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卒業したら半年の自分探し―日本版ギャップイヤー
kyoikujin
2007/7/10 掲載

 教育改革の柱の一つとして進められている大学改革の中で、教育再生会議の二次報告に盛り込まれて注目されている「9月入学の大幅促進」。現在は3月に高校を卒業してその年の4月に大学に入学するのが通常のパターンだが、入学を半年遅らせて9月入学が認められる大学を増やそうという提言だ。

 この目的として、まず、9月入学が一般的な海外からの帰国生徒や留学生を受け入れやすくして、世界から優秀な人材を集める土台作りをしようということがある。そしてもう1点が日本版ギャップイヤーを導入して、若い人たちに多様な体験の機会を充実させようとするものだ。

 ギャップイヤーとは、大学入学資格を得た若者が、高校を卒業してから大学に入学するまでの間にアルバイトをしたり、ボランティア活動をしたり、旅行をしたりして社会的な見聞を広めるための猶予期間(通常は1学年分)が与えられるイギリスの習慣。

 このギャップイヤーを「日本版ギャップイヤー」として日本の大学にも導入しようというのが教育再生会議の提言。
 教育再生会議の二次報告資料(PDF)によると、日本版ギャップイヤーを下記のように説明している。

3月末までに入学を決定した学生に、9月からの入学を認め、その間、ボランティア活動など多様な体験活動を行う猶予期間を与えるもの。また、4月に入学した学生に、9月までの間、多様な体験活動を認め、このような活動を評価して一定の単位を認める仕組み。

 9日の朝日新聞の記事でも紹介されているように、ギャップイヤーをもっと多くの日本の若者に認知してもらうための試みも始まっているようだ。

 イギリスではギャップイヤーを経験した学生の退学率が、経験していない学生に比べて格段に低いという。グローバルな視点だけでなく、さまざまな社会経験から目的意識が培われることが一因のようだ。日本でも大学全入時代を控え、学生の質の維持が大命題ともいえる現在、学生の勉強への目的意識を高めることの重要性に異を唱える人は少ないだろう。

 しかし、日本版ギャップイヤーはイギリスのものと比べて想定している期間が短い上、日本とイギリスではボランティア活動やギャップ期間に対する社会的な認識にも大きな隔たりがある。ただイギリスの習慣を真似するだけでは期待した効果を発揮することは難しい。現在の日本の制度をどこまで変え、どこまで合わせた新しい仕組みを作り上げることができるか、試行錯誤は続きそうだ。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
コメントの一覧
7件あります。
    • 1
    • 名無しさん
    • 2007/7/11 0:36:31
    ボランティアは単位として認められて、アルバイトは認められないのかな。
    アルバイトも立派な社会勉強なのに・・・。
    • 2
    • 名無しさん
    • 2007/7/11 8:39:18
    >1
    対価として給料貰ってるから、単位をあげたら2重取り。
    • 3
    • 名無しさん
    • 2007/7/11 8:50:39
    大学だけ9月入学ではなんだか馴染まない気がするのですが…。いっそ小学校から変えてみてはどうかしら。
    • 4
    • 名無しさん
    • 2007/7/11 9:05:05
    勉強内容を減らさないためには、卒業時期も変わるから、企業も変わる必要がありますよね。
    それとも3月卒業のままなのでしょうか?
    • 5
    • 名無しさん
    • 2007/7/11 10:16:53
    >日本でも大学全入時代を控え、学生の質の維持が大命題ともいえる現在、学生の勉強への目的意識を高めることの重要性に異を唱える人は少ないだろう。

    私は異論ありです。なんで大学でまで学生の勉強への目的意識を高めなくてはいけないのでしょうか。義務教育じゃあるまいし。
    卒業するのが簡単な日本の大学ではこんな小手先のことしたって勉強しない人は勉強しないでしょうし、出口を狭くする方が手っ取り早いんでは。
    • 6
    • 名無しさん
    • 2007/7/11 15:50:07
    アルバイトもボランティアも旅行も、あの長すぎる休みの間にすればいいじゃない。というか、ほとんどの学生はそうしているのでは?
    • 7
    • 名無しさん
    • 2007/7/12 17:33:53
    6が真理。
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