たいち先生直伝!新任教師のためのインプット&アウトプット術
教育系YouTuber「たいち先生」こと深見太一先生が、教師の成長に不可欠なインプット&アウトプットの秘訣を伝授!学びの効率をグンと上げるアイデアを紹介します。
新任教師のためのインプット&アウトプット術(1)
教師のための「インプット術」の基礎・基本
LCA学園グループ 瀬戸SOLAN小学校深見 太一
2020/6/5 掲載
  • 最近インプットした学びの中で、心に残ったものベスト3を書き出してみてください。
  • それがなぜ心に残ったのかの理由を書いてください。

 どうですか? スラスラと書けましたか? スラスラと書けたあなたは、インプットが成功していると言えるでしょう。反対に、「あれ、最近何してたっけ?」となる方はインプットの質に問題があると言えるかもしれません。

インプットの目標を明確にする

 人はなぜインプットをするのか。知識を増やすため、学びを深めるため、物事を理解するためなど、いろいろな理由があるでしょう。先生という仕事でいうと、「学級経営に悩んでいるから」「イマイチ授業が盛り上がらないから」「子どもとの関係が紡げないから」など、困りごとが根本にあるかもしれません。
 では、インプットする時に、その目標をどれくらい明確にしているでしょうか? 例えば1冊の本を読む際、「読み終えた時に何を得ていたいか」を明確にしてみましょう。やり方としては、付箋に何を目標としてこの1冊を読むかを書いておき、読み終わった後に、目標に対する答えを書いてみる。それだけで、1冊の本を読む生産性が向上するでしょう。

 下の図を5秒見てからさらに下の問題に答えてください。

図1

(1)星はいくつありましたか?
(2)三角のあった場所を正確に答えてください。

 きっと何もせずに図を見ていると、答えられないと思います。しかし最初から星の数を数えようとか、三角の場所を覚えようという目標があれば、同じ5秒でもかなりの人が覚えることができたとことでしょう。
 講座や研修に出る際にも、「この講座が終わった時にここだけはマスターして帰ろう」とか、「今日はこの部分を明確に説明できるようにしよう」などの目標を立てることで、学びの吸収率が大きく変わってきます。そして、話を聞く際にポイントが明確になっているので「あ、この部分が知りたかった」と、脳の矢印を向けることができます。

インプットとアウトプットの黄金比率

 コロンビア大学の心理学者アーサー・ゲイツ博士のある実験によると、100人以上の子どもに人物を覚えてもらう時、インプット(覚える時間)とアウトプット(練習時間)の割合を変えたところ、最も高い割合は、インプット3割、アウトプット7割でした。つまり、アウトプット前提で学ぶとより良いインプットができることが証明されているということです。
 私は、クラス会議の講座を、昨年だけで10ヶ所以上の場所で計300人の方に実施させていただきました。その中で特徴的なA先生の事例をご紹介します。

 クラス会議の講座を2時間受けていただき、終わりに講座のわかりにくかった点、クラスで実践する時に注意点などを質問してくださいました。その日のうちに、ブログで講座についてまとめをして、フィードバックを送ってくださいました。そのブログが、参加していない人でも、「クラス会議ってこんな良さがあるのだな」とわかる内容になっていました。
 まさにインプット即アウトプットを実践されていたのです。アウトプットをすることを前提でインプットしているので、自分の中で噛み砕き、人に伝わるように解釈されていました。講師をしていたはずの自分も、こんなインプットをしたいなと思う内容でした。
 では、A先生はなぜこんなインプットができるのでしょうか?
 それは、普段のインプットの仕方が、アウトプット前提になっているからです。例えばTVを見たり、本を読んだりしていても、「人に伝えるために」という視点で見ているので、理解が深く、脳にも残りやすいのです。「TVぐらいボーッと見たいよ!」って方もいるかもしれませんが、「この番組は、自分で整理しながら見よう」と思いながら見るだけで、3ヶ月後のインプットの質が大きく変わってくるでしょう。

子どもの情報をインプットする

 『学び効率が最大化するインプット大全』(サンクチュアリ出版)の著者であり、精神科医の樺沢紫苑先生は、15秒で、受診した患者さんの

  • 姿勢、歩き方
  • 視線、目を合わせるか(対人恐怖、不安)
  • 目に力はあるか(意思、意欲、エネルギー)
  • 身だしなみ、髪型(寝ぐせ)
  • 服装。シワシワ(社会性)
  • 栄養状態(肌のつや、顔色)
  • 体格、体型
  • 感情(憤り、無気力、焦燥感、不安)
  • 表情(かたさ、表情筋の動き、笑顔)
  • 動作(遅い、速い、落ち着き、力強さ)
  • エネルギーがあるか、ないか
  • 家族との関係性

を診るそうです。学校の先生である私たちは、15秒という短い時間ではなく、1日を使ってゆっくり順番に一人一人を見ることができます。年度初め、「黄金の3日間」は子どもの情報をインプットするチャンスです。それ以外にも、前担任からの引き継ぎ情報や、家庭訪問などで家庭環境を見ることもできます。目にエネルギーのないA子ちゃんはなぜだろうと仮説を立て、家庭訪問で答え合わせをする。その学校に長くいる先生に尋ねてみる。などしていくと、その子に対する関わり方が変わってくるかもしれません。

今月のポイント

  • インプットの目標を明確にしよう
  • インプットとアウトプットの黄金比率は3対7
  • 黄金の3日間で、子どもの情報をインプットしよう

〈参考文献〉

※樺沢紫苑『学び効率が最大化するインプット大全』(サンクチュアリ出版、2019年)

※インプットの問題イラストは、大嶋啓介氏の講演会で教えていただいたものをもとにしています。

深見 太一ふかみ たいち

LCA学園グループ 瀬戸SOLAN小学校所属。
愛知県の公立小学校教員を13年経験した後、現職となる。クラス会議を世の中に広め、日本を幸せ大国に・日本の自殺をゼロにするというミッションを掲げて活動中。著書に『対話でみんながまとまる!たいち先生のクラス会議』がある。
教育系YouTuber「たいち先生」としても活動、チャンネル登録は1300人を超える。Twitterでも教育関連のツイートを発信、フォロワーは7000人を超える。 
著書に、『対話でみんながまとまる!たいち先生のクラス会議』(学陽書房)、『教職1年目の働き方大全』(明治図書、共著)など。

●YouTube たいち先生「日本中の先生を勇気づけたい」
https://youtu.be/X7Z_iYNh4qs
●ブログ たいち先生の学級経営
https://fcrown.fun/

(構成:大江)
コメントを投稿する

※コメント内ではHTMLのタグ等は使用できません。