教育オピニオン
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学校をBeYond!
東京都公立小学校主任教諭二川 佳祐
2022/5/1 掲載

1 「BeYondLabo」の活動


 教師になってすぐの頃から、外に出て学ぶということが大好きでした。思い返せば教育実習時代に出会った、大熊雅士先生(現 小金井市教育長)、沼田晶弘先生(現 東京学芸大学附属世田谷小学校)に色々なところに連れていってもらったことが原体験としてあります。本当に可愛がってもらいました。
 それ以外にも、高校の同級生の青砥瑞人くん(脳神経科学者/DAncing Einstein代表)と10年ぶりに再会し、1年以上伴走してもらい、学びの楽しさを体の髄まで味わわせてもらったことも大きかったです。
 最先端の教育技法や、教育への知見を知れば知るほど興奮しましたしワクワクしました。ただ、学んでいて、どこか地に足のつかない学びになっていることが気になっていました。
 
 そんなときに、ふと「地域」の保育園勤務の中西信介さんと出会いました。「地域」であるからお互いの情報交換がとてもライトにできました。朝6時から互いの近所のマクドナルドで1時間ほど対話することができましたし、互いの職場も目と鼻の先でした。「地域」にも面白い人はいるし、学びや対話を通して繋がっていくことで、自分も地域もよくなっていくんじゃないかということを仮説として、「BeYond Labo」を立ち上げました。コミュニティというよりも「よくある勉強会を立ち上げた」という感覚に近かったです。ただ普通の勉強会と違っていたのは「先生」という仕事に限定しているわけじゃなくて、「地域」で繋がっていたことです。

 
2 教師の広い学びをつくる


 BeYond Laboの「BeYond」は「越える」という意味です。僕らは普段過ごしていると、仕事場と家の行ったり来たりで、なかなか日常が変わることはありません。毎日を一生懸命生きることはもちろん尊いですが、それだけではなりたい自分になることや、成長していくことはなかなか難しいなと思ったんです。だからそういう日常にちょっとだけスパイスを加える意味で、複数の仕事をしている人、育休を取っているお父さん、自分で事業を起こした人、いわゆるサラリーマンという仕事ではない人など僕らの日常を「越えている」人を呼んでお話を聞くことをしていきました。
 毎月1回イベントをしてきました。テーマは様々で、僕と中西がその時に興味をもったテーマにしました。「まずは僕らが楽しむ」という意味でも「自己中」であることを大切にして会を作っていきました。生き方や考え方を学ぶこともあれば、お金や政治、吉祥寺の面白いところ、教育の映画会など実に多岐にわたって様々なイベントを行ってきました。吉祥寺や武蔵野市の商業施設やお店などに場所を借りて行うことで、WIN-WINになるような設計をしてきたこともあります。コロナになってからはオンラインイベントを中心に行っています。コロナ禍で、大好きな吉祥寺も医療現場も救えないかと思い、「学びで吉祥寺も医療も支援しよう」というチャリティーを行い、数回のイベントで12万円ほど集め、吉祥寺のお店でご飯を注文し、それを医療現場に届けるという活動をしたりもしました。
 施設を借りてのイベントなどをすぐに行うことは難しいかもしれませんが、カフェで数名でまずは話を聞くという方法もあります。貸し会議室などは安価で手軽に借りることができます。十数万円で医療現場への支援ができなくても、一個人で自分がいいと思ったことを行動に移して、それを発信するだけでも仕事場と家の往復ではできなかった発見があります。僕は地球環境のことは初心者ですが、まずは地球のことを考えて生産をしているpatagoniaの洋服を買って学校で着ています。電力会社を地球に優しい再エネルギー発電の「ハチドリ電力」に変えました。ペットボトルを買うのをやめて、毎日水筒を持参しています。そういう小さな行動、小さな一歩がスタートです。
 現在は、毎週日曜日の早朝6時にオンラインで集まり、習慣化したいこと・挑戦したいことを宣言し合うコミュニティーを運営しています。マイチャレンジサロンといい、Facebookグループには160名以上の方が在籍しています。日曜日のオンラインでは毎週50名程度集まります。

 
3 そこにかける思い


 会やコミュニティを通して伝えていることがあります。
 それは
「人間は急には変わらない。けれど、絶対に変わることができる。勝手に変わることはないけれど、変えようとしていけば変わる」
ということです。僕自身、上記した青砥くんに伴走してもらった1年でこうも人間は変わるのか! とびっくりしたのですが、それをみんなにも味わって欲しいんです。どうせ変わらない、無駄だ、もう遅いと思っている人が多いと思いますが、そんなことはなくて人間はいつからでも変われます。それに誰だって変われます。僕は学級が上手くいかなくて、どん底にいた時に青砥くんから学びの楽しさを教えてもらい、変わっていきました。だからあなたにだって、いつからだって、どんな状況からだって変わっていけます。(ただし時間をかけて変わっていかなくてはいけません。急に変わったものは急に戻ります。)
 一番強いのは「習慣」だと思っています。学ぶ習慣、面白い人に会う習慣、自分の好きなことをする習慣、健康を保つ習慣、どれもついつい忘れてしまうことがありますが、習慣を変えていくことが豊かに生きていくことであります。そして教室にいる私たちは子供たちに習慣を「プレゼント」できる貴重な存在だと思います。
 その大切さがわかるのが、「僕たちは習慣でできている」(佐々木典士著 ワニブックス)です。習慣のこと、感情面的なこと、脳神経のことが平易な文章で、詳しく書いてあります。とてもいい本です。教育書ではないこんな本も是非手に取ってみてください。
 ちなみに佐々木さんの著書でもっと有名なのが「僕たちにもうモノは必要ない」(ワニブックス)です。こちらもお勧めです。是非手に取ってみてください。

 僕自身、udemyというサイトで、習慣化の発売もしています。もしご興味がありましたら覗いてみてください。
https://www.udemy.com/course/shukanka/?referralCode=523CFD4FE3595E052B65
 

二川 佳祐ふたかわ けいすけ

東京都公立小学校主任教諭。東京学芸大学卒業。教壇に上がる傍ら、「教育と社会の垣根をなくす」「今までの自分を超える」をビジョンとするコミュニティー「BeYondLabo」、Googleを学ぶ教員グループ「GEG Nerima」を運営。2021年9月『いちばんやさしい Google for Educationの教本』(インプレス)を出版。2児の父親。

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