採点ミス問題で思わぬ効果!? 高等学校卒業程度認定試験
7日の朝日新聞の記事によると、高等学校卒業程度認定試験(以下高卒認定)の採点ミスで誤って不合格にしてしまった80人のうち、8人が住所不明などで連絡がつかない状況とのこと。昨年末に発覚したこの問題は、採点プログラムの間違いが原因で、2005年に大検から高卒認定に衣替えした当時から続いてた。
高卒認定は2005年に大検から変わった制度で、平成19年度は全国で28,317人が受験している(合格者数は10,845人)。大検が、なんらかの理由で高校を卒業できなかった人に大学入学資格を付与するための制度であったのに対し、高卒認定は高校を卒業した人と同じか、それ以上の学力を有することを国が認定する制度で、大学進学だけでなく、就職においても幅広く活用されることを目的としている。
しかし実際には、平成18年4月の「高等学校卒業程度認定試験(高卒認定)に関する調査」において
高卒認定合格者を『高卒と同等』と扱う地方自治体や企業は増加傾向にあるものの、特に企業における取り扱いが低いと判明。
と報告されるなど、高卒認定の社会における認知度の向上が課題とされていた。
同報告書では、
今後、経済団体への働きかけやパンフレットの作成・配付等、積極的に本制度の周知を図る予定。
と締めくくられているが、パンフレットより何よりも今回の採点ミス問題が、高卒認定という制度を広く一般に認知させる効果を生んでしまったことは、なんとも皮肉な結果といえそうだ。
- 高等学校卒業程度認定試験(旧大学入学資格検定)(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shiken/index.htm - 合格者8人に連絡つかず=高卒試験の採点ミス−文科省(時事通信)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_date2&k=2008010700677 - 高等学校卒業程度認定試験の採点ミスについて(お詫び)(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shiken/08010914.htm
この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。

知名度が上がったところで就職に有利になるとは到底思えないのですが。