まるしん先生直伝!研究主任の仕事大全
より良い研究に取り組むことで、学校は活性化し、先生たちはやりがいをもち、子どもたちは笑顔になります。研究主任がすべき仕事、まるごと教えます!
研究主任の仕事大全(7)
公開研究会の実施・運営のポイントは?その1
実施のメリットの共有・実施の周知・ねらいの設定
立命館小学校丸岡 慎弥
2022/12/5 掲載
  • 研究主任の仕事大全
  • 教師力・仕事術

「公開研究会を実施する」というと、「大変そう…」「いろいろとやることが増えていやだなぁ」という反応をされることもあります。先生方のやる気を高めるためには、公開研究会の実施提案にも戦略が必要です。

公開研究会のメリットをしっかりと伝える

 「公開研究会」というフレーズを聞くと、「大変そう」「仕事が増える」などといった思いを連想する方が少なくありません。
 公開研究会には、メリットもたくさんあるはずなのですが、なぜだかデメリットばかりがクローズアップされてしまう傾向があります。
 しかし、研修を充実させることができる、研究会を通して学校がひとつのものに向かえるなど、公開研究会のメリットは計り知れません。
 中でも、先生方の心を動かすことができるのが、

予算を確保することができる

ということです。
 公開研究会実施を教育委員会へ連絡し、認可が下りればいくらかの予算が付きます。この予算を学校の研究に充てることができることは大きなメリットです。また、研究主任としていくらかのまとまったお金を動かすことができるのは、貴重な機会であると言えます。
 
 ただ、気を付けておかなければいけないことは、「全体はメリットを伝えるだけでは動かない」ことです。「そんなことは聞いていない」「事前に言ってくれたらよかったのに」とベテラン先生から言われた体験がある方は、少なくないのではないでしょうか。

影響力のある方ときちんと事前に話をしておく

ことが、とても大切になってきます。
 管理職の先生はもちろん、キーマンとなるベテランやミドルリーダーとも、事前に個別にしっかりと話し込んでおきましょう。

日程を決めることであらゆることが動き出す

 公開研究会の実施を周知するのに、最も大切なことは「日程をいつにするのか」ということです。当然、研究教科や研究テーマは周知していることは前提です。
 具体的な運営方法は何なのか。
 どんな人を講師に呼ぶのか。
 公開研究会を実施するとなると、様々な要素が動き始めますが、何よりも「日程」を伝えなければいけません。
 どうして日程が大切なのか。それは、

仕事(人)は与えられた環境で動くもの

だからです。例えば、2月に公開を迎えるのであれば、そこに仕事の進捗を合わせますし、11月であれば、11月に間に合うように仕事を進めていきます。全員の描く公開研究会のイメージをそろえ、うまく走り出すためにも、日程を正確に伝えることに意識を向けましょう。

研究会のねらいは一言で表す

 当然のことですが、ただ公開研究会を開催すればよいというものではありません。「公開研究会の『ねらい』は何か」と問われたときに、一言で言い表せるかどうかがポイントです。
 では、「ねらいをはっきりさせる」とは、どういったことを意味するのでしょうか。
 私は、次のように捉えています。

  • 研究会でのテーマをできるだけ狭くする
  • 研究会の流れに整合性をもたせる

 テーマの設定については、本連載の第2回で詳述しましたので、ここでは「整合性」について詳しく見ていきます。
 ただ公開研究会を開催しているだけの研究会は「整合性」が取れていません。
 「整合性が取れていない」というのは、どういった状態なのかというと…

・研究テーマと授業の中身に整合性がない
 →発問をテーマにしているのに、資料提示がメインになっているなど
・研究テーマと研究発表に整合性がない
 →発表が研究テーマに向かうものではなく、別のテーマに向かっていたり個人の思いに走りすぎてしまったりしている
・研究発表に関わる人が限定的である
 →様々な方からの実践があがっていないので、研究を深め切れていない
・講師の話と研究テーマに整合性がない
 →講師の指導講評に、授業者への講評や持論のみで、研究テーマに関わる話題が乏しい

 「まぁこれくらい…」という小さな意識が、公開研究会当日には大きなズレになってしまうことを心得ておきましょう。

 公開研究会の実施・運営のポイントについては、次回に続きます!

*大好評をいただき、本連載が書籍になりました! 『研究主任 365日の仕事大全』
 体系立てて学びたい先生はぜひこちらもご覧ください。

丸岡 慎弥まるおか しんや

1983年、神奈川県生まれ。三重県育ち。皇學館大學卒。立命館小学校勤務。道徳科教科書編集委員。関西道徳教育研究会代表。NLPやコーチングといった新たな学問を取り入れて、これまでにない教育実践を積み上げ、その効果を感じている。
丸岡慎弥のblog★
https://ameblo.jp/marushindozo
関西道徳教育研究会HP
https://fa.fureai-cloud.jp/kansaidouken
オープンチャット「まるしん先生の道徳教育研究会」運営
https://onl.la/xeSVV5w

(構成:林)
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