板書王のとっておき算数授業
これまで数々の授業・板書記録を残し続けてきた板書王が教える、子どもたちが授業に食いつく、とっておきの板書・授業ポイントが満載!
板書王のとっておき算数授業(1)
教具は磁石!数の世界(位)を広げよう!
4年「大きい数」(1/7時間)
新潟県新潟市立浜浦小学校二瓶 亮
2020/6/15 掲載

本時のねらい

 「万万」という位の表現に違和感をもち、「一十百千」というまとまりに着目して、次の位の必要性を感じることができる。

板書

図1

板書のとっておきポイント

  • 授業を3つの段階に分けてイメージし、板書の構成も大きく3つに分けるよう意識した。
    1. 3個の磁石から自由に数を表現させる場面
    2. 区切り線によって位を広げていく場面
    3. 新しい学習内容(億の位)に触れる場面
  • 子どもの言った言葉(大切だと考える言葉や素朴な疑問など)を吹き出し等で位置付けていく。

授業の流れ

1黒板に貼った磁石から数を表現させる(10分)

図2

(黒板に磁石を3個貼り)みんななら、これをどんな数で表す?

(全員が)3!

では、3以外の数を表せるかな?

30!

今、『30』という声が聞こえたけど、その気持ちが分かる?

磁石1個を10と見たんだと思う。

 「だったら…」と300や0.3、0.6と、30と同様に考え、「(磁石)1個分を□と見る」という見方をさせることができた。
 「それならいくつでもできそう。」との声に、「1は無理だよ。」という反応が返ってきた。小数で考えていた子どもたちは3個分で1になる数が見つけられずにいた。ある子が「分数ならいけるよ!1/3だ。1を3等分した1つ分だもん。」と気付いた。実際、このやりとりは、本時の学習とは直接的には関係ないが、算数で大切にしたい考え方の一つでもあるため、子どもとのやりとりに付き合い、考えを広げていった。

2区切り線により、新しい世界(位)を広げていく(10分)

図3

 先ほどと同様に3個の磁石を黒板に貼り、1本の線を引く。

今度はいくつに見える?

21!

21と言った人の気持ち分かる?隣の人と話してみよう。

2個の磁石がある方を十の位と見て、1個の方を一の位と見たんだと思う。

それなら、2.1と見ることもできるよ。

分かった。2個の方を一の位、1個の方を小数第一位と見たんだ。

 同様にして、空位のある120についても扱い、位を少しずつ広げていった。最初に行った「(磁石)1個分を□と見る」という見方が「線で区切られた1つの部屋を□の位と見る」という見方をすることに、子どもたちの中で柔軟に生かされている。

3子どもが考えた問題を使って世界(位)を広げる(10分)

図4

 ここからは、子どもに操作を委ねることにした。そろそろ、自分たちでもやってみたいと思ってくるころである。「8個の磁石を用いて、問題を出すとしたら、どのように磁石を置くか?」をノートに表現させた。そして、その中からある程度意図的に指名し、黒板の前で出題させた。なお、少しずつ位を大きくしていけるよう、段階を踏んでいくことにした。
※位を大きくする方に限定をかけるため、一番右に置いた磁石(もしくは部屋)を一の位と見るように指示した。

(一人目が黒板の前に出て、磁石を貼る。)いくつでしょう?

線を描いて!

どうして線を描いて欲しいと言ったの?

だって線がないと位がはっきりしないから。位を分かりやすくするため。

位をはっきり分かりやすくさせるためには、線を引くことが大切なんだね。

 子どもの何気ないつぶやきの中に単元(本時)で身に付けさせたい大切な見方・考え方を引き出すためのチャンスが隠れている。あらかじめ身に付けさせたい見方・考え方を想定しておき、問い返したり、揺さぶったりすることでそれを引き出すことができる。今回は、なぜ?といった理由を問うことで引き出した(「位を指で数え始めた」という場面も同様)。

4億の位まで世界を広げる(15分)

図5

 いよいよ新しい位へと世界を広げていく(本当ならもう少し丁寧に段階を踏む方が良いのだろうが、時間が足りなくなってきたため、少しジャンプするが「億」の位へと進む)。1つの位に1個ずつ磁石を配置していた子を指名し、前に出させた(ここで指名するのは、位を一番多く広げていた子にすると良い)。磁石を貼り終わったところで、こっそりと区切り線を1本足す。

指で数え始めたのは、位が多くて大変だからということだね。それでは、全員で一緒に数えてみよう。せーの。

一、十、百、………、千万、万万

一、十、百、………、千万、一億…えっ!?

あれ?今2種類の声が聞こえてきたね。先生は「万万」かと思ったんだけど…。

違うよ。一億だよ。万万っておかしいでしょ。

万万と考えた人の気持ちは分かるかな?隣の人と説明したら座りましょう。

千万の次だから万万って言ったんだと思う。

一万が10000個あるから万万って考えたんだね。

気持ちは分かるけど、やっぱりおかしいよ。一、十、百、千の4つで1つの部屋だから万も千万で終わり。

 このようなやりとりの中で、新しい位「億」を導入した。万万という誤った考えが出ない場合は、教師がとぼけながら提示してもよい。誤答には子どもの発言意欲を倍増させる魅力があり、そこには大切な見方・考え方が潜んでいる。最後の5分間で本時のふりかえりを記述させ、授業を終了した。

授業のとっておきポイント

 磁石を用いたことの良さは、手軽さの他にもある。
 一つは、位取りをする必要性を子どもが感じやすく、自然と位取りをし始めることである。本時でも「線を引いてほしい」という声が生まれ、位取り表への接続がスムーズになった。
 二つ目に、シンプルゆえに分かりやすく、視覚的に大きさを感じ取ることができるという点である。子ども自身に操作を委ねることもできる。「次は自分がやりたい!」という意欲を掻き立てることができた上に、休み時間等に自分たちでクイズを出し合う子どもたちの姿や自主学習で自分なりに数値を設定して学習してくる姿も見られた。

【参考文献】
『参観授業で使いたい!算数教材30』細水保宏 編著(東洋館出版社)

二瓶 亮にへい りょう

1989年新潟県生まれ。新潟市立浜浦小学校教諭。教員9年目。
子どもの思考に寄り添うことを大切にした算数授業を目指して日々研鑽中。
「フォレスタネット」(授業準備のための指導案・実践例共有サイト)に、板書写真を中心に、実践を多数投稿。「フォレスタグランプリ」の2018年11月大会にて「板書王」、2019年2月大会にて「ベストナイン(算数)」、2019年7月大会にて「月間MVP」を受賞。
共著に「フォレスタネットSelection Vol.3・Vol.4・Vol.5」((株)スプリックス)がある。

(構成:中野)
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