現代教育科学 2008年10月号
「国家と愛国心」は道徳教育の要か

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現代教育科学 2008年10月号「国家と愛国心」は道徳教育の要か

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ジャンル:
教育学一般
刊行:
2008年9月8日
対象:
小・中
仕様:
A5判 115頁
状態:
絶版
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目次

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特集 「国家と愛国心」は道徳教育の要か
提言・新学習指導要領「総則」の規定を分析する―道徳教育の課題を中心に―
国家と正面から向き合うことが必要
貝塚 茂樹
愛国心に関する指導を教育指導全体の中でとらえよう
押谷 由夫
改訂学習指導要領「総則」の方針に期待
野口 芳宏
愛国心教育こそ全教育活動を通して
安藤 豊
総則は大言壮語で読むに耐えない悪文である
大森 修
「伝統と文化の尊重」で愛国心は育つのか
「観光」を視点にした地域の授業を開発しよう
谷 和樹
伝統や文化を担う人との交流が必要である
江間 史明
伝統と文化を教え、観光立国する子どもたちを育てる
河田 孝文
「郷土愛」から愛国心が育つのか
ナイーブな郷土愛拡大教育は愛国心を阻害する
吉永 潤
共同体形成を可能にする倫理的基盤は目前にある
猪瀬 武則
「郷土愛」だけでは足りない
佐藤 民男
「日の丸・君が代」から愛国心が育つのか
規範意識の醸成と文化の相対化から愛国心を育てる
明石 要一
子どもたちに育てたいのは二一世紀を生き抜く力
神谷 祐子
「愛国心」どころか、日本の子どもたちは、「国旗・国歌」について、何も教えられていない
井上 好文
「宗教的情操」と愛国心はどう関わるか
宗教的情操のなかで愛国心をはぐくむことの困難
山下 政俊
愛国心教育の行方
平野 久美子
「宗教に関する一般的な教養」と「宗教的情操」は「愛国心」と密接な関わりがある
岡田 健治
小学校現場からの提言・「国家と愛国心」をこう考える
愛国心を育てていくことは、ごく自然のことである
吉田 高志
道徳教育の要は、「自己実現」である
大江 浩光
笛吹けど踊れず
大谷 和明
中学校現場からの提言・「国家と愛国心」をこう考える
観光立国が日本の教育を変える
大北 修一
社会的共同体としての「国」に対する愛国心(愛郷心)を教える
石丸 真一
「普通の感覚」でなければダメだ
長野 藤夫
教育再生への課題―現場の問題点 (第7回)
慶応大学医学部精神神経科学教室の統合失調症の「訓練プログラム」は日本一になった。教材はTOSSの開発した「ペーパーチャレラン」だった
向山 洋一
教師の「道徳教育実践力」を育てる (第7回)
子どもの道徳的な成長について(3)
荒木 紀幸
新学習指導要領をどう解釈するか (第7回)
中等普通教育の消失と中高一貫教育
安彦 忠彦
免許更新制の課題 (第7回)
更新講習、誰が、いつ、どのように受けるのか
長尾 彰夫
戦後教育は終わった (第7回)
「主任制」は中途半端だった
菱村 幸彦
「教師力」とは何か (第7回)
「よい授業」のための五つのポイント(その1)
梶田 叡一
編集後記
江部 満樋口 雅子

編集後記

○…「道徳教育を否定して教育が成立するのであれば、是非とも見せてもらいたい」(貝塚茂樹著『戦後教育は変われるのか』から)という主張があります。確かに、真面目に戦後教育のあり方を考えてみる機会に今あると言えるようです。折りしも改訂学習指導要領の告示がなされましたが、異例の修正がなされたとして話題になっています。小・中学校の新しい学習指導要領が三月二八日に告示されたわけですが、この中には「愛国心」を強調する文言がいくつも書き加えられており、二月一五日の改訂案から内容がすっかり様変わりしている、と話題になっています。

○…主な変更要点を挙げてみますと、まず「総則」では道徳教育によって育成をめざす人間像の説明に「国と郷土を愛し」という表現が加わっています。これを「学習指導要領全体の土台となる総則で愛国心を強調する意味は大きい」と問題視する意見も出ています。「総則」への明記により、あらゆる教育場面で、子どもたちの内面に踏み込む指導が行われるのではないかと危惧する意見です。

○…各新聞の報道でも「新指導要領・異例の修正」という記事が目立ちました。特に「愛国心養成」が見出しで報道される例が目立ち、国語で神話の読み聞かせ、まで取り上げた新聞もありました。さらには小学音楽「いずれの学年においても指導する」から「歌えるように指導する」と修正されているのが目立ちました。「愛国心」を盛った新指導要領に政治の「圧力」が背景にあると報じた新聞もありました。

○…愛国心を学校現場でどう教えたらよいか、これからの実践現場の大きな課題となりそうです。「一つの価値観に染めるのは不可能だ」とする現場教師の戸惑いにどう応えていくか、多くの問題を抱えているといえそうです。

(江部 満)

○…「知事は小さいときに絵本を読んでもらったことはありましたか」

 七月九日。大阪府議会本会議の一般質問で、女性府議がこんな質問をぶつけた。その趣旨は「国際児童文学館」(吹田市)廃止の是非についてだったが、橋下はむっとした表情でこう答えた。

 「私の母は夜も昼も仕事をしていたので、読んでもらったことはありません」    産経に載っている「大阪府橋下知事の研究」という連載の中にあった一節です。

 絵本を読んでもらえないような境遇がよいはずはないですが、それを当たり前の家庭教育という前提の上にたって税金補助をねらうなんて、どうかしている!

 それにしても。

 中学三年の時の担任教師は「論理立ててものを述べる交渉術は卓越しており、教師からみても、こちらが見透かされているような怖さがあった」とか。

 編集者も、黙って切り捨てるコワイ読者が続出しないよう怖い人探し≠していかないと、ヤバイことに…。

(樋口雅子)

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