学校を元気にするチームリーダーの仕事術
現役スーパー校長が伝授する、チームリーダーの仕事術。教職員のパフォーマンス、チーム力を向上させるのはあなただ!
学校を元気にするチームリーダーの仕事術(3)
生活も仕事も自然に体が動くのが一番!?
愛知県小牧市立小牧中学校長玉置 崇
2014/8/25 掲載
  • チームリーダーの仕事術
  • 学校経営

1 業務をルーティン化することの意義 

 朝起きてから出勤までの流れを頻繁に変える人はいない。だれもが毎日同じルーティンで、身支度、洗面、朝食などをこなしているはずだ。自然に体が動いているという方が多いだろう。人は本来、安定を求めるものであって、イレギュラーな日々を求めてはいないのだ。
 仕事に関しても同様だ。一定の流れで業務を進めていると、何かイレギュラーなことがあったときにすぐ気付くことができる。この点からも、リーダーは業務のルーティン化に心を配りたい。
 では、何を、どのようにルーティン化すればよいのだろうか。

2 ベテラン教師のルーティンワークを共有する

 学級業務については、ベテラン教師の動きを全体で共有するという方法がある。学年部会などで、ベテラン教師に「朝、学校に来てからどうしているか」というテーマで語ってもらったらどうだろうか。ベテラン教師にはありのままを話してもらえばよい。学年主任は聴き手になって、発言内容のポイントを板書しながら整理する。いわゆる、業務の見える化によって、全体でルーティンを共有するのだ。
 このときに大切にしたいのが、その動きの理由を聞き出すことだ。
 例えば、あるベテラン教師は、生徒のげた箱を毎朝見ることをルーティンにしている。ただ、ベテラン教師にとっては当たり前のことなので、いちいちその理由などは伝えないことが多い。しかし、「げた箱を見てね、それから教室に出向き、生徒の様子を見るのよ」といった程度の伝え方では、特に若い教師にはなぜそのような動きをするのかまではわからない。そこで聴き手は、

 「なぜ、げた箱を見るのでしょうか?」

などとたずねたい。他の教師に投げかけてもよいだろう。

例

3 業務のルーティン化にICTを利用する

 教務主任の業務であれば、毎月必ず処理しなければならないことを、箇条書きにしてチェック欄を設け、1枚のシートにまとめておき、毎月セルフチェックするとよい。
 とはいえ、セルフチェックをしていても忘れてしまうことがある。
 私が教頭だったときに、毎月、PTAとともに教員数人で登校指導する日があり、前日にそのことを教員に伝えるのが1つの業務であった。しかし、これをうっかり忘れてしまうことが何度もあった。気付いたときには前日の夜で、慌てて教員宅へ電話を入れたこともあった。
 そんなある時、ICTを利用するとよいことに気付いた。この学校では教職員用の校務支援システムが導入されており、その機能の1つに掲示板があったのだ。この掲示板に、登校指導をする前日になったら、「明日はPTAと共同して行う朝の登校指導日です。〇先生、□先生、どうぞよろしくお願いします」と表示されるように入力しておくことにした。自分が忘れていても掲示板には表示される。それを見て、あらためて担当教師に直接声をかけるようにしていた。
 このように、業務のルーティン化にICTを利用できることは多い。身近な例では、スマホのアプリで「To Doリスト」を入力しておくことができる。
 工夫次第で、ルーティンは確実に身に付けることができるのだ。

今回のPoint!

ベテラン教師の動きから学んだり、ICTを利用したりすることで、業務のルーティン化をはかる。

玉置 崇たまおき たかし

1956年生まれ。愛知教育大学数学科卒業。
公立小中学校教諭,愛知教育大学附属名古屋中学校教官、教頭、校長、愛知県教育委員会指導主事、教育事務所長等を経て、現在、小牧市立小牧中学校長。
ICTを活用した数学授業や学校経営において実績があり、文部科学省発行の「教育の情報化に関する手引」を執筆。また文部科学省「学校教育の情報化に関する懇談会」委員、「中央教育審議会」専門委員歴任。
主な著者に、『スペシャリスト直伝!中学校数学科授業成功の極意』(明治図書)、『中学校学級担任必携 生徒指導要録作成の手引き&総合所見の文例1080』(明治図書)『玉置流・学校が元気になるICT活用術』(プラネクサス)ほか。

(構成:矢口)
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