たいち先生直伝!新任教師のためのインプット&アウトプット術
教育系YouTuber「たいち先生」こと深見太一先生が、教師の成長に不可欠なインプット&アウトプットの秘訣を伝授!学びの効率をグンと上げるアイデアを紹介します。
新任教師のためのインプット&アウトプット術(2)
教師のための「アウトプット術」の基礎・基本
LCA学園グループ 瀬戸SOLAN小学校深見 太一
2020/7/5 掲載
  • インプット&アウトプット術
  • 教師力・仕事術

 前回は「インプット」について基本となる話を書かせていただきました。今回はインプットと対になる「アウトプット」についての話です。
 みなさんは、「アウトプット」と聞くとどんなイメージをもちますか? 簡単に言うと、頭の中にあるものを外に出すこと。そのアイテムとして、ノートなどの昔からあるものや、ブログやYouTubeといったネット環境を利用したものがあるでしょう。今回は、そんな「アウトプット」の基礎・基本について解説します。

まずはアウトプットの練習をしよう

 では最初に、アウトプットの練習をしてみましょう。

 教室の中での子どもとの関係づくりについて、日頃から考えていること、有効だと思える方法を(1)と(2)の文字数で書きましょう
(1)140字
(2)2000字

 140字とはTwitterの文字数であり、2000字はこの連載の大体の文字数になります。当然ですが、(1)と(2)では書ける内容も変わってきますし、情報の濃さも違います。
 (1)の場合はごく一般的なことを述べるのみになりますが、(2)の場合は自分の経験談や想いなどもそこに盛り込めることでしょう。
 まずは何度もアウトプットする機会を設けることで、自分のアウトプット力を向上させていきましょう。

なんのためにアウトプットをするのか

 それは、頭の中を整理するためです。具体的にいうと情報の棚卸しをするのです。
 以前、おもちゃを扱う倉庫で働いていたことがあったのですが、半年に一度棚卸しという作業がありました。倉庫内にあるものを全て洗い出し、どの商品がどのくらい倉庫にあるのかを帳簿と照らし合わせるのです。はっきり言ってかなりめんどくさい作業でしたが、棚卸しをしないと商品が行方不明になったりするそうです。なにが言いたいかというと、アウトプットも同じ仕組みであるということです。
 せっかく本や講座、ネットなどで仕入れた情報も、入れっぱなしにしておくと、どこかにいってしまい使えなくなるということです。それを防ぐためにアウトプットをするのです。
 頭の中に入れた記憶を外だしすることで、知識から知恵に変わる。つまり、人のものから自分が使えるものに転換するのです。

どうアウトプットするのがよいのか

 アウトプットというと身構えてしまう人が多いかもしれませんが、まずは人に話すところから始めると気軽に始められるかもしれません。
 昨日見たTVや読んだ本について、仲の良い人に伝えてみてください。その時に意識するのは、「短くわかりやすく」です。だらだらと話していては興味を惹きつけることはできません。
 TVを見る時にも、この番組の何を伝えようか、どう伝えようかと意識しながら見てみるとキャッチできる情報も変わってきます。できれば数人に、伝え方を変えて話してみてください。その時に、事実に加えて感想や、自分の意見も加えて話すとより伝わりやすいでしょう。試行錯誤をしながら、何度も繰り返すことで徐々にスキルアップしていくことでしょう。
 次に、「書く」アウトプットについてです。PCを使うより、ペンを使ったほうが記憶に残りやすいことがブリストン大学、カリフォルニア大学ロサンゼルス校が行った実験からわかっています。ではどう書くのが良いのでしょう。今は色々なノートの使い方の本が出ています。自分なりの方法を見つけて見るのも面白いですが、私がオススメするのはマインドマップです。
 中心にメインテーマを書き、4方向にそれぞれの話題別に枝を伸ばしていきます。下の図は、アウトプットというテーマでマインドマップを書いた図になります。

図1

 マインドマップの良いところは、

  1. 右脳に直接働く記述法である。
  2. イラストも併用するので、記憶に残りやすい。
  3. 色わけするので、後からみた時にわかりやすい。

という3点です。私の場合、今まで色々な講座に出てノートをとっていても、帰ってから見直すことはほとんどありませんでした。マインドマップで書くようになってからは、後から見直し、振り返りをする機会が増えました。そして、それをブログにまとめたりYouTubeで発信するなど、一度の講座に出ることで、2度3度学び直すことがよくあります。つまり、学びを自分のものとするために、何度も味わい尽くすことができるのです。ぜひマインドマップを使って、メモを取ってみてください。ノートをとる概念が変わることでしょう。

応用編 Twitterアウトプット術

 日頃の気づきや学びをTwitterを使って発信をするという方法です。自分も昔は、Twitterに対して良いイメージをもっていませんでしたが、ここ1年で本格的に運用をはじめました。本気で向き合うと、いい情報を発信している先生たちに出会いました。「全部やろうはバカやろう」のさるさん(@saruesteacher)や『けテぶれ!「宿題革命」』の葛原祥太先生(@barikii)、他にもやまだしょうさん(@ymdshoo)やあおさん(@aosenn)など、読んでいて非常にためになる発信を続けている先生がたくさんいます。
 自分も学級経営の話を中心に、13年間公立の小学校でやってきたことを呟きはじめました。おもしろいもので、いい発信を続けているといいねがたくさんついたり、フォロワーの数も増えていきます。
 いいねをもらうために発信をする訳ではありませんが、学んだことを140字で発信をしてみる。そこに感情を加えたり、情景描写を加えたりしてみる。そうすることで、どういう発信が人の心を捉えたり、いいねがつきやすいかを研究することができます。本名で発信することに抵抗がある人は、匿名アカウントを作って、まずは初めてみると、新たな気づきが生まれるかもしれません。せっかくあるSNSを自分のアウトプットに有効活用してみるのをおすすめします。

今月のポイント

  • アウトプット力を向上させるためには、アウトプットを繰り返すこと
  • アウトプットは脳の中の棚卸し
  • マインドマップに挑戦してみよう

〈参考文献〉トニー・ブザン/バリー・ブザン著、近田美季子訳『新版 ザ・マインドマップ(R) 脳の無限の可能性を引き出す技術』ダイヤモンド社、2013年

深見太一ふかみたいち

LCA学園グループ瀬戸SOLAN小学校所属。
愛知県の公立小学校教員を13年経験した後、現職となる。クラス会議を世の中に広め、日本を幸せ大国に・日本の自殺をゼロにするというミッションを掲げて活動中。著書に『対話でみんながまとまる!たいち先生のクラス会議』がある。
教育系YouTuber「たいち先生」としても活動、チャンネル登録は1300人を超える。Twi tterでも教育関連のツイートを発信、フォロワーは7000人を超える。
著書に、『対話でみんながまとまる!たいち先生のクラス会議』(学陽書房)、『教職1年目の働き方大全』(明治図書、共著)など。
●YouTube たいち先生「日本中の先生を勇気づけたい」
https://youtu.be/X7Z_iYNh4qs
●ブログたいち先生の学級経営
https://fcrown.fun/

(構成:大江)
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