教育オピニオン
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教師の負担を減らし限られた時間を最大限活用するための、効率化とペーパーレス化
福井県公立学校江澤 隆輔
2020/5/20 掲載

 「働き方改革」という言葉を聞かない日がないほど、教師だけではなく日本中の社会人に働き方の再考が迫られています。もちろん、学校もそれに漏れず、これから社会に出て行く子どもたちとかかわっているという意味では、その最先端にいないといけない存在だと思います。しかし、文書を紙で配付したり、欠席連絡を電話で受け付けたりしている様子を見ていると、リモートワークや在宅勤務を推奨するような民間企業には後れをとっているといわざるを得ないでしょう。
 今回、少しでも教師の負担を減らすために、というテーマで3つの視点を書いてみました。

効率的な学習を促す教材研究

 新型コロナウィルスの影響で、各自治体で休校措置が決まりました。少なくとも授業日が減ってしまうことは決定で、それでも全学年で授業できなかった単元などを教えつつも、プラスして現在の学年で学習すべきことを教えます。今までは10という期間で10の学習をしていたところ、8という期間で12の学習内容(前の学年で授業しきれなかった部分がプラス2として)があることになります。そこで、スピード感があり、かつ効率的な学習を指導していく必要があります。
 授業がない分、おそらく多くの学校で授業の準備や授業研究をする時間ができたはずです。今までにない学校のスタートになっていますが、この時間を利用して、授業の方法や年間の指導計画を思いきって見直す機会にしてみてはいかがでしょうか。10の時間で10を教えていた方法は本当に正しかったのか、10の時間で12を教えられたのではないか、8の時間で12を教えるためには…?をぜひ考えてみましょう。
 私は毎年「英語授業の達人」と呼ばれる先生のセミナーに参加しています。その先生の授業はとてもスピード感があり、それでいて面白く定着率も高いというデータがあります。そんなメンターを見つけて、書籍にあたってみるのも一手だと思います。もしかすると、私たちが日々行っていた授業の方法よりも早いスピードで、それでいて力のつく方法が見つかるかもしれません。

iPadなど電子機器の有効活用

 文科省から令和元年に「GIGAスクール構想」が発表され、学校におけるICTの活用に注目が浴びるようになりました。数年間に比べて、学校にあるタブレットの数は増えてきており、授業でインターネットを使ったり、iPadを使ったりする先生方も増えてきました。令和5年までに1人1台学習者用PCを揃えるということなので、今後は教師だけではなく児童・生徒もパソコンやタブレットを活用するようになることが予想されます。これから教育現場の先生方もその使い方に慣れていくと思います。そこで、整備されているタブレットを単に「学校用」とするのではなく、「教科用」または「学年用」としてみてはいかがでしょうか。
 例えば、「英語科タブレット」があったら、生徒たちが好きな音楽をダウンロードして授業で使えたり、テストのリスニング音源、生徒たちが教科書を音読する姿を数年分すべて収めたりできます。そうすれば、職員室のCDをいちいち探したり片づけたりする必要がなくなり、重宝するでしょう。また、「理科タブレット」だったら、今までの実験した様子を録画しておいて、実験失敗したグループに試聴させたり、復習として再度試聴したりすることも考えられます。特に中学校では、教科で動いているので、上記データを次年度に残しておくことで、新しく赴任した先生も学校の様子を知る手立てになるでしょう。
 また、年度末にデータをいったんすべて消去している先生もいらっしゃいますが、とてももったいないと感じています。タブレットの中には、その年に行った授業の様子や児童・生徒の姿、授業で使った教材などなど様々なデータが残っているからです。

保護者との連絡方法の工夫

 学校からは、日々様々な連絡が行きます。PTAからのお便りや外部団体からのチラシ、学年便りや学級便りを初めとする文書、行事の案内などなど。学級担任をしていると、毎日の朝の会や帰りの会でまず行うことは「文書やチラシの配付」といっても過言ではないほどです。外部の団体も学校に持ってくれば、多くの児童・生徒に少ない労力でチラシを配付できるので、毎回のように学校に持ってきて依頼をしています。しかし、チラシを配付する時間は本来の私たちの仕事である児童・生徒に向き合ったり、対話をしたりする時間を奪ってしまっているかもしれないということを、忘れてはいけないと思います。
 そこで、学校が利用しているメールを活用してみてはいかがでしょうか。学校では、ほとんどの保護者の方がメールを登録しており(最近ではアプリもあるようです)、学校からダイレクトで連絡を送ることができる環境にあります。チラシを配付するのであれば、PDF化してメールで配付してもらう、PTAの役員投票や会議の出欠を文書で行うのではなくGoogleフォームで行うなど、極力ペーパーレスすることはこれからの学校の課題だと思っています。
 HPにどんどん情報を記載するのも有効でしょう。また、できるだけペーパーレスに移行することで、私たちが児童・生徒に「あの書類持ってきた?」「早く持ってきなさい」という指導や名簿のチェックの仕事も減るし、何より児童・生徒に向き合う時間が増えます。

江澤 隆輔えざわ りゅうすけ

1984年福井県坂井市生まれ。福井県公立学校教諭。
広島大学教育学部(英語)卒業後、福井市立灯明寺中学校、あわら市立金津中学校、坂井市立春江東小学校と小・中学校に勤務。教師の働き方改革や授業改善への提案をテレビや書籍等で積極的に提案し続けている。YouTubeでは「えざわ先生」の名前で英語の授業や働き方改革に関する動画を多数アップし、チャンネル登録者数も増え続けている。
著書に『教師の働き方を変える時短』(東洋館出版社)、『苦手な生徒もすらすら書ける! テーマ別英作文ドリル&ワーク』(明治図書)、共著に『学校の時間対効果を見直す!』(学事出版)他多数。

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