現代教育科学 2010年8月号
基礎学力論争から学ぶ低学力の克服

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現代教育科学 2010年8月号基礎学力論争から学ぶ低学力の克服

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ジャンル:
教育学一般
刊行:
2010年7月7日
対象:
小・中
仕様:
A5判 115頁
状態:
絶版
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目次

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特集 基礎学力論争から学ぶ低学力の克服
提言・基礎学力論争から学ぶ―学力低下論を読み解く
学力定着・向上の総合戦略―学力低下論を乗り越えて―
山極 隆
系統主義の幻 経験主義のまやかし―今必要な<政治>へのまなざし―
難波 博孝
深めたい学力の「基礎、発展、基本」の構造
片上 宗二
基礎学力論争を乗り越え、それらを統合、止揚する方法の確立こそ―単元によって統合する授業づくりを―
加藤 明
四つの言語と生み出す力
池野 正晴
PISA型学力は学力観を変えるか
PISAは日本人の基礎学力観を根底から変えた―しかし日本人がPISAを習得するのは遠い先ではない―
有元 秀文
PISA型読解力を捉え直す―受験学力でなく対話能力として―
鶴田 清司
新国語科の目標と低学力克服の戦略
「主体的学習態度」の確立と「既習の学び」
小森 茂
漢字指導の「指書き」全国調査を提案する!
椿原 正和
読解の授業で強力な学習集団を
岩下 修
国語科の低学力は言語生活力の崩壊
吉永 幸司
新算数科の目標と低学力克服の戦略
向山型算数・数学は「できない」子ができるようになり、「できる」子も知的に満足する授業を保証する
井上 好文
低学力を克服するために教科書がある。その教科書を教えきれるだけの教師力をつけることが大切である
甲本 卓司
教科書を使用し、やり方を教えながら多くの問題を解かせる指導法が基礎学力向上を保証する
松崎 力
説明算数の授業を仕組む
福山 憲市
新社会科の目標と低学力克服の戦略
社会科低学力克服の戦略と到達目標
有田 和正
教室に地図がありますか 教室に子ども手当ての話題がありますか
三原 茂
説明したり論述したりする時間を確保する
吉田 高志
新理科の目標と低学力克服の戦略
「実感を伴った理解」がキーワード
小森 栄治
三つの重点的な学習活動での低学力克服法
新牧 賢三郎
実験を行う上での下地づくりにこそ大切なポイントがある!―実験の楽しさを実感させるシステム―
小林 幸雄
発達障害児の基礎学力保証
国語力が学習、生活の両面に影響する
小野 隆行
見つけてでもほめ、向山型の指導を続ける
奥 清二郎
たった一つ、やる気を出せるものを見つける
井戸 砂織
科学技術教育立国論 (第5回)
「はやぶさ」の快挙を子どもたちに伝えよう
小森 栄治
宗教教育における教師の責任 (第5回)
文部省著作の『宗教と社会生活』
平野 久美子
新教授学理論に学ぶ (第5回)
授業の「三角形モデル」の教授学
深澤 広明
不適格教員の問題 (第5回)
学校中で問題だったA君が計算、漢字スキルに熱中するようになった
向山 洋一
道徳教育のこれからの課題 (第5回)
徳目を「教える」ことが道徳教育の基本である
貝塚 茂樹
編集後記
江部 満樋口 雅子

編集後記

○…第二次大戦後の教育の歴史的展開において「基礎学力」をめぐる論議や論争は、繰り返し展開されてきました。特に、戦後新教育の発足とともに始動し、「読・書・算」基礎学力論の評価と位置づけが注目を集めてきました。当時(昭和二六年)の故広岡亮蔵氏は、「基礎学力という言葉がはっきりとあらわれてきたのは、戦後教育において、基礎学力という重大な病理的な現実的事態が噴出しているからである」と、その著書『基礎学力』で主張されていました。新教育を進める人たちからは、経験主義原理に根拠を置き、生活単元学習を基軸にして「生きて働く力」「問題解決能力」「生活能力」こそが望ましい「新しい学力」であると主張されていました。

○…これに対し、「読・書・算」基礎学力論者たちは、国民大衆の素朴な教育要求を基礎にして、基礎学力を軽視する戦後新教育を「植民地的愚民化政策」の典型であると批判してきました。まさに「国民教育」としての価値を重視し、「基礎学力の防衛」の意味を国民的課題として提起してきました。

○…しかし他方で「読・書・算」だけが基礎学力であるのか、基礎学力の現代的あり方とは何かは、不問にされています。伝統的な固定的学力観の知識観だけでなく、理解力、思考力、創造力、適応力、問題解決力など、機能主義的な学力観の導入などが求められています。

○…その背景には「ゆとり教育」による「学力低下論」があります。教育論争として繰り返されてきた「学力低下論争」とその影響は無視できないでしょう。しかし、指導要領実施直前の二〇〇二年一月に「学びのすすめ」が出され、「学力向上」「確かな学力」がうたわれるようになりました。本号は、「低学力問題」に正面から取り組んでみました。

(江部 満)

○…「授業時間を守らないのは、勿論、論外だとは思うけど、授業で使う映像教材を他の教師が操作していて、授業時間を守ったーというのもアンフェアではないか?」

 先月、福岡で行った社会科フォーラムの授業をめぐっていただいた感想メールです。

 三人の先生に授業をしていただいたのですが、確かに、お二人の先生の授業は、かなりの時間オーバーでした。

 最後の授業は、前記のように、時間はきっちりだったのですが、確かに、お仲間の先生と思しき方がPC操作をされていました。メールを下さった先生からは、「あの映像の操作を授業者が行っていたとしたら、おそらく授業時間は守れなかったのではないか?」とも。

 不甲斐ないことに、こういう視点が欠落していた私には、ご指摘を受けるまで全く気づかなかった!のでした。まさに、見えても見えず―。

(樋口 雅子)

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