学校を元気にするチームリーダーの仕事術
現役スーパー校長が伝授する、チームリーダーの仕事術。教職員のパフォーマンス、チーム力を向上させるのはあなただ!
学校を元気にするチームリーダーの仕事術(4)
仕事の効率化に必要なのは勇気!?
愛知県小牧市立小牧中学校長玉置 崇
2014/9/25 掲載
  • チームリーダーの仕事術
  • 学校経営

1 なぜ仕事の効率化ができないのか

 「効率化」「無駄を省く」「能率化」などの方法をうたい文句にしたビジネス書は、ごまんとある。これはつまり、どの企業や事業所においても仕事の「効率化」や「能率化」が、業務の課題となっているということだ。教育界も同様である。
では、なぜ効率化ができないのか。
 経験から言えば、勇気がないだけのことだ。何かを省こうとすると、よく出されるのが、1万回に1回程度起こるか起こらないかという事例を出して不安にさせる意見だ。だれしもマイナス情報を与えられると怖気づくものである。「そうか、そのような意見があるのであれば、次年度に向けて検討することにしよう」という結論を出して、結局はいつまでも変わらない状況を自らつくり出しているのではないだろうか。

2 学校新聞の廃止

 現任校に赴任して省いたものは多い。
 開校以来65年間、年2回発行してきた学校新聞を赴任初年度から廃止した。年2回発行してきた新聞を見てみると、半年分の学校の状況をA4判4ページで伝えているので、かなり時期外れの記事が多い。学校のホームページはほぼ毎日更新できるという判断もあり、新聞に替えて、ホームページで随時発信することに決めた。このことに対して、「OBからお叱りを受けるのでは?」という心配の声が、教頭からあがった。正直なところ、そう思うこともあった。
 しかし、新聞作成担当者が原稿集めをして、字数を合わせて記事に仕上げ、それを業者に出して校正するといった業務の手間も考えて、廃止すべきだという結論に達した。教頭には、

 「もしOBからお叱りを受けたら、一晩で新聞をつくるから心配しないで」

と伝えた。
 はたして、廃止から2年経っても、学校新聞はどうしたのかという声は一切ない。地域にも配付していたが、話題にすらのぼらない。

例

3 生徒手帳の廃止

 本校では、市販の生徒手帳を購入し、担任が、住所、氏名、校長印、公印を押して生徒に渡すという作業をしていた。40人近くの生徒の住所等を直筆するのは手間がかかる。しかも学年開始当初に配付しなければならないので、慌ただしい中での作業となる。さらに、市販の手帳だったので、けっこうな値段になる。
 それに対して、実際どれほど手帳が使われているのか生徒に聞いてみると、表紙の身分証明書は必要だというが、通常の手帳にある日付ごとのページは一切必要ないという。日々、スケジュールを書き込まなければいけないような中学生はほとんどいないだろう。
 これらに鑑みて、廃止をすぐに決め、身分証明書を生徒データベースからカードに打ち出す形式に変更した。

4 学級経営案の形式変更

 多くの学校が担任から学級経営案の提出を求めている。その形式をA4判1枚に変更した。
 それまでは学校経営案と同じような項目を書き写すこともあって、10枚を超えるものになっていた。職員からは、教育委員会の訪問時に、あまりにも簡潔すぎると指摘を受けるのではないかという声があがったが、校長が決めることなので問題はないと答えた。

今回のPoint!

要・不要を分別し、勇気をもって仕事の効率化を図れば、心配することはまず起こらない。

玉置 崇たまおき たかし

1956年生まれ。愛知教育大学数学科卒業。
公立小中学校教諭,愛知教育大学附属名古屋中学校教官、教頭、校長、愛知県教育委員会指導主事、教育事務所長等を経て、現在、小牧市立小牧中学校長。
ICTを活用した数学授業や学校経営において実績があり、文部科学省発行の「教育の情報化に関する手引」を執筆。また文部科学省「学校教育の情報化に関する懇談会」委員、「中央教育審議会」専門委員歴任。
主な著者に、『スペシャリスト直伝!中学校数学科授業成功の極意』(明治図書)、『中学校学級担任必携 生徒指導要録作成の手引き&総合所見の文例1080』(明治図書)『玉置流・学校が元気になるICT活用術』(プラネクサス)ほか。

(構成:矢口)
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