子どもの心と体のホンネに向き合う スーパー養護教諭の仕事術
保健室で生まれる「子どもの心と体」に関するお悩みを、スーパー養護教諭が一気に解決! 毎月の具体的な事例に基づいて、すぐに役立つ対応のアドバイスを伝授します。
スーパー養護教諭の仕事術(9)
インフルエンザ流行期に頭痛を訴える子どもへの対応
静岡県沼津市立大岡小学校養護教諭中村 富美子
2020/2/15 掲載

今月の相談

 2月のある月曜日の4時間目、小学校2年生のミチコさんが保健室にやってきました。少し頭が痛いと言います。熱は36度でした。教室に電話し、担任に確認すると、保健室へ行く前は普段と変わりなく、休み時間も元気に外で遊んでいたそうです。私は1時間休養させましたが、頭痛は続いています。ミチコさんにどうしたいか聞くと、勉強は続けられると言いました。担任に報告すると、熱がないなら教室へ戻して、と言うので教室へ戻しました。学校はインフルエンザの流行がみられ、ミチコさんのクラスはインフルエンザによる欠席が3名います。私の対応はこれでよかったのでしょうか。

スーパー養護教諭のアドバイス

1インフルエンザをまず疑おう

 本人も勉強を続けられると言っている。担任の先生に報告し、熱がないなら教室へ戻してと言われたから教室へ戻した。これが今回のあなたの判断と行動です。あなたは、自分の対応がこれでよかったのかと不安を覚えた。それは、きっと、こう考えたからでしょう。「インフルエンザかもしれない」、そうです! その「〜かもしれない」を掘り下げましょう。私ならインフルエンザを疑います。最悪の事態(ここではインフルエンザの感染拡大)を防止するのが私たちの仕事です。担任の先生が言ったから、そうした、というだけであれば、誰でもできますからね。

2複眼的に判断しよう

 インフルエンザの流行期でなければ、今回のミチコさんの状態は、1時間休養、回復、教室へ戻す、これは通常対応だと思います。
 しかし、今回は、通常の状況ではありません。全国的な状況として、インフルエンザの流行期である。なおかつ、あなたは自分の学校で、インフルエンザの流行が見られると認識している。さらに、ミチコさんのクラスはインフルエンザの欠席者が3名いる。ミチコさんは頭痛があり、発熱なし、元気もある。しかし、流行期であれば、今、ミチコさんに熱がないことは、「インフルエンザではない」という決定打にはなりません。頭痛もインフルエンザの症状の一つです。流行期(学校の状況)+頭痛(本人の症状)という複眼的な判断をすると、インフルエンザの可能性は高まります。

3想定される対応を提案しておこう

 私は、職員会議で、インフルエンザ流行期の感染拡大防止策として、2つのことを提案しています。1つめは、なんらかの症状がある子どもは積極的に早退させること。つまり、保健室に行きたいと申し出た時点で症状がある=早退(症状がなければ保健室に行きたいとは言わないですよね)。2つめは、担任は、子どもの様子がいつもと違うなと気がついたら、すぐに保健室に行かせること。流行期には「疑わしきは早退」が合言葉です。インフルエンザの潜伏期間は1〜4日と言われており、子供の症状は急に悪化することもありますし、症状がそれほどでもないこともあります。月曜日は元気だったのに(保健室にも来ず)、火曜日はインフルエンザで欠席ということも経験することですよね。

今月のまとめ

 担任は自分のクラスのこと、子ども本人は自分のことしか眼中にないのは当然でしょう。養護教諭は個人・集団に働きかけることのできる保健専門職です。「インフルエンザが流行っているので、熱がなくても今日は早退させます」、そう言われた担任は、「さすが、養護教諭!」と思うこと間違いなしです。

中村 富美子なかむら ふみこ

静岡県沼津市立大岡小学校養護教諭。
養護教諭の仕事の指標化とスキルアップを目指して、スキルラダー研究会(SLIPER)を主宰している。
修士(カウンセリング)、博士(看護学)。

(構成:小松)
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