学校を元気にするチームリーダーの仕事術
現役スーパー校長が伝授する、チームリーダーの仕事術。教職員のパフォーマンス、チーム力を向上させるのはあなただ!
学校を元気にするチームリーダーの仕事術(1)
校長まで伝えたら、あなたの責任は0%!?
愛知県小牧市立小牧中学校長玉置 崇
2014/6/25 掲載
  • チームリーダーの仕事術
  • 学校経営

1 報告・連絡・相談がしやすい環境の作り方

 「学校力はコミュニケーション力に比例する」という説がある。そもそも学校力の定義からしてあいまいなのだが、長年の経験から言うと、これは的を射ていると思う。職員室内で様々な情報が気軽にやりとりされているときは、どんな事態が発生しても浮き足立つことはない。今の状況をみんなが知っていてくれるという安心感があるからだ。

 新たな取組を考えなくてはならないときにも、日ごろから雑談を含めてコミュニケーションがとれていると、発想も生まれやすい。職員室全体に柔軟な空気が流れているので、とんでもないことを言っても許されるという雰囲気が醸成されているからだ。

 このような空気や雰囲気を作るうえで大前提となるのが、報告・連絡・相談がしやすい環境であるということだ。

 私は、4月早々の職員会議で、次のように言っている。

 「悩むことや困ったことがあったら、ぜひ校長や教頭にも伝えてほしい。教頭に伝えたら、あなたの責任は50%になります。校長まで伝えたら、あなたの責任は0%になります」

 このような表現で、問題を一人で抱え込まないように話した。その日の夕方、校長室に生徒指導主任が訪ねてきた。

 「校長先生、今日のお話には感激しました。これまで何人もの校長に仕えてきましたが、あそこまで言われた校長は、先生が初めてです」

 むしろこちらの方が感激する言葉だったので、

 「わざわざ校長室まで、こうして言いに来てくれたことこそ嬉しいことだ。ありがとう。だからね、あまり校長まで伝えないようにしてくださいね(笑)」

と応えた。リーダーであれば、「何でも報告してくださいよ。相談してくださいよ」とだれもが言っていることと思う。しかし、この表現ではインパクトがない。そこで、相手の心に響く表現を考えたときに、この「校長まで伝えたら、あなたの責任は0%」という表現が生まれたのだ。

例

2 違いを生むのは何か?

 学年体制においても同様である。担任が一番身近に感じるリーダーは学年主任だ。「報告・連絡・相談」をしやすい環境を作ることは、安定した学年運営をするために欠くことができない。
 忘れてならないのは、学年主任自身がその「環境」であるということだ。例えば、互いに忙しくて一同に会することができないから、「学年掲示板に報告・連絡は書いておいてください」と指示しても、きっちり書かれる学年とそうではない学年がある。違いはどこから出てくるのかというと、学年主任の姿勢なのだ。「あの主任であれば、書いておけば必ず何らかのかかわりをしてくれる」と担任が思っていれば、書こうという気持ちが生じるが、何ら対応がなければ、書いてもムダだという気持ちになる。

 つまり「報告・連絡・相談がしやすい環境づくり」は、「報告・連絡・相談がしやすい自分づくり」なのだ。

今回のPoint!

報告・連絡・相談がしやすい自分であることが、環境作りの核

玉置 崇たまおき たかし

1956年生まれ。愛知教育大学数学科卒業。
公立小中学校教諭,愛知教育大学附属名古屋中学校教官、教頭、校長、愛知県教育委員会指導主事、教育事務所長等を経て、現在、小牧市立小牧中学校長。
ICTを活用した数学授業や学校経営において実績があり、文部科学省発行の「教育の情報化に関する手引」を執筆。また文部科学省「学校教育の情報化に関する懇談会」委員、「中央教育審議会」専門委員歴任。
主な著者に、『スペシャリスト直伝!中学校数学科授業成功の極意』(明治図書)、『中学校学級担任必携 生徒指導要録作成の手引き&総合所見の文例1080』(明治図書)『玉置流・学校が元気になるICT活用術』(プラネクサス)ほか。

(構成:矢口)

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