きょういくじん会議
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なまけることも大事? なまけものアリの意外な役割
kyoikujin
2009/12/3 掲載
働きアリの2割はサボっている―身近な生き物たちのサイエンス

 みなさんは働きアリの中に一定の割合でなまけものアリが存在することをご存知でしょうか?
 「働きアリにも関わらず、なまけもの?」とお思いになるかもしれませんが、実はこのアリ、アリのコロニー存続に欠かせない大事な役割があるのです。

なまけものの存在

 働かないということは、一見するとなにも役に立ってなさそうですが、アリだけに限らずこのなまけものはミツバチにも存在することがわかっています。
 これらの存在は発表されて以来、「コロニーに何らかの役割を果たす」ということだけが知られていましたが、その役割が何かははっきりとわかっていませんでした。

意外な役割

 しかし、先月28日に行われた日本動物行動学会での発表の中に、このなまけものアリの役割についての発表がありました。
 北海道大学の長谷川英祐准教授(進化生物学)によると、このなまけものアリは、「働きアリを働かせ過ぎない」という役割をしており、ひいてはそれがコロニーの健全な存続につながっているいるそうです。
 働きアリといえども働きっぱなしというわけではなく、休息をとります。その際に、働きアリばっかりの集団よりも働かないアリがいる集団の方が全体の「誰も仕事をしなくなる時間」が減るようです。これはコンピュータを使った模擬実験でわかりました。

なまけることも大事な仕事

 つまり勤勉な働きアリだけの方が、かえって非効率な集団になるらしいのです。
 なまけものアリの分だけ働きアリがいれば仕事もはかどるとは思いますが、なまけものがいないコロニーでは、働きアリがそれこそ働きっぱなしになってしまうのでしょうか。確かに働いてばかりだと、疲れがなかなかとれず仕事にキレがなくなってしまいますね。なまけものアリが一定数いた方が働きアリも休みやすくなり、いい仕事ができるのかもしれません。なんとなくアリの心理戦がうかがえます。

 一見すると、なにも役に立ってなさそうななまけものアリですが、実はアリのコロニーを効率よく存続させるために大事な役割を果たしていました。アリに限らず、コミュニティには様々な人がいます。意外な人がそのコミュニティを円滑に保つのに一役にかっているのかもしれません。

  • 長谷川英祐「お利口ばっかりでも,たわけばっかりでもダメだよね!〜集団の行動の最適化〜」(日本動物行動学会2004『NEWSLETTER No.43』)
    http://wwwsoc.nii.ac.jp/jes2/NL/NL43_web.pdf

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
コメントの一覧
3件あります。
    • 1
    • 名無しさん
    • 2009/12/4 17:39:21
    なるほど。そうするとニートもなんらかの役にはたっているということがいえるかも!?
    • 2
    • True Family
    • 2010/2/9 9:52:20
    はじめまして!なかなか興味深い。真面目人間の中にいると肩がこりだす私のような人間は所謂怠け者アリかもしれませぬ。会社では監査部門にいるのですが、監査ってやるほうもストレスがたまります。私は宴会部長をやっており、真面目人間達の肩こりをほぐす係です。こういうボランティアは喜ばれ楽しい仕事です。私の運営するブログでもこの記事紹介したいのですが?(http://ameblo.jp/aptf-minamichiba)
    • 3
    • 名無しさん
    • 2010/2/26 19:11:08
    閲覧ありがとうございます。
    ご紹介いただいて問題ございません。
    (きょういくじん会議編集部)
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