教育オピニオン
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ICT支援員と一緒につくるGIGAスクール
長野県喬木村教育委員会 教育CIO補佐・ICT支援員長坂 亮介
2021/7/1 掲載

 本村(長野県 喬木村)は、村内に3校の公立学校(小学校2校、中学校1校)があります。2015年の文科省実証事業の参加を契機に学校ICT環境の整備に着手しました。同年に3人のICT支援員を配置し、ハード面の整備だけでなく、運用面の人的サポート環境の整備にも力を注いできました。いつでも使いたいときに使えるICT環境と、人的サポート体制を整えることで、先生方は「機器の活用は得意ではないけど、安心して授業に使おうと思える」とICTの扱いの得手不得手によらず、積極的に活用にチャレンジしてくれています。
 多くの学校では、児童生徒一人一台の端末と学校の超高速ネットワークを整備するGIGAスクール構想により、いよいよ実際の活用が始まっています。GIGAスクール構想をより効果的・効率的に進めていくためのキーマンである「ICT支援員」について、本村の事例をもとに紹介します。

1 ICT支援員の位置づけ


 ICT支援員は、大別して2つの雇用形態があります。自治体や学校に直接雇用されているか、自治体と契約した企業からの派遣であるか、です。また、勤務形態についても、1人で数校を掛け持ちしていたり、“専属”としてその学校に常駐していたりと様々です。学校の先生方にとっては、どのような形態であっても同じ「ICT支援員」かもしれませんが、中身は異なる可能性もあります。企業からの派遣の場合、もしかしたら導入している教育用ソフトやサービスの活用を支援する契約で、その他の機器や校務関係の支援には携われないことになっているかもしれません。自治体による直接雇用の場合、学校ICT全般について支援することになっていても、例えばIT企業に勤めていた地元のシニア世代の方と契約しており、一般的なIT知識は有していても、教育専門のアプリやサービス、授業でのICT活用についてはまだよくわかっていない、という方かもしれません。
 困ってしまうようなケースを取り出して書いてしまいましたが、もちろんICT支援員としての専門的なスキルを有している方も多くいます。しかし、ICT支援員の位置づけは、雇用形態や契約内容によって異なります。ICT支援員が勤務校に配置されるとなった場合には、学校や自治体の担当者に、どのような勤務体系になっているか、どのような業務内容をお願い・相談していいのか、どのようなスキルを持った方が来るのか、などを確認しておくとよいでしょう。

2 ICT支援員の仕事の実際


 ICT環境の整備やメンテナンス、ICTを活用した授業の事前準備や授業中の支援、活用方法についての相談、文書作成ソフトや表計算ソフトの使い方、機器やアプリケーションの研修 等々…。どのような契約を結んでいるかにもよりますが、細かくあげればきりがありません。その中でも、GIGAスクール整備後の特に初期段階で多いであろう業務内容は、トラブル発生時の対応です。多くの学校にとって、一人一台環境でインターネットに接続しクラウドサービスを活用する、といったことは初めてになると思います。端末の電源が入らない、ネットにつながらない、アプリが動かない…様々なトラブルが想定されます。アナログの場合でも、忘れ物や器具の不調など、トラブルがゼロではないのと同じで、リスクへの対応は常に考えておかなければいけません。しかし、慣れないうちは「ICTだから」と特にトラブルに敏感になってしまうと思います。そんな時こそ、ICT支援員の出番です。不安な場合は事前にICT支援員に相談し、授業前の接続テストや授業中の立ち会いを依頼しましょう。もし授業中にトラブルが起こってしまっても、端末の予備を手配したり代替の手段を提案したりといった一次的な対応でサポートしてくれます。また、トラブルの原因はどこにあるのかといった事象の切り分けを行い、その後の解決に向けて迅速に対応してくれることでしょう。

3 学校の先生に伝えたいこと


 前項ではトラブル発生時にICT支援員を頼ってほしいと書きました。一方で注意したいのは、ICT支援員は、端末の修理やネットワークの工事を行う専門事業者や、学校のICT環境の設定を自由に閲覧・変更できるシステム管理者ではないという点です。ICT支援員がトラブルの根本的な解決を直接行えることは稀です。あくまで、子どもたちや先生方のICT活用を支える立場として、トラブル時の一次対応や日常的な運用サポートを行います。解決に向けて関係各所と連絡をとったり、指示をうけて可能な範囲の設定変更をすることはありますが、お願いすれば全てを解決してくれる、という訳ではありません。
 ICT支援員が配置される場合には、校内のICT担当の教員やチームとICT支援員が一緒に打ち合わせをする機会を設けて頂きたいと思います。どんなことに困っているのか、まずはどこから改善していきたいのか、 それに対してICT支援員としてどのようなサポートができそうか。事前にすり合わせをしておくことで、よりスムーズなGIGAスクール構想の実現へと向かうはずです。

長坂 亮介ながさか りょうすけ

1991年生まれ。
2015年より喬木村のICT支援員。2018年から同 教育委員会の教育CIO補佐に就任し、ICT支援員を兼務。
2020年、20201年 文部科学省ICT活用教育アドバイザー。

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