推進教師を中心とした指導体制の問題点
校長の下での働き掛け
向山 行雄
校長の指導力が問われる
鈴木 健二
新学習指導要領の目玉になってない
槇田 健
子どもが感動を覚える道徳教材の開発
感動にのせて、大切な生き方を子どもの心に届ける
河田 孝文
生きさせて!「新婚さんいらっしゃい!」ある夫婦の一四三日
古川 光弘
生徒が変容する授業をしよう
長谷川 博之
「道徳の時間」における言語活動力の充実
言語活動によって意識化され、子どもたちの道徳心も高まる
神谷 祐子
話すこと、書くことの充実を図る
吉本 清久
道徳教育における基本的な言語活動
岩ア 淳
教師自らの体験を語る―ユキオ少年のエピソード他―
小林 幸雄
現場からの「道徳の時間」改革論
授業に「生徒の日常生活」があるだろうか?
染谷 幸二
実践につながる授業を求めて
山田 一
「生徒のための道徳授業」という信念
桃ア 剛寿
科学技術教育立国論 (第6回)
暗記ではなく教師自身が実感を伴った理解を
小森 栄治
宗教教育における教師の責任 (第6回)
宗教の定義をめぐる諸問題
平野 久美子
新教授学理論に学ぶ (第6回)
転換期の教授学
深澤 広明
不適格教員の問題 (第6回)
「教えないで叱る」教師が、子どもの自尊感情をズタズタにしている
向山 洋一
道徳教育のこれからの課題 (第6回)
何が宗教教育を「タブー視」させてきたのか
貝塚 茂樹
編集後記
江部 満樋口 雅子

■編集後記

○…本誌五月号の第二回の連載論文で貝塚茂樹氏(武蔵野大学)は、「修身科は未だに清算されていない」と題し、「修身科=悪玉」論を決定づけた「道徳の時間」と論じられています。少々長くなりますが、ご紹介します。

○…「道徳の時間」を設置する根拠として、国会では「昔の修身的な意味ではなく」や「昔の修身のようなものにはしない」という言葉が教育行政側から度々繰り返された。また文部省は、「道徳の時間」は、「戦前の修身教育がともすれば陥りがちであったように、固定的な計画を押しつけたり、徳目の一方的な注入をねらったりするものでもなければ、また、単に生徒の身辺に生ずる日常的・断片的な事象や問題のそのつどの解決に主力を注ぐというだけのものでもない」(『中学校道徳指導書』、一九五八年)と説明した。  

 つまり、こうした説明では、「道徳の時間」と修身科との相違が殊更に強調されると同時に、修身科は「新しい民主主義の道徳」とは対峙するものとして否定されている。(以上、貝塚氏の論文の引用)

○…戦後教育の改革は、アメリカ占領軍の指示の下に進められています。昭和二〇年一二月三一日に「三教科停止命令」を出しています。その教科とは修身、日本歴史、及び地理です。中央教育審議会の答申(平成二〇年一月)では、道徳教育の充実・改善に向けた基本方針及びその具体的事項が示されており、それは六〇年ぶりに改正された教育基本法の理念を受け、「道徳の時間」の指導の在り方の改善・指導体制の充実を示しており、今回の改訂を方向づけるものとなっています。本号はこの事実を踏まえ、道徳教育の在り方を提言していただく特集を組みました。

(江部 満)

○…「最大の抵抗勢力は教師。三鷹市に限らず、学校の先生は自分の授業を見せたがらない。監視・批判されると感じる。先生はいやだ≠ニは言いたくないから、子供が落ち着かなくなる≠ニ表向きの理由を挙げて抵抗する」

 引用は、以前から注目している貝ノ瀬教育長の言。氏は、コミュニティ・スクールを全域に広げるため、地域から学校へのボランティア要請をしたところ、協力者は年間五〇〇〇人にも及ぶようになったとか。

 こうやって〈地域が学校をつくる〉を広げていくなかで、聖域だったのが、逆に?教育界≠セった―のだ、そうです。

 そういえば、あの校長にオレの授業が評価できるか≠ニいう教師の言もありますが、〈わからないなら、わからせてやればいいのに〉ね。入室拒否とはこれ如何に…。

 それにしても、授業を見せるってそんなに大変なことなのーって、再認識しています。

(樋口雅子)

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