きょういくじん会議
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生徒の9割に「5」―絶対評価導入がもたらしたもの
kyoikujin
2008/5/9 掲載

 「うちのクラスだけ評価が厳しいのではないか?」など、保護者から評価に関してクレームを受けたことのある先生もいるのではないでしょうか。6日の産経新聞の記事によると、公立中学校の通信簿のつけ方には学校や地域間の格差があり、評価の上昇が目立っているのこと。

 このような状況が生じている背景には、今ではすっかり定着した「絶対評価」があります。これは現行の学習指導要領とともに導入され、それまでの相対評価では全体の何パーセントの生徒に「5」を与えるか枠が決まっていたのに対し、絶対評価では子ども一人一人の目標到達度や意欲、努力などを評価するため、全員に「5」をつけることも理論上、可能となりました。

 多くの子に「5」を与えることができれば、子どもも保護者も喜ぶことでしょう。しかし、同記事にもあるように、高校受験の際、問題となるようです。高校受験では相対評価の方法をとっていることがほとんどであり、試験の点数や評価が高い順に合格となります。評価する教師や学校間で差が生じてしまう絶対評価では公平性が保たれない可能性があります。いくつかの都道府県教育委員会で評価を補正する動きが出てきたのもそのためです。

 このように考えると、相対評価へ戻せばいいのではないかと考える方もいるかと思いますが、そもそもなぜ、絶対評価を導入したのでしょうか。文部科学省の資料によれば、その理由は以下の通りです。

ア.新しい学習指導要領に示された基礎的・基本的な内容の確実な習得を図る観点から学習指導要領に示した内容を確実に習得したかどうかの評価を一層徹底するため
イ.児童生徒一人一人の進歩の状況や教科の目標の実現状況を的確に把握し、学習指導の改善に生かすため
ウ.各学校段階において、児童生徒がその学校段階の目標を実現しているかどうかを評価することにより上級の学校段階の教育との円滑な接続に資するため
エ.新しい学習指導要領では、習熟の程度に応じた指導など、個に応じた指導を一層重視しており、学習集団の編成も多様となることが考えられるため
オ.少子化等により、学年、学級の児童生徒数が減少する中で、評価の客観性や信頼性を確保するため

 子どもの数が減り、また習熟度別学習など個に応じた学習指導を行なうようになったことを考えると、相対評価よりも絶対評価の方が適していると言えます。

 学期末、通信簿をつけるのに頭を悩ませる先生も多いかと思いますが、今後、新学習指導要領の実施にともない、一貫した公平性のある評価を行うための、その具体的な方法、体制づくりが求められていると言えます。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
コメントの一覧
1件あります。
    • 1
    • なるほど
    • 2008/5/10 5:46:17
    9割に5、よいではないですか。
    気をよくして、できる、と思うところでのびるかも。
    ほめることは大切なんじゃないかな。
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