教育オピニオン
日本の教育界にあらゆる角度から斬り込む!様々な立場の執筆者による読み応えのある記事をお届けします。
英語授業で活用したい! おすすめスマホ・タブレットアプリ
関西大学初等部東口 貴彰
2020/9/1 掲載

 ICTを使うことで、 今までの教室内における授業では決して味わうことのできなかった、様々なことを子どもたちは体験することができます。
 例えば、教室の中にいながら世界にいる様々な人と繋がることができたり、昔の人物を蘇らせたり、自分とは違う、別の人になりきってお話をしたり、世界の国々を旅行できたり… 教室内で、紙と鉛筆だけを使った今までの形式の授業ではできなかった、より子どもたちが創造性を発揮できる活動や場面を設定することができます。
 子どもが創造性を発揮できる授業を組み立てる際に活用できそうなアプリケーションは、現在数え切れないほど存在しています。そこで今回は、私が今までに活用してきたアプリケーションの中から、いくつかおすすめのものを紹介させていただきます。英語の授業以外でもご活用いただけるものばかりですので、皆様の参考に少しでもなれば幸いです。

 今回紹介するアプリは、下記の5つです。

1 Keynote(無料)
2 FaceTime(Skypeなどでも可)
3 Photo Speak(無料)
4 Google Earth(無料)
5 Veescope Live Green Screen App(370円)/iMovie(無料)

1 プレゼン、デジタルワークシート、アプリケーションデザイン…
  様々な場面でクリエイティブに活用できる! Keynote(無料)
 まずはapple純正のアプリケーションから紹介させていただきます。一見するとこのアプリはプレゼンテーションをするためだけに使われるアプリケーションのように思われるかもしれませんが、私の学級の子どもたちはこのアプリケーションを様々な用途で活用しています。
 例えば、デジタルワークシート。「プレースホルダー」や「イメージギャラリー」などの機能を使うことで、文字だけでなく、写真や動画を貼り付けるスペースを作ることも可能で、紙では「書く」ことがどうしてもメインになってしまうワークシートに、音声や表現・表情など多くのものを記録できるようになります。

画像1

 また、スクールワークなどを活用し、1つのファイルを共同編集できるようにしておくことで、クラスみんなで1冊のデジタルブックを作成することもできます。コメントなども自由にし合えるので、子どもたちはどんどん周りの友だちとコミュニケーションをしながら活動を進めます。

2 世界と繋がる・身近な友だちとも繋がる!FaceTime(Skypeなどでも可)
 ビデオ通話アプリや音声通話アプリが普及し、いつでもどこでも無料で世界の国々の学校にいる子どもたちと繋がることができるようになりました。もちろんこういったアプリを使って、近隣の学校や、世界中の子どもたちと交流することもできます。しかし、逆にすぐ近くにいる友だちと音声通話をするという使い方もあります。
 音声通話を活用することで、ジェスチャーなどの、「話す」「聞く」以外のコミュニケーション手段が遮断されます。それが逆に子どもたちにとって「話す」「聞く」ことの必然性が生まれ、「言葉」を意識して一生懸命コミュニケーションをしようとします。
 コミュニケーション手段が減ることはマイナスになるのではなく、時として適度に困難度がアップし、子どもたちのモチベーションを上げることにつながります。

画像2

3 友だちになれる!? 偉人になれる!? 自分の絵がしゃべり出す!?
  Photo Speak(無料)
 このアプリに顔の写真やイラストを取り込むと、まるでその写真の顔が生きているかのように動き出します。さらに音声を録音すると、その録音に合わせて目や口が動きます。もちろん動画の書き出しも可能です。
 アウトプットの方法としても十分に面白いですが、特に下の学年において人称や時制を複雑にしたくない場合にとても有効です。また、例えば歴史上の人物の写真を取り込んで、その人になりきりって話をすることで、 「過去形」を学習していなくても「現在形」として話すこともできます。社会科でもその歴史人物についてさらに詳しく調べ、その人になりきって歴史上の出来事を紹介するなど、色々な場面で活用できそうですね。

画像3

4 世界中のどこでも道案内!Google Earth(無料)
 Google Earthはストリートビューなどを活用して、世界の様々な場所を探検することができます。
 しかし、ストリートビューを使わなくても、マップ画面に一工夫するだけで、道案内アクティビティができます。タブレット画面やスクリーン画面の中心に人のイラストを貼り、マップを動かすことで、その人がマップ上を自由に歩き回っているようになります。それを活用して、”Go straight.”や”Turn right.”と言いながら英語で道案内をしてみましょう。目的地に到着したら、ストリートビューに切り替えることで、達成感を味わうことができます。世界の国だけでなく、例えばテーマパーク内部などでも道案内できて楽しいですよ。

5 教室から世界に飛び出せ!
  Veescope Live Green Screen App(370円)/iMovie(無料)
 このアプリは、クロマキー合成をすることができるアプリです。例えば、自分の行ってみたい国の画像を用意してアプリに取り込み、緑色の背景(布や画用紙を貼り合わせたものでOK)の前で動画を撮影すると、リアルタイムにまるでその国に行ったかのような合成動画を撮影することができます。
 このアプリは有料になりますが、緑背景の部分に後から国の画像などを当てはめるだけであれば、apple純正のアプリiMovieでも可能です。ただ、このVeescope Live Green Screen Appを使うと、リアルタイムに背景が合成されるので、撮影中に見ている子どもたちもより臨場感を持って友だちの発表を聞くことができます。

画像4

アプリはコミュニケーションのための1ツール

 紙と鉛筆を使ってできる活動をそのままICTを使って行っても、何の意味もありません。ICTありきの授業では本末転倒となってしまいます。
 ICTを使うには、そこにICTを使う「必然性」や「価値」がないといけません。あくまで一番大切なのは子どもたちのコミュニケーション能力をどう伸ばしてあげるかということ。
 英語がコミュニケーション能力を育むための言語ツールであるように、ICTもまた、コミュニケーションや子どもたちの創造力を豊かにするためのツールの1つなのです。

 なお、今回紹介させていただいたアプリケーションは全て英語の技能を伸ばすことを直接の目的としたアプリケーションではありません。英語学習者向けアプリケーションは基本的に、「英語の技能を自主的に伸ばすこと」を目的にしていることが多いからです。もちろんそう言ったアプリケーションを使うこともありますが、今回はあくまで、子どもたちの創造性を膨らませるためのコミュニケーションツールとして使えそうなアプリケーションに限定させていただきました。
 それぞれのアプリケーションを使った具体的な活動内容については執筆させていただいた『小学校英語×ICT 「楽しい!」を引き出す活動アイデア』の中に紹介しておりますので、詳しくはそちらをご覧ください。

 最後になりますが、上記のような英語の技能面を伸ばすアプリケーションとして、子どもたちとともに作り上げた「Rabbits えいごで言ってみよう!」というアプリを無料で開発させていただきました。直感的に操作し、即座に英文を生成するだけでなく、発音の判定や自己到達度もわかる機能を設けておりますので、もしよろしければ、ご活用ください。ダウンロードは下記のURLよりしていただけます。

東口 貴彰とぐち たかあき

1986年生まれ。
関西大学初等部教諭。元大阪教育大学附属平野小学校教諭。
世界に2,447人いるApple Distinguished Educatorの1人。
主著に、『小学校英語サポートBOOKS 「楽しい!」を引き出す活動アイデア60』(明治図書出版、2020年)『iPadを使った小学校プログラミング実践事例集』(共著、Apple Books、2018)等がある。

コメントを投稿する

※コメント内ではHTMLのタグ等は使用できません。