スペシャリスト直伝! 高学年担任の指導の極意
「最高学年を最高のクラスにしたい!」そんな思いを実現するために必要な様々な指導の極意を伝授します。
スペシャリスト直伝! 高学年担任の指導の極意(8)
自信をもって進級・進学できるように
北海道旭川市立啓明小学校宇野 弘恵
2019/1/10 掲載
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 3学期です。進級・進学が視野に入ってくる時期です。学級をどう終わらせるかという「学級じまい」にばかり目が行きがちですが、次学年に向けて当該学年までの学力をしっかりつけるという視点も忘れてはいけません。
 自分の学力に目を向けることは、自分自身と真摯に向き合うこと。個々がそうした姿勢になることが、結果的に落ち着いた学級をつくることにつながります。

習熟で学力を伸ばす

 「習熟とは、慣れて上手になることです」(『三省堂国語辞典 第5版』見坊豪紀他編、三省堂、2004年)。
 例えば、より速く正確に計算ができるようになることや場面に応じてより適切な言葉で表現することが、これにあたります。
 そのためには、練習問題やドリルなどで繰り返し行う学習が有効です。しかも、やりっぱなしではなく、やり始めからどのくらいできるようになったか「伸び」が見えるようにすることが肝要です。
 例えば、100マス計算のような繰り返しプリント。毎日、タイムや正答数を書き込み、比較することで「伸び」が見えます。1、2学期から継続して続けているものがあれば、最初のものと比べるのもよいでしょう。やり終えたプリントをファイルなどに毎回綴り、「量」と「タイムの変容」を俯瞰できるようにすることも、達成感や向上心の喚起につながります。
 また、その学年で習得すべき漢字は漏れなく覚えさせたいものです。中学校の先生の中には「小学校教諭はどうして漢字にこだわるのか」という疑問を抱く方もいるようですが、理由は二つあると考えています。
 一つ目は、小学校で習う漢字が読めなければ、中学校での学習に支障をきたすからです。国語の学習に困るというだけではなく、他教科でも既習の漢字が用いられますので、漢字が読めなくては教科書の内容を理解することもテストの問題に答えることもできません。
 二つ目は、漢字は成果が表れやすいということです。もちろん個人差はありますが、学習方略(後述)を教えることで得点が伸びる可能性があります。それは、漢字ができるということにとどまらず、「やればできる」という自信につながり、「次も頑張ろう」「他教科でも頑張ろう」という意欲につながります。
 小学校の学習指導要領では、当該学年で習う漢字の書きは次学年までに…とありますが、できる限り当該学年で書けるよう、3学期初めから次のように学習を進めます。

【学習方略を身に付けさせる漢字テストのシステム】
@当該学年で学習したすべての漢字を1枚のプリントにまとめる。

※教科書の巻末やドリルなどを参考に、習ったすべての読みを表記する。

A3月中旬に、漢字200問テストを行うことを予告しておく。

※「9割以上の正答で合格、追試あり」ということをあらかじめ示す。

B毎時間、すべての漢字を音読する。

※初めは追い読み。すらすら読めるようになったら、全員で声をそろえて読む。

C漢字クイズ(教師が言った漢字をよーいドンで探す、隣同士で対決、など)で楽しく習熟。
D漢字5問テスト等で習熟タイム。出題範囲を次のように提示する。
・最初は10問の中から5問ずつ出題。
・最後まで終わったら、今度は20問の中から5問ずつ、次は30問の中から…と出題範囲を広めていく。
E翌日の出題問題は、前日の宿題で提示しておく。また、間違えた漢字は必ず練習させる。

 「練習―確認テスト―やり直し」というサイクルで行えば、少しずつ成果が見えるようになります。
 しかし、「テストをするから練習しておきなさい」と言っただけで、すべての子が学習に向かえるわけではありません。そもそも学習が苦手だという子は、何をどこから手をつけてよいかがわかりません。どのように練習すると効率がよいかは、個人差があります。特に漢字を苦手としている子には、覚え方、書く個数、書く頻度を一緒に確かめながら取り組みます。

発展で学力を伸ばす

 「発展とは、高い段階に進むことです」(『三省堂国語辞典 第5版』見坊豪紀他編、三省堂、2004年)。
 例えば、基本を応用して難易度の高い計算ができるようになることや、語彙数が増えること、習った漢字を使って文章表現できることなどを指します。そのために必要なのは、より高度な問題、知識を活用する問題、いわゆる応用問題です。
 わかりやすい例を示します。図の着色部分の面積は、面積の公式を活用すれば解くことができます。

図1

この問題を解くには、
・この形が長方形であること
・長方形の面積の公式
・どこが縦で横か
・重複している長さの処理
がわかり、なおかつ解き方の見通し(分割して足すか、求めてから引くか等)が必要です。こういった問題を解くことによって、より理解が深まったり数学的な考え方ができるようになったりすることが望めます。

学び直しをさせて基礎を固める

 発展や習熟に取り組む前に、子どもがどの地点にいるかの把握が必要です。土台のないところに家が建たないのと同様に、基礎がないのに、習熟、発展させようとしても無理です。ですから、どこまでわかっているか、どこでつまずいているかという現在地確認が必要なのです。
 わからないこと、できないことを積み残して進級すれば、かわいい教え子たちが次学年で苦労することになります。何としてでもこの学年で習得すべきものを習得させて進級・進学させたいものです。
 次の問題を例に挙げます。この問題で、思いつく限りの誤答を考えてみてください。

図2

 そして、なぜその誤答が生まれたかを検証します。すると、うっかりミスや勘違いというレベルから、分数の足し算や仕組み自体がわかっていなかったり、足し算の概念自体が怪しかったり…というつまずきポイントが見えてきます。どこでつまずいているかがわかれば、そこから必要な学び直しをすればよいのです。

 次に、具体的な現在地把握の方法を提示します。1つ目のポイントは、問題を一気に解かせるのではなく、数題ずつ時間を区切って行わせることです。早く終わった子には別問題(教科書の巻末などにあるものも活用できます)を準備するのをお忘れなく。
 答えはすべてノートに書かせます。できた問題は赤丸、わかっているけど間違えた問題には赤半丸、わからなかった問題には赤線○をつけておきます。
 赤丸の子はわからない子に教え、半丸の子は自力解決を目指します(色を変えた体育帽子をかぶることで理解度の目印としました)。他者から学ぶ、他者に貢献するという協同性が育まれるという意味でも、最も大事にしたい過程です。
 2度目に行う時は赤丸(正答した問題)を飛ばし、結果を同様に記します。このように繰り返すことで、できなかった問題を学び直すことができるのです。

図3

今月のまとめ

  • 学力をつけて、自信をもって進級・進学させる。
  • 学習方略を教えながら、自主学習ができるよう力を高める。
  • 他者から学ぶ、他者に貢献する経験を積ませることで、協同性を高める。

宇野 弘恵うの ひろえ

1969年、北海道生まれ。旭川市内小学校教諭。2002年より教育研修サークル・北の教育文化フェスティバル会員となり、思想信条にとらわれず、今日的課題や現場に必要なこと、教師人生を豊かにすることを学んできた。現在、理事を務める。

(構成:茅野)

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