ほめ言葉で子ども&クラスが成長する!菊池道場の価値語録
子どもの笑顔がみるみるあふれる! プラスに考える学級づくりの羅針盤
ほめ言葉で子ども&クラスが成長する!菊池道場の価値語録(10)
考え続ける子ども・成長し続ける子どもを育てる価値語録
菊池省三監修菊池道場広島支部
2017/3/10 掲載

一年間も、残すところあと僅かになりました。学級開きがあるように、学級閉じ(学級納め)に向けて学級全体での成長や個々の成長をまとめ、次につなげていきたい時期です。今回は、次のステップに向け、考え続ける力・成長し続ける力を育てるための価値語録です。

自問自答せよ

「なぜ?」「どうして?」「これでいいのか?」―自分自身にそう問いかけることで、様々な角度や見方から物事をとらえることができます。そうすることで、考え続けることができ、さらに深い学びへとつなげることができるでしょう。

 子どもたちはこれまで、「AかBか」「○か×か」という問いに対して自分の立場を決め、対話を通して反対の立場の友達と学び合ってきました。自分とは違う様々な考えを受け入れることで、より広く、より深い学びにつなげてきました。ある討論の授業の後、一人の子が自分なりのテーマを設定し、「賛成か反対か」それぞれの立場での理由を考え、「一人討論」を行った自学ノートを持ってきました。一つの物事に対して「こうだ」と結論付け、思考をそこで停止させるのではなく、様々な角度・見方から物事をとらえることで、考え続け、学びを深めていく―そういった力を育てていきたいものです。

イラスト

不可視の成長も大事にしよう

目に見える部分=行動ばかりが美しくても、目に見えない部分=気持ちが伴っていなければ、価値は半減してしまいます。内面の変容も大事にしていきたいものです。

 前年度まで荒れていた子でも、新たな一年のスタートによって、過去をリセットすると共によい方向に進もうと頑張ることができます。しかし、担任としては、そんな子たちの行動面での変容が見られず焦りを感じていたころ、ある子が書いた振り返りの中に「まだまだ行動は伴っていないけど、気持ちの部分では自分は去年までと大きく変わることができている。」といったことが書かれていました。自分自身の内面の成長に目を向け、肯定的にとらえていたのです。行動面ばかりが気になっていた自分自身を反省するとともに、その子の成長について知ることができ、うれしく思いました。
 可視だけにとらわれていたのではなかなか成長を感じることが難しく、前向きになれないのかもしれません。不可視の成長にも目を向けることで、前向きに成長し続けていこうとする力を育てたいですね。
 

非日常は成長のチャンス

日常の節目にある非日常での経験は、自分を大きく成長させるためのチャンスです。そんな非日常を大切に考えることで、飛躍的な成長を遂げることができるでしょう。

 一年間の学校生活の中では、様々な非日常の場面が訪れます。運動会や卒業式といった大きな学校行事を通して、子どもたちは大きく伸びていきます。一方で、ある子はその日に起こった何気ない出来事を非日常としてとらえ、その出来事に対する自分の思いや考え、今後に向けて自分はどうあるべきかについて自分自身を見つめ直していました。日常ととらえがちな何気ない出来事も非日常ととらえ、自身の成長につなげるためのチャンスとすることで、大きな成長を遂げることができるのではないでしょうか。一つ一つの出来事に感謝し、自分自身を成長させていける力を育てていきましょう。

菊池 省三きくち しょうぞう

愛媛県出身。山口大学教育学部卒業。 小学校教師として「ほめ言葉のシャワー」など現代の学校現場に即した独自の実践によりコミュニケーション力あふれる教育をめざしてきた。 教員同士の学びの場「菊池道場」を主宰し、その支部は全国40ヵ所に広がっている。「プロフェッショナル 仕事の流儀」で取り上げられたことをきっかけに全国へ講演。 「世界一受けたい授業」では、学級崩壊立て直し人として紹介される。2015年3月に小学校教師を退職。自身の教育実践をより広く伝えるため、執筆・講演を行っている。『ほめ言葉手帳』には価値語録とともに、子どもをほめる手立てが満載!

菊池道場広島支部きくちどうじょうひろしましぶ

平成26年8月発足。本部は広島市にある。在籍数21名。月に1〜2回、広島県内一円から教員や精神対話士などが集まり学習会を開いている。月刊誌『授業力&学級経営力』(明治図書)、『白熱する教室 創刊号』『価値語100ハンドブック』『1年間を見通した白熱する教室のつくり方』(以上、中村堂)などに執筆協力多数。

(構成:林)
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